薬膳に親しもう 第6回 紅茶で冬の身体を労わろう

こんにちは、執筆スタッフの首藤です。

暖冬と言われておりますが、やはり冬は寒いですね。

例年のごとく、インフルエンザ感染拡大のニュースをよく耳にしますが、

今回はインフルエンザ予防にも期待されており、また2019年に大流行したタピオカドリンクにも使われていた「紅茶」についてお伝えします。

中国のお茶と言えば烏龍茶ジャスミン茶などありますが、世界三大紅茶の一つ「祁門(キームン)」の産地でもあります。

紅茶に含まれるポリフェノールがインフルエンザウイルスに働きかけると言われていますが、薬膳の観点でみると、紅茶は身体を温める作用や、「安神作用」と言って、心神の不安を和らげる働きがあると言われています。

タピオカドリンク店のメニューは紅茶をベースにしたものが多く、それだけ色々なものと組み合わせても飲みやすいお茶だと言うことが分かります。

組み合わせを工夫すれば、紅茶との相乗効果で、冬の身体を労わることができます。

冬の紅茶にプラスしたい食材

生姜

身体を温める食材でおなじみですね。

すりおろして入れるのも一つの手ですが、乾燥させたものを入れるのもおすすめです。

と言うのも、同じ生姜でも生のものと乾燥したものでは温まり方が違うのです。

生のものは即効性があり、発汗作用また解熱作用も期待できます。

それに対し、乾燥したものは温める力がより強く、身体を芯からじんわりと温めます。

生薬としては「乾姜」と言う名前で蒸して乾燥したものが売られています。

シナモン

シナモンも身体を温める働きが強い食材です。

こちらも生薬としても使われていて、枝の部分であれば「桂枝」、樹皮の部分であれば「肉桂」と言われています。

効能は「肉桂」のほうが強いです。

冷えによる不調・痛みに働きかける漢方薬によく配合されています。

シナモンパウダーを振りかけるのも手ですが、より温めたい場合はシナモンスティックを入れて煮出すのも良いでしょう。

黒砂糖

白い砂糖は冷やすと言われることが多いですが、それに対して黒砂糖は温める働きがあります。

血行を良くする働きがあるので、冷えによる月経痛にも効果が期待できます。

寒気を感じる風邪の初期症状にも効果的です。

蜂蜜

肺や腸を潤す働きがあると言われており、咳、皮膚の乾燥、便秘の症状にも期待できます。

また消化吸収を高めるので、食欲が無いときにもおすすめです。

留学時代お世話になった中国人の先生が、子供の頃、雨に濡れて帰ると、親御さんは風邪を引かないようにと、お湯に黒砂糖と生姜を入れて飲ませてくれたそうです。

中国や台湾では、そのような食材の知恵が理屈ではなく感覚的に日常で取り入れられているようです。

今回は温める食材を中心に紹介しましたが(蜂蜜は平性といって温冷作用を持たない食品)、ほてりを感じる時にはこれらの食材は控えましょう。

また冷え症だからといって、摂り過ぎにも注意です。

あまりに大量に発汗してしまうと、飲み終われば逆に身体は冷えてしまいますし、皮膚や喉などの乾燥にもつながりかねません。

ぽかぽかと心地よく感じる程度に、楽しむようにしましょう。

参考文献:
現代の食卓に生かす「食物性味表」:日本中医食養学会
中薬学:上海科学技術出版社

※前回のコラムはこちら

薬膳に親しもう! 第5回 身体を構成する三要素 その2
薬膳に親しもう! 第4回 身体を構成する三要素 その1
薬膳に親しもう! 第3回 食性
薬膳に親しもう! 第2回 五味の作用
薬膳に親しもう! 第1回 薬膳とは