第32回管理栄養士国家試験問題~栄養教育論~
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Q100
- 「週3日休肝日にする」という行動目標を、1か月継続している男性への管理栄養士の支援である。トランスセオレティカルモデルに基づいた支援として、正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 行動目標について、家族に宣言するように勧める。
- 毎晩の飲酒を続けることによる健康へのリスクを説明する。
- 家に、アルコール飲料を置かないことを勧める。
- 休肝日を守ることのメリットとデメリットを、一緒に考える。
- お酒のエネルギー量を、調べてみるように伝える。
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対象者は実行期。維持期への変容段階に対する支援。(3)は刺激の統制にあたり正しい。(1)自己の解放(準備期から実行期へ)。(2)感情的体験(無関心期から関心期へ)。(4)自己の再評価(関心期から準備期へ)。(5)意識の高揚(無関心期から関心期へ)。
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Q101
- 血圧が高めの高齢女性に、計画的行動理論を活用した減塩のための支援を行った。主観的規範を高めるための管理栄養士の発言である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 減塩調味料を使えば、簡単に食塩摂取量を減らせますよ。
- メニューに食塩相当量を示している飲食店を紹介しますね。
- 減塩を続ければ、健康診査の結果もよくなると思いますよ。
- 工夫次第で、減塩した料理も、おいしく作れますよ。
- ご家族も、あなたがずっと元気でいてくださることを願っていますよ。
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[行動の意思]が[行動への態度]と[主観的規模][行動のコントロール感]に影響を受ける理論。(5)は主観的規模にあたる。(1)行動のコントロール感。(2)行動のコントロール感。(3)行動への態度。(4)行動のコントロール感。
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Q102
- イノベーション普及理論によれば、イノベーションの普及には、相対的優位性、適合性、わかりやすさ(複雑)、試行可能性、可観測性の5つの条件が関係する。管理栄養士が新たに作成した離乳食メニュー集を、速やかに普及させるために、相対的優位性を活用した内容である 。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- メニュー集を使って試作した人の例を、SNSで公開する 。
- メニュー集を使った離乳食教室への参加を呼びかける。
- よく使う調理器具で作れることをアピールする。
- これまでの離乳食よりも、経済的に作れることをアピールする。
- 時間のある時に作り置きし、保存する方法を説明する。
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これまでに存在した同じようなものより優位であれば採用されやすい。(4)は優位性にあたる。(1)可観測性。(2)試行可能性。(3)わかりやすさ。(5)適合性。
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Q103
- 全国の女子高校生を対象に、メディアを活用してやせすぎに対する注意喚起を促す情報を発信することになった。やせすぎの予防効果が期待される情報発信の内容と提示方法の組合せである 。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 全国の若年女性のやせの割合ーグラフ
- やせすぎによる妊孕性への影響ー解説文
- 摂食障害の事例ー漫画
- 思春期外来のある医療機関ーマップ
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見てわかりやすいもの。(3)マンガ > (1)グラフ > (2)解説文。(4)理解できるが、自分たちの問題点として自覚出来ないので当てはまらない。
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Q104
- 妊娠初期の妊婦に対する栄養カウンセリングの初回面接である。行動変容の準備性を確認する管理栄養士の発言である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 今朝、朝食に何を召し上がりましたか。
- 食事調査の結果をご覧になって、どう思われましたか。
- ご家族は、食事について、どのようにおっしゃっていますか。
- 今日お話した内容について、何か質問がありますか。
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初面談なので対象者がどのように考えているか引き出すことが重要。(1)具体的な食事内容質問。(3)周囲環境確認質問。(4)指導内容に関する質問で準備性を問うものではない。
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Q105
- 食事を食べる速さがとても速いと話す、営業職の男性肥満者に対する栄養カウンセリングである。管理栄養士が行動分析を行う際の質問である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 速く食べる時は、どのような時ですか。
- どんな食べ物が、好きですか。
- 人と一緒に食べる時にも、速いですか。
- ゆっくり食べる時も、ありますか。
- ゆっくり食べた時は、どんな気持ちですか。
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(2)を行動分析をする問にするには「好きな食べ物を食べる時も速いですか」となる。
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Q106
- 毎回学校給食を残すA子さんに、給食を完食することについて、考えを尋ねた。A子さんの発言記録の中で意思決定バランスに関する発言である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 先生に褒められると思います。
- 給食の献立が気になります。
- 元気になると思います。
- 無理して食べると気分が悪くなります。
- 残すと友達の目が気になります。
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その行動を起すことによるメリットとデメリットを考え行動の意思が決定されること。メリットがデメリットより大きな場合行動変容が起こると考えられる。(2)間食できるかどうかの条件。(1)メリット。(3)メリット。(4)デメリット。(5)デメリット。
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Q107
- ストレスマネジメントには、問題焦点コーピングと情動焦点コーピングがある。仕事の忙しさがストレスとなり暴飲暴食になってしまうと話す、肥満の単身男性のストレスマネジメントである。正しいものの組合せはどれか。1つ選べ。
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- 肥満でない同僚から話を聞く。ー情動焦点コーピング
- 気晴らしに趣味の時間を持つ。ー問題焦点コーピング
- どんな日に食べ過ぎてしまうか、考える。ー情動焦点コーピング
- 職場以外では、仕事のことを考えないようにする。ー問題焦点コーピング
- 家族に悩みを聞いてもらう。ー情動焦点コーピング
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問題焦点コーピング=問題解決のために具体的に何か行うこと。ストレス対応しようとすること。情動焦点コーピング=ストレッサ―に対する感じ方を変える。ストレス対応しようとすること。(1)問題焦点コーピング。(2)情動焦点コーピング。(3)問題焦点コーピング。(4)情動焦点コーピング。
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Q108
- 災害を想定して、校区ごとに防災ネットワークを設立することになった。地域のソーシャルキャピタルを高めるための、管理栄養士の働きかけに関する記述である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 校区ごとに、災害時に支援の優先度が高い人を把握する。
- 自分の身は自分で守れるように、非常食の確保を促す。
- 避難所運営訓練で、住民による炊き出しを指導する。
- 校区外からの、救援物資の搬入ルートを確認する。
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ソーシャルキャピタル=社会・地域における人々の信頼感・ネットワーク等社会の結束力。人と人とのつながり・ネットワーク作りを推進は(3)適切である。(1)災害時支援の優先度把握。(2)災害時の物質的確保。(4)物質的確保のための環境確認。
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Q109
- 小学校において、1年生が正しく箸を使えるようになることをねらいとした、食に関する指導を実施することとなった。ねらいに合った環境目標である。正しいのはどれか。2つ選べ。
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- ランチルームに置く、箸のサイズの種類を増やす。
- 自宅でも、正しく箸を使う児童を増やす。
- 給食で、地場産物を活用した献立を増やす。
- 縦割り給食で、1年生に箸の持ち方を教える上級生を増やす。
- 箸の使い方のマナーを、知っている児童を増やす。
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栄養教育目標は[学習目標]・[行動僕表]・[環境目標]・[結果目標]等。学習者に直接関わる目標は[学習目標][行動目標]。教育実施者に関わる目標は[環境目標]。教育最終目標は[結果目標]。(1)環境目標。(2)行動目標。(3)直接関係ない。(4)環境目標。(5)学習目標。
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Q110
- 多忙で管理栄養士との面接の時間が取れないと話す、男性に対する減量のための支援である。食事内容のモニタリングとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 定期的に、1日分の食事記録をファクシミリで送ってもらう。
- 定期的に、1日の食事内容を電話で聞き取る。
- 定期的に、1日分の食事の写真をスマートフォンで送ってもらう。
- 定期的に、ホームページ上の半定量食物摂取頻度調査に入力してもらう。
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最も負担の少ないのは(3)。(1)食事記録をつける時間確保。(2)聞取り内容によるが30分前後の時間が必要。(4)調査・調査記入時間確保が必要。
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Q111
- 独居の後期高齢者に対し、低栄養改善を目的とした訪問栄養指導を行った。実施記録内容と評価の種類の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 訪問前の電話の会話記録から、学習者の準備性を確認した。ー企画評価
- 訪問時の記録から、会話内容の理解度を確認した。ー影響評価
- 訪問前後の体重の変化から、学習者の低栄養改善を確認した。ー経過評価
- 一緒に料理を作った時の記録から、学習者の調理技術を確認した。ー結果評価
- 食料品の買い物の記録から、学習者のおおよその食費を確認した。ー経済評価
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(2)経過評価。(3)結果評価。(4)経過評価。(5)指導目標が低栄養改善なので経済評価ではないが、購入記録からたんぱく源となる食材料購入を確認すると影響評価になる。
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Q112
- 地域で、3回シリーズの調理を含む教室を実施した。栄養教育プログラムの形成的評価である。正しいのはどれか。2つ選べ。
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- 開始前のスタッフ研修で、調理の難易度を確認した。
- 初回の収支が赤字だったので、食材料費の妥当性を検討した。
- 最終回の食材クイズで、学習内容の定着度を確認した。
- プログラム終了後に、参加者の家庭での実践状況を調べた。
- プログラム終了後に、年代別の出席率を算出した。
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形成的評価は企画評価と経過評価を合わせたもの。企画に関して実施途中に妥当性を評価するもの。総括的評価は全体を通し目標達成の程度を把握し成果を明らかにする最終段階評価。(3)(4)(5)は総括的評価。
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Q113
- 高校の水泳部監督から、部員全員の体組成を毎年モニタリングしているが、体格がよくならないと相談され、部員の体作りを目的とする栄養教育に初めて取り組むことになった。栄養教育の評価デザインとして、実現可能性と精度から、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 平均体格の水泳部員1名をモデルケースとして栄養教育プログラムを実施し、教育前後の体組成を比較する。
- 水泳部員全員に栄養教育プログラムを実施し、教育前後の体組成を比較する。
- 水泳部員全員に栄養教育プログラムを実施し、教育前後の体組成の変化量を、前年同期間の部員全員の変化量と比較する。
- 水泳部員全員を、栄養教育を行うグループと行わないグループにランダムに分け、教育後にグループ間で体組成の変化量を比較する。
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(1)1名のみでは評価は難しい。(2)教育前後のみでは比較対象がないので判断が(3)より難しい。(4)体組成を向上させるのみ目的ではないので実現性は低い。
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Q114
- 個人の健康行動に作用する要因を生態学的モデルで捉えると、個人内、個人間、組織、地域、政策といった多層のレベルがある。大学生対象の適正飲酒の取組と、生態学的モデルの各レベルの組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 学生が、サークルの先輩から適度な飲酒量の話を聞いた。ー個人内レベル
- 学生が、配布された急性アルコール中毒に関するパンフレットを読んだ。ー個人間レベル
- 入学式の季節に、全学部で急性アルコール中毒防止のガイダンスを行った。ー組織レベル
- 大学構内での飲酒が、学則により全面的に禁止された。ー地域レベル
- 大学周辺の飲食店が、急性アルコール中毒防止のポスター掲示に協力した。ー政策レベル
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(1)個人間レベル。(2)個人内レベル。(4)組織レベル。(5)地域レベル。