第33回管理栄養士国家試験問題~人体の構造と機能および疾病の成り立ち~
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ヒトの細胞の分裂と分化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 受精卵は、多能性を有する細胞である。
- 胚性幹(ES)細胞は、分化した細胞である。
- 細胞の染色体数は、減数分裂により46本になる。
- 体細胞分裂は、細胞周期の間期に起こる。
- 体細胞のテロメアは、細胞分裂に伴って伸長する。
- A18 正解(1)
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(2)未分化。分化全能性細胞。(3)23本。(4)間期ではなく有糸分裂期。(5)伸長ではなく短くなる。
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たんぱく質、糖質および脂質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- βシートは、アミノ酸側鎖間の結合により形成される。
- たんぱく質の4次構造は、複数のサブユニットで形成される。
- フルクトースは、ラクトースの構成要素である。
- ヒアルロン酸は、長鎖脂肪酸である。
- 人体を構成する不飽和脂肪酸の大部分は、トランス型である。
- A19 正解(2)
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(1)ペプチド鎖館の水素結合により形成される。(3)スクロースの構成要素。(4)直鎖状のムコ多糖の一種。(5)シス型。
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核酸の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- RNA鎖は、2重らせん構造をとる。
- DNA鎖中でアデニンに対応する相補的塩基は、シトシンである。
- ヌクレオチドは、六炭糖を含む。
- DNAからmRNA(伝令RNA)が合成される過程を、翻訳と呼ぶ。
- 尿酸は、プリン体の代謝産物である。
- A20 正解(5)
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(1)1本鎖構造。(2)チミン。(3)五炭糖を含む。(4)転写と呼ぶ。
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生体エネルギーと代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 褐色脂肪細胞には、脱共役たんぱく質(UCP)が存在する。
- 電子伝達系は、ミトコンドリアの外膜にある。
- 嫌気的解糖では、1分子のグルコースから3分子のATPを生じる。
- AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。
- 脂肪酸は、コリ回路によりグルコースとなる。
- A21 正解(1)
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(2)内膜にある。(3)2分子のATPを生じる。(4)リン酸結合ではあるが高エネルギーリン酸結合ではない。(5)脂肪酸ではなく乳酸。
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代謝と酵素反応に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- グルコースは、代謝されると尿素になる。
- 脂肪酸は、代謝されるとアンモニアになる。
- 酵素反応の速度は、至適pHで最大となる。
- トリプシンの至適pHは、酸性領域にある。
- ペプシンの至適pHは、アルカリ性領域にある。
- A22 正解(3)
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(1)尿素ではなく二酸化炭素と水になる。(2)アンモニアではなく二酸化炭素と水になる。(4)アルカリ性領域にある。(5)酸性領域にある。
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糖質・脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- クエン酸回路では、糖新生が行われる。
- グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進する。
- 赤血球は、脂肪酸をエネルギー源として利用する。
- HMG-CoA還元酵素は、脂肪酸合成における律速酵素である。
- コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は、コレステロールをエステル化する。
- A23 正解(2)
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(1)脱炭酸・還元力の生成、基質レベルのリン酸化が行われる。(3)グルコースをエネルギー源として利用。(4)コレステロール合成における律速酵素である。(5)HDLのコレステロールエステルをVLDLやLDLに転送しHDL・LDLの量や質を調整。
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生体の情報伝達に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 脂溶性ホルモンの受容体は、細胞膜にある。
- セカンドメッセンジャーは、細胞間の情報伝達に働く。
- 副交感神経終末の伝達物質は、アセチルコリンである。
- シナプスにおける情報伝達は、双方向である。
- 神経活動電位の伝導速度は、無髄繊維が有髄繊維より速い。
- A24 正解(3)
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(1)細胞内にある。(2)細胞内の情報伝達に働く。(4)一方向性である。(5)遅い。
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個体の恒常性に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 過呼吸では、呼吸性アシドーシスがみられる。
- アルドステロンの過剰分泌により、代謝性アルカローシスが起きる。
- メラトニンは、夜間に分泌が減少する。
- 不感蒸泄では、電解質の喪失がみられる。
- 食物摂取後は、生体における熱産生が抑制される。
- A25 正解(2)
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(1)呼吸性アルカローシスがみられる。(3)増加する。(4)みられない。(5)亢進する。
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加齢・疾患に伴う変化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 褐色脂肪細胞は、加齢とともに増加する。
- リポフスチンの細胞内への沈着は、加齢とともに減少する。
- 良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が低い。
- 血管透過性は、炎症の急性期に亢進する。
- 肉芽組織は、炎症の急性期に形成される。
- A26 正解(4)
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(1)減少する。(2)増加する。(3)高い。(5)慢性期に形成される。
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臨床検査に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 基準値は、健常者の測定値の75%が含まれる範囲である。
- 心電図のP波は、心室の興奮を反映している。
- 便潜血反応は、大腸がんのスクリーニングとして用いられる。
- ALTの上昇は、心臓疾患に特異的である。
- CT(コンピュータ断層撮影)は、磁気を利用する検査である。
- A27 正解(3)
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(1)95%が含まれる範囲である。(2)心房の興奮を反映。(4)肝疾患に特異的。(5)X線を用いる検査。
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治療の種類とその例の組合せである。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 対症療法ー発熱の患者に対する解熱鎮痛薬の投与
- 原因療法ーC型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
- 化学療法ー子宮頸がんに対する放射線照射
- 理学療法ー脳梗塞後の麻痺に対するリハビリテーション
- 緩和療法ーがん患者に対する精神的ケア
- A28 正解(3)
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(3)化学療法ではなく放射線療法。
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栄養・代謝に関わるホルモン・サイトカインに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- グレリンは、食前に比べて食後に分泌が増加する。
- レプチンは、エネルギー代謝を抑制する。
- アディポネクチンは、インスリン抵抗性を増大させる。
- TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリン抵抗性を軽減する。
- インクレチンは、インスリン分泌を亢進させる。
- A29 正解(5)
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(1)食前に分泌が増加、食欲を増進するホルモン。(2)抑制ではなく、促進し肥満を抑制するホルモン。(3)軽減する善玉ホルモン。(4)増大させる悪玉サイトカイン。
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胆汁と膵液に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 胆汁は、胆嚢で産生される。
- 胆汁は、リパーゼを含む。
- 胆汁は、脂肪を乳化する。
- 膵液は、膵島(ランゲルハンス島)から分泌される。
- 膵液は、酸性である。
- A30 正解(3)
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(1)肝臓でつくられ胆嚢運ばれる。(2)含まない。胆汁酸・コレステロールを含む。(4)膵臓の外分泌腺から分泌。(5)アルカリ性。
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循環器疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 心房細動は、脳出血のリスク因子である。
- 心室細動は、致死性不整脈である。
- 心筋梗塞による胸痛には、ニトログリセリンが有効である。
- 仮面高血圧では、家庭血圧は正常である。
- 右心不全では、肺うっ血をきたす。
- A31 正解(2)
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(1)脳出血ではなく、血栓・塞栓症のリスク因子。(3)ニトログリセリンではなく、心臓マッサージ・自動体外式除細動器処置・再灌流療法等が有効。(4)家庭血圧は高血圧で診療室血圧が正常状態をいう。(5)肺うっ血ではなく、全身の静脈のうっ血で怒張・肝腫大・浮腫・胸水・腹水を生じる。
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脳血管障害に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- ラクナ梗塞は、脳動脈瘤がリスク因子である。
- 一過性脳虚血発作(TIA)は、脳出血の前駆症状である。
- 脳出血は、頭部CTで低吸収領域として示される。
- くも膜下出血は、症状に激烈な頭痛がある。
- 脳塞栓は、症状発現が緩徐である。
- A32 正解(4)
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(1)高血圧がリスク。(2)脳梗塞の前駆症状。(3)高吸収領域。(5)急激である。
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腎臓の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 原尿は、尿細管で生成される。
- 糸球体に流入する血液は、静脈血である。
- アルドステロンは、カリウムの再吸収を促進する。
- バソプレシンは、水の再吸収を促進する。
- 糸球体濾過量は、腎血流量の約90%である。
- A33 正解(4)
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(1)腎小体で生成。(2)動脈血。(3)カリウムは抑制、ナトリウムの再吸収を促進。(5)10%程度。
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腎・尿路系疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 急激な腎血流量減少は、腎前性急性腎不全の原因になる。
- 糖尿病腎症の第4は、たんぱく尿の出現で判定される。
- 慢性腎不全では、低リン血症がみられる。
- 腎代替療法のうち最も多いのは、腎移植である。
- 無尿は、透析導入の必須項目である。
- A34 正解(1)
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(2)出現にかかわらず、GFR30mL/分/1.73m2未満で判定。(3)高リン血症がみられる。(4)血液透析。(5)必須項目ではない。
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内分泌疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 原発性アルドステロン症では、高カリウム血症がみられる。
- 甲状腺機能亢進症では、徐脈がみられる。
- ADH不適切分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。
- 褐色細胞腫では、低血糖がみられる。
- クッシング症候群では、中心性肥満がみられる。
- A35 正解(5)
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(1)低カリウム血症がみられる。(2)頻脈がみられる。(3)低ナトリウム血症がみられる。(4)高血糖がみられる。
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神経疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 脚気では、末梢神経の障害がみられる。
- 葉酸欠乏症では、脊髄の変性がみられる。
- レビー小体型認知症の原因は、脳血管障害である。
- アルツハイマー型認知症では、パーキンソン病様症状がみられる。
- パーキンソン病では、錐体路の機能障害がみられる。
- A36 正解(1)
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(2)変性がみられるのはビタミンB12欠乏症。(3)レビー小体の脳内蓄積。(4)パーキンソン病様症状ではなく認知障害。(5)錐体外路の機能障害。
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肺炎に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- クリプトコッカスは、細菌性肺炎の原因となる。
- 肺炎球菌は、非定型肺炎の原因となる。
- 市中肺炎は、入院後48時間以降に発症した肺炎である。
- 院内肺炎は、日和見感染であることが多い。
- 誤嚥性肺炎は、肺の上葉に好発する。
- A37 正解(4)
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(1)細菌性肺炎ではなくクリプトコッカス症の原因。(2)細菌性肺炎の原因。(3)日常生活を送っている人に発症する肺炎。(5)肺の下葉に好発。
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骨に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 骨の主な無機質成分は、炭酸カルシウムである。
- 骨端軟骨は、骨端の関節面を覆う。
- 骨への力学的負荷は、骨量を増加させる。
- 骨芽細胞は、骨吸収を行う。
- ビスホスホネート薬は、骨吸収を促進する。
- A38 正解(3)
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(1)リン酸カルシウム。(2)骨幹と骨端に間に存在。(4)骨形成を行う。(5)抑制する。
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神経系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 交感神経が興奮すると、消化管の運動は亢進する。
- 副交感神経が興奮すると、唾液の分泌は減少する。
- 摂食中枢は、延髄にある。
- 三叉神経は、味覚の伝達に関与する。
- 味蕾は、味覚の受容器である。
- A39 正解(5)
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(1)抑制される。(2)増加する。(3)視床下部にある。(4)顔面の知覚・咀嚼筋運動に関与する。
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生殖器の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 卵巣は、卵胞刺激ホルモンを分泌する。
- 子宮は、底部で膣と連続している。
- 子宮内膜の増殖は、エストロゲンで促進される。
- 前立腺は、内分泌腺である。
- 精子は、精嚢で作られる。
- A40 正解(3)
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(1)下垂体前葉から卵胞刺激ホルモンは分泌する。(2)子宮頚部で膣と連続している。(4)内分泌腺ではなく精液をつくる器官。(5)精巣の精細管で作られる。
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貧血に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- ビタミンB6欠乏は、巨赤芽球性貧血をきたす。
- 銅の欠乏は、再生不良性貧血をきたす。
- 溶血性貧血では、ハプトグロビン高値となる。
- 腎性貧血では、エリスロポエチン高値となる。
- 鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能(UIBC)高値となる。
- A41 正解(5)
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(1)小球性低色素性貧血をきたす。(2)銅欠乏性貧血をきたす。(3)ハプトグロビン値は低下する。(4)エリスロポエチン分泌が低下し赤血球産生が減少。
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免疫グロブリンに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 1本のH鎖と1本のL鎖から構成される。
- 液性免疫を担当する。
- 血中に最も多く存在するのは、IgEである。
- 母乳中に最も多く存在するのは、IgMである。
- IgAは、胎盤を通過する。
- A42 正解(2)
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(1)2本のH鎖と2本のL鎖から構成。(3)IgG。(4)IgA。(5)通過するのはIgG。
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免疫・アレルギー疾患とその特徴的な症候の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 急性糸球体腎炎ー低血圧
- 強皮症ー蝶形紅斑
- シェーグレン症候群ー唾液分泌低下
- バセドウ病ー体重増加
- 橋本病ー眼球突出
- A43 正解(3)
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(1)高血圧。(2)脱色素斑。(4)体重減少。(5)甲状腺腫大。
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感染症の感染経路に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
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- 結核は、空気感染である。
- コレラは、水系感染である。
- アニサキスは、いかの生食で感染する。
- 風疹は、胎児に垂直感染する。
- C型肝炎は、経口感染である。
- A44 正解(5)
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(5)血液感染。