「幼児肥満ガイド」は、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会の4団体から構成される「日本小児医療保健協議会」の栄養委員会が中心となり作成された。
「幼児肥満ガイド」では、小児期でも肥満治療は重要であり、できるだけ早いうちに始めることが重要としている。

肥満は、小児期から子ども達の心身に様々な悪影響を及ぼし、成人した後には虚血性心疾患や肥満関連がんなどの非感染性疾患(non-communicabledisease: NCD)の原因となるため小児期からの対策が必要であり、幼児期は肥満予防のために重要な介入時期であると考えられる。

幼児期の生活習慣などの環境因子については、(1)親の肥満(とくに母親)、(2)睡眠時間が 10 時間以下であること、(3)座ってテレビを見るなどの不動の時間が 1 日 2 時間以上あること、(4)果糖を含むジュースや清涼飲料水をよく飲むこと、などが主因として挙げられている。

幼児期からこれらの生活習慣に問題があれば改善することが肥満予防の第一歩であるとしている。

幼児肥満対策には、行政が行なうべき対策と医学系学会や医療機関が行なうべき対策に二分されているが、肥満予防や軽度肥満児に対する指導は、対策の基礎となりその対策として行う介入(個別介入)は、診療所小児科医、看護師、保健師、栄養士、保育士等が実施すべき課題になるとしている。

個別介入を行う手段として「声掛け(brief opportunistic intervention)」という方法があり、欧米では成人の肥満指導などでも有効性が証明されている。日常診療の中で家族に継続的に声掛けをし、看護師や保健師は家庭訪問や保健指導等の面談の折に、保育士は日常業務の中で、栄養士は種々の講習会や栄養相談時に繰り返し添える様にする。

一例をあげると、「子供の肥満対策は家族全員で取り組もうね」「テレビやゲームなどの時間を減らそうね」といった言葉を家族に継続的に声掛けをすることが重要となる。
幼児肥満対策の主体は健康的な生活習慣を粘り強く啓発を行うことである。

その意味では、幼児や保護者に接する機会の多い専門職の役割は大きいとしている。
本ガイドラインを医師以外の看護師、保健師、栄養士、保育士、教員、スポーツ指導者などの専門職の利用を呼びかけている。

《詳しくはこちら》 ⇒ 日本小児医療保健協議会 栄養委員会 小児肥満小委員会 「幼児肥満ガイド」