第33回管理栄養士国家試験問題~応用力問題~
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次の文を読み「181」、「182」に答えよ。
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K産科クリニックに勤務する管理栄養士である。医師の指示のもと、妊婦の栄養カウンセリングを担当している。妊婦は、30歳、妊娠28週目、初産婦。フルタイムの仕事(座位中心)をしている。身長160cm、体重49.0kg(妊娠前45.0kg)、血圧132/80mmHg、空腹時血液検査値は、ヘモグロビン11.6g/dL、血糖88mg/dL、LDL-コレステロール120mg/dL、HDL-コレステロール60mg/dL、トリグリセリド100mg/dL。喫煙習慣なし。飲酒習慣なし。前日の1日の食事内容を聞き取った(表)。平日はほぼこれに近い食事をしているという。
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聞き取った内容を基に、栄養カウンセリングで、取り上げるべき重要課題である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 主食の摂取量を増やすこと。
- カルシウムの摂取量を増やすこと。
- 果物の摂取量を増やすこと。
- 野菜の摂取量を増やすこと。
- A181 正解(1)
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(1)妊娠後期、やせの状況。食事バランスガイドの摂取目安と妊産婦のための食事バランスガイドの推奨から比較して食事量が少なく特に主食が少ない結果なので。
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妊婦は、自分の食生活について、特に課題はないと言う。栄養カウンセリングで、最初に行う内容である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 料理をすることのメリットとデメリットをあげてもらい、デメリットを減らすアドバイスをする。
- 食事調査の結果を、妊産婦の食事バランスガイドに照らして説明し、どのように思ったか意見を聞く。
- 夫に家事を手伝ってもらうなど、ソーシャルサポートの活用を話し合う。
- 特にアドバイスはせず、困ったことがあれば、問い合わせてもらうよう、連絡先を渡す。
- A182 正解(2)
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トランスセオレティカルモデルでいう無関心期。実態と意識の違いを理解してもらう認知的アプローチが適切。(1)関心期に行う内容。(3)実行期に行う内容。(4)カウンセリングしている意味がない。
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次の文を読み「183」、「184」、「185」に答えよ。
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K市の市立保育園に勤務する管理栄養士である。保育園に通う女児A子(9か月)の母親への栄養の指導を行っている。母親から、A子が家庭で離乳食をあまり食べないので心配との相談を受けた。A子は、身長72.5cm、体重8.7kg。精神・運動機能の発達は良好である。
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A子の出生時からの身長と体重の変化を乳児身体発育曲線に示した(図)。A子の栄養アセスメントの結果である 。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 体重は標準的な発育曲線であるが、低身長である。
- 身長は標準的な発育曲線であるが、低体重である。
- 身長・体重ともに離乳食開始後の発育不良が懸念される。
- 身長、体重ともに標準的な成長状態である。
- A183 正解(4)
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(4)測定推移から、身長は90パーセンタイル値で、体重は50から75パーセンタイル値になることから標重的成長状態。
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離乳食の与え方について、母親にたずねた。現在、離乳食は歯ぐきでつぶせる固さで1日3回与えており、母乳は欲しがるときに飲ませているという。この内容に対する栄養アセスメントである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 月齢に応じた離乳食の与え方である。
- 月齢に応じた離乳食の調理形態として、不適切である。
- 月齢に応じた離乳食の回数として、多すぎる。
- 母乳を与え過ぎている。
- A184 正解(1)
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(1)授乳・離乳の支援ガイドラインどおりであるから。
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栄養アセスメントの結果を踏まえた管理栄養士の発言である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 月齢どおりの与え方ができていますね。あまり心配せず、見守ってあげましょう。
- お子さんが食べやすい、ペースト状のおかずにしてはいかがですか。
- 食べないことが心配であれば、離乳食を2回に減らしてみては、いかがですか。
- お子さんに母乳をあげる回数を、決めましょう。
- A185 正解(1)
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(1)適切に与えていて成長状況に問題ないことを伝える。
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次の文を読み「186」、「187」に答えよ。
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K総合病院に勤務する管理栄養士である。緩和ケアチームによるラウンドを行っている。患者は、73歳、男性。昨年、膀胱がんに対して手術を行った。先月来院時に肺への転移が確認され、積極的治療を希望したため、再入院し、1か月の抗がん剤治療を開始した。再入院時の身長165cm、体重60kg、血圧136/80mmHg、空腹時血液検査値は、赤血球410万/μL、アルブミン3.7g/dL、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL。
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治療開始後より、嘔気が出現し、食欲が低下してきたため、これまでの一般食の食事内容を見直した。見直し後の食事内容の1例として、適切なのはどれか。1つ選べ。
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- ごはん、鮭のホイル焼き、肉じゃが、りんご
- 全粥、かれいの煮魚、切り干し大根の煮物、りんごゼリー
- ピザトースト、グラタン、コーンスープ、りんご
- ざるそば、冷奴、小松菜のお浸し、りんごゼリー
- A186 正解(4)
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(4)食べられるものを可能な範囲で摂取。冷たいものや室温のものがよく煮物など温かいものはにおいが強いので食べにくい。おかゆや豆腐等の消化によいもの、ゼリーやアイス等の口当たりがいいもの、麺等のど越しがよいものを選ぶ。
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治療開始1週間後に、さらに嘔気が強くなり、食事摂取量が必要栄養量の1/3以下となり、体重も1週間で3%以上減少した。この時点での栄養管理の方針である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 嗜好を重視して食事摂取量の増加を図る。
- 経鼻胃管チューブによる経腸栄養法を開始する。
- 胃瘻による経腸栄養法を開始する。
- 中心静脈栄養法を開始する。
- A187 正解(2)
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(1)低栄養の高リスク、経口摂取での改善は困難。(3)治療期間が4週間以上の場合は胃瘻を選択。(4)消化管が正常機能なので経腸栄養法を選択。
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次の文を読み「188」、「189」、「190」に答えよ。
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K診療所に勤務する管理栄養士である。居宅療養管理指導を行っている。患者は、75歳、女性。脳梗塞を発症し、左片麻痺を患いながら自宅療養している。意識ははっきりしており、嚥下障害は認めない。食事は買ってきてもらったレトルト粥、パン、牛乳などを自分で選んで食べているが、摂取エネルギー量が500kcal/日と少ない。身長146cm、体重35kg、空腹時血液検査値は、ヘマトクリット33%、赤血球380万/μL、アルブミン2.6g/dL、血糖96mg/dL、トリグリセリド80mg/dL、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。
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今後の栄養管理である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- このままの食事を継続し、モニタリングを続ける。
- 主食をめしに変更して、1日の摂取エネルギー量を1,500kcalとする。
- 食事以外の水分摂取として、現状より500mL増やす。
- 間食として栄養補助食品(200kcal、たんぱく質7g)を追加する。
- A188 正解(4)
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(1)日本人の食事摂取基準における基準値から、カロリー摂取が少なくアルブミン値も低いのでたんぱく質摂取不足のため不適切。(2)身体活動のエネルギー消費は少なく安静時代謝より少し多い程度と推定されるので1,500kcalは多い。(3)水分摂取増加促す兆候はない。
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1週間後に再訪問したところ、体重が2kg増加していた。考えられる理由として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 浮腫の増悪
- 便秘
- 脱水の改善
- 体脂肪量の増加
- A189 正解(1)
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(2)便秘症状を示していない。(3)急激な体重増加は示さない。(4)短期間では急激な増加は示さない。
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再訪問後の栄養管理である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- たんぱく質摂取量を増やす。
- 食物繊維摂取量を増やす。
- 増加させた水分摂取量500mLを継続する。
- 脂肪摂取量を減らす。
- A190 正解(1)
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低たんぱく質血症に伴う浮腫を併発なのでたんぱく質摂取量を増やす。(2)必要はない。(3)水分摂取量は制限する。(4)必要はない。
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次の文を読み「191」、「192」に答えよ。
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地域密着型介護老人福祉施設K荘に勤務する管理栄養士である。食事介助を担当している介護スタッフからの質問に対応している。入居者は、76歳、男性。1年前より入所しており、CKD(慢性腎臓病)に対するケアを行ってきた。しかし、病態が悪化して、人工血液透析に移行した。身長169cm、体重58kg、アルブミン値3.6g/dL、尿量はほとんど無し。
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施設ではこれまで、透析中の入所者に対応したことがなかったため、介護スタッフから透析移行後の食事の留意点を質問された。その回答として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 魚類と肉類の摂取量を少なくする。
- 生野菜の摂取量を多くする。
- 水分摂取を控える。
- 間食を止める。
- A191 正解(3)
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(1)透析を行う事でたんぱく質の分解が進む為、適量1日のたんぱく質60~65%を動物性食品で摂取する。(2)必要はない。カリウム摂取量が増加している為、カリウム含有量の多い野菜は水にさらす・茹でこぼす等の処理をしてから摂取する。(4)不足する体たんぱく質が分解されるので、消費エネルギーに見合う摂取エネルギーに調整し提供する。
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数日後、施設レクリエーションでバス旅行が決まった。その日の昼食はレストランで天ぷら定食を食べることが決まっており、介護スタッフより配慮すべき点を質問された。その回答として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- ごはんを半分量にする。
- 魚介類の天ぷらを全量残す。
- 野菜料理を追加する。
- 汁物と漬物を控える。
- A192 正解(4)
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エネルギー・たんぱく質の確保、塩分・カリウム・水分・リンの制限が基本の人工透析。(1)(2)減らす必要はない。(3)追加しない。
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次の文を読み「193」、「194」、「195」に答えよ。
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K事業所に勤務する管理栄養士である。来年度から始める体重管理プログラムを検討している。k事業所の従業員は1,000人(男性:300人、平均年齢42歳、女性:700人、平均年齢37歳)であり、近年、高血圧と糖尿病の罹患者が増加している。表1はk事業所の従業員の今年度のBMIの分布である。なお、k事業所の来年度のプログラム実施の予算は100万円である。
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K事業所が掲げる、来年度の健康づくりの結果目標である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 男性の肥満(25.0kg/m2以上)の割合を減らす。
- 女性のやせ(18.5kg/m2未満)の割合を減らす。
- 男女とも肥満(25.0kg/m2以上)の割合を減らす。
- 男女ともやせ(18.5kg/m2未満)の割合を減らす。
- A193 正解(3)
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(3)国民健康・栄養調査の結果と比較し男性の肥満割合が高い。女性は低いが事業所で高血圧・糖尿病患者が増えている為。
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k事業所と同系列のA事業所とB事業所が先行して体重管理プログラムを実施していた。A事業所は集団学習の教室(プログラム総費用20万円)、B事業所はアプリを活用したプログラム(プログラム総費用100万円)である。
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表2-1と表2-2は、それぞれの取組前後のBMIの分布である。K事業所は、これら取組のいずれかを来年度実施することにした。どちらを選択するかの理由である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 実施後、参加者の肥満者は0人になっているため、A事業所の取組の方がよい。
- プログラム1回20万円でできるので、5回実施できることから、A事業所の取組の方がよい。
- アプリを使った取組は、実施者側の負担が少ないため、B事業所の取組の方がよい。
- 取組の費用効果が良いため、B事業所の取組の方がよい。
- A194 正解(4)
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(4)A事業所の1人当たり費用は20万円÷13人=15000円。B事業所の1人当たりの費用は100万円÷100人=10000円。なので。
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来年度に実施するプログラムを選択したk事業所が、そのプログラムを実施する上で、優先すべき注意点である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 参加者を増やすようにする。
- 男女の人数割合を同じようにする。
- やせを増やさないようにする。
- 費用をできるだけ安くするようにする。
- A195 正解(3)
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(1)増やすことも大切だがA・B事業所結果から「3」優先。(2)体重管理プログラムは同じにしない。男性の方が肥満者が多いから。(4)安い方がよいが優先事項ではない。
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次の文を読み「196」、「197」、「198」に答えよ。
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K県の健康増進課の管理栄養士である。K県の健康増進計画を検討している。K県の健康課題は、脳血管疾患であり、死亡率は全国平均より高い。食生活の特徴では、野菜摂取量、果物摂取量(中央値)はそれぞれ5SV/日と1SV/日である。これまで、野菜摂取量の目標は5SV/日、果物摂取量の目標は2SV/日と設定してきている。また、食塩摂取量(平均値)は11g/日である。
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食生活の目標を考えるうえで、脳血管疾患と野菜および果物摂取に関連する前向きコホート研究論文を参考にした。表は野菜および果物摂取による脳血管疾患罹患の相対危険の結果である。この結果の解釈である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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- 野菜は、2SV/日未満の摂取と比較し、2~5SV/日の摂取で、相対危険が有意に低下する。
- 野菜は、2SV/日未満の摂取と比較し、5SV/日超の摂取で、相対危険は低下するが、有意ではない。
- 果物は、2SV/日未満の摂取と比較し、2~5SV/日の摂取で、相対危険が有意に低下する。
- 果物は、2SV/日未満の摂取と比較し、5SV/日超の摂取で、相対危険は低下するが、有意ではない。
- 野菜と果物ともに、2SV/日未満の摂取で、相対危険が有意に低下する。
- A196 正解(3)
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(1)95%信頼区間値が1.0を超えているので低下しているとはいえない。(2)相対危険1.0を下回り、95%信頼区間値1.0を超えていないので有意に低下している。(4)相対危険1.0を下回り、95%信頼区間値1.0を超えていないので有意に低下している。(5)相対危険1.0を超えておらず低下していない。
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研究結果を参考に、k県の現状を踏まえ、野菜と果物の摂取に関する地域住民への推奨内容を考えた。推奨内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 野菜は現状維持で、果物を増やす。
- 野菜を増やし、果物は現状維持する。
- 野菜、果物ともに増やす。
- 野菜、果物ともに現状維持する。
- A197 正解(3)
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(1)野菜も目標量に近づく者の割合を増やす必要あり。(2)果物も目標量に近づく者の割合を増やす必要あり。(4)目標量に近づく者の割合を増やす必要あり。
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野菜や果物の摂取に関する推奨を施策化する上で、考慮しなければならない事項である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- 野菜の調理法
- 食事中の野菜摂取のタイミング
- 野菜の種類
- 1日の中での果物摂取のタイミング
- A198 正解(1)
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(2)摂取量増加にタイミングが直接的につながらない。(3)摂取量増加に直接的につながらない。(4)摂取量増加にタイミングが直接的につながらない。
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次の文を読み「199」、「200」に答えよ。
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K小学校に勤務する栄養教諭である。単独校方式で600食の給食を提供している。その日の献立は、パン、鮭のムニエル、ブロッコリーのサラダ、じゃがいもとキャベツのスープ、牛乳である。図は、食品の動線図である。
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作業工程で時間帯をずらして行った方が良い作業の組合せである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- キャベツの洗浄作業ー鮭の調味作業
- ブロッコリーのゆで作業ーキャベツの切裁作業
- サラダの調味作業ー鮭の焼き作業
- スープの配缶作業ーサラダの配缶作業
- A199 正解(3)
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(1)共に下処理作業。同じ調理担当者が時間をずらし両方作業を行う事は避ける。場所が異なる為同時進行可能。(2)場所が異なるため同時進行が可能、時間をずらす必要はない。(4)配缶作業は最終工程。調理終了後から喫食まで2時間以内が望ましいので同時間帯に行うべき作業。
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ピーラーが故障し、当日の作業工程の変更をしなければならなくなった。予定では、A班はじゃがいもの下処理と鮭のムニエルを、B班はサラダを、C班はスープを担当することになっていた。変更内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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- A班のみで、じゃがいもの皮むきを行い、鮭の焼き時間を遅らせる。
- B班が、ブロッコリーをゆでた後、冷却中にじゃがいもの皮むきを手伝い、その後サラダを仕上げる。
- C班が、キャベツの洗浄・切裁を終えた後、じゃがいもの皮むきを手伝い、その後スープの加熱と調味を行う。
- A班、B班、C班の全員が、じゃがいもの皮むきを行い、その後それぞれ予定の作業を行う。
- A200 正解(4)
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(1)作業動線の交差もなく二次汚染の危険性はないが予定時間に終了しない危険性がある。(2)非汚染区域と汚染区域の行き来があり二次汚染の危険性が高くなるので避ける。(3)身支度・部屋移動のためのロスが大きい。