第31回管理栄養士国家試験問題~基礎栄養学~
問題をクリックすると解答が開きます。
栄養学の歴史に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
- リービッヒ(Liebig)は、窒素定量法を確立した。
- マッカラム(McCollum)は、エネルギー換算係数を提唱した。
- フンク(Funk)は、ビタミンKを発見した。
- クレブス(Krebs)は、膵臓にリパーゼが存在することを発見した。
- 鈴木梅太郎は、抗脚気因子を発見した。
-
(1)窒素定量法ではなく、たんぱく質は窒素を含有、その量が栄養価に関与することを提唱。(2)エネルギー換算係数ではなく、ミネラルの必要性を確立。(3)米ぬかの抗脚気因子をビタミンと命名。(4)膵臓にリパーゼではなく、TCAサイクル・尿素回路を発見。
-
Q71
- 食中枢は、視床下部にある。
- レプチンは、脂肪細胞から分泌される。
- セロトニンは、食欲を促進する。
- コルチゾールの日内リズムは、摂食サイクルに影響される。
- 消化酵素の活性には、日内リズムがある。
-
(3)促進ではなく食欲を抑制。(視床下部にあり満腹中枢に働く)。
-
Q72
- トリプシンは、活性型の酵素たんぱく質として分泌される。
- 膵液中のアミラーゼは、でんぷんを消化してオリゴ糖を生成する。
- セクレチンは、ペプシンの分泌を促進する。
- コレシストキニンは、膵臓からのHCO3-の分泌を促進する。
- ガストリンは、胆嚢からの胆汁の分泌を促進する。
-
(1)不活性型トリプシノーゲンとして分泌、微絨毛に存在するエンテロキナーゼにより活性化しトリプシンになる。(3)膵臓からのHCO3-の分泌を促進。(4)胆のうを収縮し胆汁分泌を促進。(5)胃液分泌を促進。
-
Q73
- フルクトースは、SGLT1により小腸上皮細胞内に取り込まれる。
- ペプチドは、Na+を利用して小腸上皮細胞内に取り込まれる。
- 長鎖脂肪酸は、能動輸送により小腸上皮細胞内に取り込まれる。
- ビオチンの吸収は、卵白の摂取により促進される。
- 鉄の吸収は、体内の貯蔵鉄量に影響される。
-
(1)SGLT1ではなくGLUT5で促進拡散により小腸上皮細胞内に取込まれる。SGLT1により取込まれるのはグルコース。(2)ジペプチドではなくアミノ酸。(3)能動輸送ではなく胆汁酸塩・混合ミセルを形成し小腸上皮細胞内に取込まれる。(4)促進ではなく阻害。ビオチンは食品中ではたんぱく質と結合し存在。消化管内で遊離したかたちで吸収。生卵白を過食すると生卵白・アビジン・ビオチンが強く結合される為。
-
Q74
- 消化吸収率は、摂取量に対する吸収量の割合である。
- 見かけの消化吸収率は、内因性の排泄量を考慮している。
- 老化でんぷんの消化吸収率は、糊化でんぷんより高い。
- カルシウムの消化吸収率は、摂取量に比例する。
- β-カロテンは、脂質とともに摂取すると、消化吸収率が低下する。
-
(2)考慮しない。考慮するものは真の消化吸収率。(3)老化でんぷん=β-でんぷんの為、消化吸収は糊化でんぷん=α-でんぷんより低い。(4)摂取量が増加すると低下する。(5)低下ではなく増加。
-
Q75
- トランスフェリンの半減期は、レチノール結合たんぱく質より短い。
- たんぱく質の平均半減期は、筋肉より肝臓で長い。
- アミノ酸の筋肉への取り込みは、インスリンにより抑制される。
- バリンは、ケト原性アミノ酸である。
- ロイシンは、脂質とともに摂取すると、筋たんぱく質の合成を促進する。
-
(1)長い。トランスフェリンは7~8日、レチノール結合たんぱく質は12~18時間。(2)肝臓より筋肉の方が長い。(3)抑制ではなく促進。(4)糖原性アミノ酸。ケト原性アミノ酸はロイシン・リジン。
-
Q76
- コルチゾールの分泌が増加すると、窒素出納は正になる。
- 不可欠アミノ酸は、11種類である。
- 分枝アミノ酸は、不可欠アミノ酸である。
- アミノ酸価は、食品中の可欠アミノ酸のバランスで決定される。
- たんぱく質の生物価は、摂取窒素量に対する体内保留窒素量の割合を示す。
-
(1)窒素出納はアミノ酸が糖新生に利用される為負になる。(2)9種類。スレオニン・メチオニン・バリン・イソロイシン・ロイシン・トリプトファン・フェニルアラニン・ヒスチジン・リジン。(4)可欠アミノ酸ではなく不可欠アミノ酸。(5)摂取窒素量ではなく吸収窒素量。摂取窒素量と体内保留窒素量の割合は正味たんぱく質利用率。
-
Q77
- 摂取たんぱく質は、脂質に変換されない。
- たんぱく質の摂取量が多いと、ビタミン6の必要量が減少する。
- たんぱく質の摂取量が多いと、尿中カルシウム排泄量が増加する。
- たんぱく質の摂取量が不足すると、血清トランスサイレチン値は上昇する。
- エネルギー摂取量が不足すると、たんぱく質の利用効率が高まる。
-
(1)変換される。(2)減少ではなく増加。(4)上昇ではなく低下。(5)高まるのではなく低下する。
-
Q78
- コリ回路では、アラニンからグルコースが産生される。
- 空腹時には、糖原性アミノ酸からグルコースが産生される。
- 組織へのグルコース取り込みは、コルチゾールによって促進される。
- 健常者では、食後2時間で、血糖値が最大となる。
- 血糖値が低下すると、脂肪組織のトリアシルグリセロールの分解は抑制される。
-
(1)アラニンではなく乳酸。アラニンから産生はアラニン・グルコース回路。(3)コルチゾールではなくインスリン。コルチゾールにより糖新生が促進、肝臓からグルコースが血中に放出。(4)最大ではなく正常値に戻る。(5)抑制ではなく促進。
脂質の臓器間輸送に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
- カイロミクロンは、肝臓で合成されたトリアシルグリセロールを輸送する。
- VLDLのコレステロール含有率は、LDLより大きい。
- LDLのコレステロールの末梢細胞への取り込みは、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)が関与する。
- 末梢細胞のコレステロールのHDLへの取り込みは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)が関与する。
- 脂肪組織から血中に放出された脂肪酸は、アルブミンと結合して輸送される。
-
(1)小腸で吸収されたトリアシルグリセロールを輸送。肝臓で合成されたトリアシルグリセロールの輸送はVLDL。(2)LDLのが大きい。トリアシルグリセロール含有率はLDLより大きい。(3)レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼではなくLDLレセプター。LCATは末梢細胞のコレステロールのHDLへの取込に関与。(4)脂肪組織へのトリアシルグリセロールの取込に関与がLPL。
-
Q80
- ビタミンDの欠乏では、骨塩量が減少する。
- ビタミンKの欠乏では、血液凝固の時間が短縮する。
- ビタミンB1の欠乏では、乳酸の血中濃度が低下する。
- ビタミンB12の欠乏では、DNAの合成が促進される。
- 葉酸の欠乏では、ホモシステインの血中濃度が低下する。
-
(2)短縮ではなく遅延。(3)低下ではなくピルビン酸や乳酸の血中濃度が上昇、臨床的に脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群等の神経障害が起こる。(4)促進ではなく抑制。(5)低下ではなく上昇。
-
Q81
- 脂溶性ビタミンの吸収に、胆汁酸は関与しない。
- 脂溶性ビタミンには、腸内細菌が合成するものがある。
- 食品中β-カロテンのビタミンAとしての生体利用率は、レチノールの1/6でる。
- ビタミンB2は、体内の飽和量を超えると、尿中への排泄量が低下する。
- ビタミンB12の吸収に必要な内因子は、十二指腸上皮細胞から分泌される。
-
(1)胆汁酸により消化吸収が促進。(3)1/6ではなく1/12。(4)低下ではなく増加。(5)十二指腸上皮細胞からではなく胃低部壁細胞。
-
Q82
- マグネシウムの99%は、骨に存在する。
- クロムは、インスリン作用を増強する。
- メンケス病は、先天的な銅の過剰症である。
- カルシトニンは、骨吸収を促進する。
- 運動は、骨形成を抑制する。
-
(1)約60%。カルシウムは99%骨に存在。(3)過剰症ではなく欠乏症。過剰症はウイルソン病。(4)血中カルシウムを骨に移行する働きはあるが、吸収を促進するホルモンは副甲状腺ホルモン。(5)抑制ではなく促進。
-
Q83
- 直接法では、酸素消費量からエネルギー消費量を評価する。
- 二重標識水法では、酸素と水素の安定同位元素の減少速度よりエネルギー消費量を求める。
- 基礎代謝量は、睡眠状態で測定する。
- 脂肪の燃焼では、酸素消費量と二酸化炭素産生量のモル数は等しい。
- 二酸化炭素産生量は、安静時より運動時に減少する。
-
(1)酸素消費量からではなく産生した熱量から。(3)早朝空腹時に快適な温度条件下で静かに仰臥・覚醒している状態で測定。(4)モル数は1より小さい。(5)減少ではなく増加。