第32回管理栄養士国家試験問題~食べ物と健康~
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Q45
- 食嗜好に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 個人の一生で変化する。
- 服用している医薬品の影響を受ける。
- 分析型の官能評価(3点識別法)で調べる。
- 環境要因による影響を受ける。
- 栄養状態による影響を受ける。
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食嗜好は一生で変化。要因は、加齢による味蕾感度変化・健康状態・薬の副作用・栄養状態他、気温・湿度・日差の環境も影響。(3)の方法は2種類の被検体の違いを識別できるか判断する方法。2種類の被検体のうち、一方から1点、他の一方から2点の計3点を選び、3検体の判定結果から2種類の違いを判定する方法。
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Q46
- 小麦・大麦に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 強力粉は、軟質小麦から製造される。
- 六条大麦は、麦みその原料として利用される。
- 小麦の主な構成でんぷんは、アミロースである。
- 二条大麦の主な構成たんぱく質は、グルテニンである。
- 小麦粉の等級は、たんぱく質含量に基づく。
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(1)たんぱく質含有量の高い硬質小麦から製造される。(3)アミロースよりアミロペクチンのが多い。(4)グルテン形成能はない、ホルデインおよびホルデニン。(5)たんぱく質ではなく、灰分(外皮等)含有の違い。上位等級程色々。
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Q47
- 野菜とその含有成分の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- キャベツーS-メチルメチオニン
- たまねぎーイソチオシアネート
- だいこんージプロピルジスルフィド
- なすーククルビタシン
- カリフラワーーテアニン
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(2)ジプロピルジスルフィドが匂い成分。(3)イソチオシアネートが辛味成分。(4)ナスニンが色素成分。(5)メチルアリルトリスルフィドが抗酸化物質。
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Q48
- 鶏卵に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 全卵たんぱく質のアミノ酸スコアは、80である。
- オボアルブミンは、卵黄の主要たんぱく質でる。
- リゾチームは、卵白よりも卵黄に多い。
- 卵黄係数は、鮮度が低下すると高くなる。
- 卵黄のリン脂質は、レシチンを含む。
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(1)100。(2)卵白。(3)卵白。卵黄には含まれていない。卵を細菌汚染から守る役割。(4)低くなる。卵黄係数は卵黄の高さを卵黄の直径で割った値で新鮮さ指標。
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Q49
- 微生物利用食品に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- ビールは、単発酵酒である。
- 焼酎乙類(本格焼酎)は、単式蒸留機を用いて蒸留する。
- 純米吟醸酒は、精米歩合が70%以上である。
- ワインビネガーは、ワインを乳酸菌で発酵させる。
- 本みりんのアルコール度数は、本直しより高い。
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A49
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正解(2)
(1)糖化工程後アルコール発酵を行うので単行複発酵。(3)60%以下。(4)ワインもろみに酢酸菌を加え発酵。(5)低い。もち米と米麹に焼酎又はアルコールを加え糖化熟成後圧搾・濾過、アルコール約14度・糖度約40%。本直しは、本みりんの熟成前に焼酎又はアルコールを加えたアルコール22度以上・糖度約8%。
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Q50
- 日本食品標準成分表2015年版(七訂)に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 食品群別の収載食品数は、野菜類が最も多い。
- 食品の検索を容易にするため、新たに索引番号が設けられた。
- 炭水化物の成分値には、食物繊維が含まれない。
- 食塩相当量には、グルタミン酸ナトリウムに由来するナトリウムは含まれない。
- ビタミンCは、還元型のみの値を収載している。
(1)魚介類419で最も多い。野菜類362。(3)含まれる。水溶性・不溶性・総量が記載。(4)含まれる。全ナトリウムを測定。(5)還元型・酸化型の合計値が示されている。
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Q51
- ペクチンに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- こんぶの主な多糖類である。
- 主な構成糖は、グルクロン酸である。
- 果実の成熟とともに不溶化する。
- 低メトキシルペクチンは、カルシウムイオンの存在下でゲル化する。
- ペクチン分解酵素は、果汁の苦味除去に利用されている。
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(1)アルギン酸・ラミナリン・フコダイン等の多糖類が含まれる。ペクチンはD-ガラクツロン酸がα-1,4結合し直鎖状につながった多糖類。(2)D-ガラクツロン酸。(3)成熟に伴い可溶性のペクチンに変化。(5)分解酵素はペクチナーゼ。苦味物質除去はナリンギナーゼ。
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Q52
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油脂の物理化学的性質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- けん化価は、構成脂肪酸の不飽和度を示す。
- ヨウ素価は、構成脂肪酸の平均分子量を示す。
- 酸価は、油脂中の遊離脂肪酸量を示す。
- 屈折率は、油脂の酸化により低下する。
- 粘度は、油脂の酸化により低下する。
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(1)油脂1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムのmg数。単位重量あたりエステル結合数に比例、高ければ結合数が多いので、構成脂肪酸の平均分子量が低いと示される。(2)油脂100gに吸収されるヨウ素のg数。脂肪酸の二重結合に付加するので高ければ構成脂肪酸の不飽和度が高い示される。(4)増加。長鎖脂肪酸・不飽和脂肪酸が多い程高い。(5)増加。油脂劣化の指標の1つ。
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Q53
- 食品の褐変に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- じゃがいも切断面の褐変には、アミノカルボニル反応が関与する。
- みその色は、ポリフェノールオキシダーゼが関与する。
- 還元糖は、アミノ化合物と反応して酵素的褐変を起こす。
- 酵素的褐変は、ブランチングにより抑制できる。
- 酵素的褐変は、水分活性が0.2付近で最も高くなる。
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(1)ポリフェノールオキシターゼによる酵素的褐変。(2)アミノカルボニル反応による非酵素的褐変で生じたメラノイジン。(3)非酵素的褐変を起す。(5)水溶液中で起こる反応なので、充分な自由水が必要。0.4以下では自由水不足で酵素的褐変は起こらない。0.2は乾燥野菜・粉乳・くるみ種実レベル。
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Q54
- 食品の味に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 食塩を少量加え甘味が増強することを、相乗効果という。
- 苦味の閾値は、基本味の中で最も高い。
- 辛味は、舌の粘膜に生じる収斂作用による。
- こんぶに含まれる旨味成分は、5ʼ-グアニル酸である。
- たけのこに含まれるえぐ味成分は、ホモゲンチジン酸である。
(1)対比効果。(2)最もではない。基本味の小さい閾値(感度が高い)順は、酸味<苦味<旨味<塩味<甘味。(3)舌・口腔のカプサイシン受容体で感じる痛覚。古来は味の1つだったが味覚でないことから除外された。(4)L-グルタミン酸。
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Q55
- 食品衛生行政に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 食品のリスク評価は、農林水産省が行う。
- 食品のリスク管理は、食品安全委員会が行う。
- 食品添加物のADI(1日摂取許容量)は、厚生労働省が設定する。
- 指定添加物は、消費者庁長官が指定する。
- 食品中の農薬の残留基準は、厚生労働大臣が設定する。
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(1)食品安全委員会が行う。(2)厚生労働省・農林水産省・消費者庁等の関連行政機関が行う。(3)食品安全委員会が設定する。(4)厚生労働大臣が指定。
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Q56
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油脂の酸化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 動物性油脂は、植物性油脂より酸化されやすい。
- 酸化は、不飽和脂肪酸から酸素が脱離することで開始される。
- 過酸化脂質は、酸化の終期に生成される。
- 発煙点は、油脂の酸化により低下する。
- 酸化の進行は、鉄などの金属によって抑制される。
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(1)酸化されにくい。不飽和脂肪酸が酸化されやすいので、飽和脂肪酸の多い動物性油脂は酸化されにくい。(2)不飽和脂肪酸に酸素が付加し過酸化物を生成することで開始。(3)初期に生成。(5)促進する。
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Q57
- カンピロバクターとそれによる食中毒に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 潜伏期間は、サルモネラ菌よりも短い。
- 大気中で増殖する。
- 耐熱性エンテロトキシンを産生する。
- 芽胞を形成する。
- 人畜共通感染症の原因菌である。
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(1)長い。カンピロバクターの潜伏期間は2~10日間・サルモネラ菌の潜伏期間は0.5~2日。(2)増殖しない。3~10%の酸素濃度を必要とする(大気中は酸素濃度20%)。(3)産生しない。易熱性エンテロトキシンを産生する報告はあるが確認されていない。(4)形成しない。
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Q58
- 寄生虫に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- さば中のアニサキスは、食酢の作用で死滅する。
- 回虫による寄生虫症は、化学肥料の普及で増加した。
- 日本海裂頭条虫は、ますの生食によって感染する。
- サルコシスティスは、ほたるいかの生食によって感染する。
- 横川吸虫は、さわがにの生食によって感染する。
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(1)死滅しない。死滅は-20℃で24時間以上冷凍・60℃で1分加熱。(2)激減した。(4)生・加熱不足の馬肉による感染。死滅は-20℃で48時間以上冷凍。(5)あゆ・しらうお等の淡水魚の生食感染。
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Q59
- 食品中の有害物質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- アクリルアミドは、畜肉や魚肉を高温で調理した際に生成する。
- Trp-P-1は、チロシン由来のヘテロサイクリックアミンである。
- 畜牛の舌は、異常プリオンの特定危険部位である。
- アフラトキシンは、煮沸すると容易に分解する。
- 米には、カドミウムの基準値が設定されている。
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(1)食品原材料に含まれるアスパラギンと果糖・ブドウ糖等の還元糖が加熱(120℃以上)されることで生成。(2)トリプトファン由来。(3)特定危険部位は、30か月齢超の頭部(舌・頬・皮を除く)・脊髄・脊柱、全月齢の扁桃・回腸遠位部。(4)耐熱性なので通常調理加熱では分解されない。
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Q60
- 食品添加物とその用途の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- ソルビン酸カリウムー乳化剤
- エリソルビン酸ー酸化防止剤
- アスパルテームー酸味料
- 亜硝酸ナトリウムー殺菌料
- 次亜塩素酸ナトリウムー防かび剤
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(1)静菌効果がある保存料(対:カビ・酵母・好気性菌)。(3)甘味料。(4)発色剤。(5)殺菌料。
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Q61
- 食品表示法における表示に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。
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- 非遺伝子組換え食品には、「遺伝子組換えでない」の表示が義務づけられている。
- 賞味期限が3か月を超える場合は、年月の表示ができる。
- リボフラビンを着色料の目的で使用する場合は、表示が免除される。
- さばの加工食品には、アレルギー表示が義務づけられている。
- 大豆油製造で抽出に使用されたヘキサンは、表示が免除される。
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(1)非遺伝子組換え食品の表示は任意。農産物で遺伝子組換えが流通していないものは遺伝子組換えでないの表示はできない。(3)免除されない。栄養強化剤として使用される場合は表示が免除。(4)特定原材料に準ずるものに指定されているので、義務ではなく推奨。
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Q62
- 栄養機能食品に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 消費者庁長官への届出が必要である。
- 生鮮食品は、栄養成分の機能の表示ができない。
- n-3系脂肪酸は、栄養成分の機能の表示ができる。
- 特別用途食品の1つとして位置付けられている。
- 個別の食品の安全性について、国による評価を受ける必要がある。
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(1)国の定めた1日当たりの摂取目安量の下限・上限値基準に適合したら許可申請・届出の必要はない。個々の栄養成分表示は事項が決められている。(2)栄養機能食品の基準を充たせば必要表示事項を記載して販売できる。(4)特定保健用食品は保健機能食品に分類される。(5)必要はない。
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Q63
- 食品とその規格基準の組合せである。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 清涼飲料水(りんごの搾汁)ーデオキシニバレノール基準以下
- 食肉製品ー亜硝酸根基準以下
- 即席めん類(めんを油脂で処理したもの)ー酸価と過酸化物価基準以下
- 殺菌液卵ーサルモネラ属菌陰性
- 生あんーシアン化合物検出せず
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(1)感染する菌はぺニシリウム属やアスペルギルス属等の真菌。パツリンという毒性の高いカビを産生、果汁を汚染するので規格基準が定められた。
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Q64
- 食品加工に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- ポリリン酸ナトリウムは、食肉のミオグロビンの色を固定化させる。
- 水酸化カルシウムは、こんにゃくいものグルコマンナンを凝固させる。
- 硫酸ナトリウムは、大豆のグリシニンを凝固させる。
- 水酸化カリウムは、魚肉のアクトミオシンの調製に用いられる。
- 塩化マグネシウムは、牛乳のκ-カゼインを部分分解する。
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(1)結着性や保水性を目的にした結着剤がポリリン酸で、色の固定は亜硝酸ナトリウム等の発色剤。(3)凝固させるのは硫酸カルシウム。(4)魚肉に塩化ナトリウムを加え擂り潰すとアクトミオシンが生成。(5)k-カゼインはカゼインミセルを安定なコロイド状態に保つ作用。キモシン酵素でk-カゼインを分解、ミセル安定化作用を失い、カゼインミセルが凝縮しカードを形成。
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Q65
- 食品の保存に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- MA(Modified Atmosphere)包装では、包装内の酸素濃度を上昇させる。
- 葉菜類は、生のまま冷凍すると変色が防止できる。
- ボツリヌス菌は、真空包装でも増殖する。
- 解凍後のドリップ量は、急速凍結により増加する。
- 冷凍保存は、食品の酸化を長期間抑制する。
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(1)二酸化炭素濃度を上昇させる。(2)そのままではなく冷凍前にブランチングを行い微生物や酵素の働きを止める。(4)細胞破壊が少ないので減少。(5)表面から酸化はされる。グレージングし、冷凍焼け・表面の酸化となる脱水を防ぐ。
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Q66
- 食品の嗜好要因と評価する測定機器の組合せである。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- かたさー破断測定機
- 付着性ーテクスチュロメーター
- 酸味ーpHメーター
- 香気成分ーガスクロマトグラフ
- 色ー示差屈折計
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(5)分光光度計を使用。示差屈折計は糖濃度測定。
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Q67
- 食塩と調理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 味付け飯の食塩添加量は、加水量の3.0%が目安である。
- すまし汁の食塩濃度は、1.2%が目安である。
- 野菜の浅漬けの脱水目的で使う食塩濃度は、野菜量の0.2%が目安である。
- 貝類の砂をはかせる目的で使う食塩水の濃度は、3.0%が目安である。
- 果物の褐変は、食塩水に浸すことで促進する。
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(1)米中水+加水の合計水量に対し0.9%程度。米重量の1.5%・加水量の1.0%・飯重量の0.6~0.7%。(2)生理食塩水の塩濃度0.9%が目安。(3)2%。細胞液より高張が必要。(5)抑制する。食塩がポリフェノールオキシダーゼの活性を阻害するため。
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Q68
- 食品のテクスチャーに関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 味覚に影響を及ぼす。
- 影響を及ぼす因子として、コロイド粒子がある。
- 急速凍結は、緩慢凍結に比べ解凍後の変化が大きい。
- えん下困難者用食品の許可基準に関係する。
- 流動性をもったコロイド分散系をゾルという。
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(3)小さい。最大氷結晶生成帯を急速通過するので細胞破損が少ない。
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Q69
- でんぷんの調理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 透明度を重視するあんかけでは、コーンスターチを使用する。
- くずでんぷんのゲルは、低温(4℃)で保存するとやわらかくなる。
- じゃがいもでんぷんのゲルに食塩を添加すると、粘度が増加する。
- ゲルに使用するじゃがいもでんぷん濃度は、2%が目安である。
- さつまいもでは、緩慢加熱によりでんぷんが分解して、甘味が増す。
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(1)じゃがいもでんぷん。比較的低温で凝固し始め温度が上がるにつれ急激に粘度が増し極めて粘度の高い透明な糊になる。コーンスターチは、糊化温度が高く糊化粘度が低く不透明。(2)固くなる。低温にすることででんぷん分子間に分散している水が失われるため。(3)固体なので粘度という概念にならない。食塩添加で分子間に分散している水を追い出すので溶解する。(4)ゲル形成する濃度は20%。2%はとろみがつく程度。