栄養指導におけるティーチングとコーチング

こんにちは。執筆スタッフの管理栄養士 中村 達也です。

今回は、様々な方とお食事の話をし、健康面や身体面、疾病の改善のためなどの食事アドバイスをする中で、大事だなと思った部分をお話ししていきたいと思います。

早速ですが、ティーチングとコーチングという言葉を、皆さんは聞かれたことはありますか?

ティーチングとは、指導するものが、教えたり指示したり、命令したりすること。つまり教えるということです。

コーチングとは、傾聴や質問、承認や提案などを用いて、答えを導き出すことを示します。

なぜ、栄養指導にこの2つの考えが必要なのか。

この2つはそれぞれ、メリットデメリットがあります。栄養指導を例として一部のメリットデメリットで考えると

メリット

ティーチング:指導者の栄養に関する知識を対象者に伝えられるため、専門性の高い栄養指導につながる。

⇒実行できれば栄養指導の効果が見込みやすい。

コーチング:対象者自身が出す目標や行動計画のため、自責的な思考、自立した行動が期待できる。

⇒対象者の答えのため、継続した行動にしやすい。

デメリット

ティーチング:栄養や食事改善に興味のないものが指導を受けると、一方通行になりやすい。

⇒なかなか行動変容につながらない場合も。

コーチング:行動変容につながりやすいが、行動目標次第では長期的に、対象者の行動変容を見守る必要がある。

⇒結果が出るのに時間がかかる。

また行動変容ステージモデルも、無関心期から維持期までの5つのステージに分かれます。

それぞれの時期に対し、指導する内容や話す内容も異なってきます。

そのため、会話の中でこの方が現段階でどのレベルなのかを判断し、話の内容を変えていかないと、次のステップへ進むのにも時間がかかる可能性もありますね。

ところで、他の人が実施する栄養指導や、自分自身の栄養指導をムービーや音声データ等で、客観的に見たことはありますか?

このような状況を経験することで、この対象者にとって自分だとどのような指導やお伝えすべきことは何か、どのようなことを解決していくべきか冷静に考えるきっかけにもなります。また、自分自身の指導中の癖や話し方を見直すことができ、気づかない部分の発見にも繋がります。実施されたことがない人は、一度されることをお勧めします。

対象者の方は栄養指導と聞くと、

食事のことで注意されるんだろうな。

ダメだしされるから聞きたくないな…

などと思われる方もいるかもしれません。

病気に対する食事の指導で、食事アドバイスをいくつもされて全て行動できる方はどのくらいいるでしょうか?

いくつも提案したところで、実行できなければ指導側の自己満足に過ぎない部分もあるかもしれません。

今まで実践されてないことをお伝えするのだから、せめて1個だけでも覚えてもらえば十分かなと思う時もあります。


対象者に寄り添って何を重点的に指導するかを判断するためにも、会話や聞き取りの中で、

この方の行動ステージはどの辺にいるのだろう?

ステージを考え、ティーチングコーチングどちらを中心に用いるべきだろう?

生活の中で気をつけていることや、取り組んでいることはあるのかな?

など、相手の立場を踏まえた、指導にしていかなければなりません。

栄養指導という食事の指導は、プライベートの指導をすることに近い部分もあると思います。

もし、自分が栄養指導を受けなければいけない状況になったら、素直に全て受け入れ、すぐに行動に移せる自信はありますか?

正直なところ、僕は受け入れることができる自信はありません(笑)

しかし、自分自身のことを考えた話や、一方的な知識の押し付けでなければ、実践してみようかな?と思う、思える部分もあるかと…

話しが少し外れてしまいましたが…

対象者の行動変容における時期や状況を把握することは必須です。

それらを踏まえた上で、ティーチングとコーチングのどちらを主体に話しを進めていくかが大切だと思います。また、あの栄養士さんの話を聞きたい、相談したいと思ってもらえるような時間にするためにも、様々な角度から対象者さんに接していきましょう!

参考HP
・NTTラーニングシステムズ株式会社 西日本営業部 ティーチングとコーチング

e-ヘルスネット 行動変容ステージモデル