職場別 仕事内容

結美ちゃん結美ちゃん

管理栄養士・栄養士の皆さんは、多くの職場で活躍しています!!
皆さんは、どの職場で活躍されますか?

「給食会社」は

 給食会社は、栄養士、管理栄養士の新卒時の就職先として最も多い場所です。
クライアント(病院、福祉施設、社員食堂など)から給食業務を請け負うことが仕事のため、給食会社へ就職した栄養士たちは様々なクライアント先へ配属されます(ただし、栄養士たちの雇用主(給与支給者)は、給食会社です)。
そして、配属先(事業所)での仕事は、給食管理業務がメインですが、その中での業務範囲や権限は、給食会社とクライアントとの業務契約内容によって異なります(例:献立作成業務はクライアント側が行う、嗜好調査は給食会社側が行う等)。

給食会社のことを「委託」と呼んでいる方も多いですが、正確には、立場によって呼び方が異なります。
給食会社は、クライアント(病院、福祉施設など)から給食業務を「受託」しているので「受託給食会社」となり、クライアントにとっては、給食を「委託」しているので「委託給食会社」と呼びます。

具体的な仕事内容

  • 給食管理業務
  • 献立作成・栄養価計算、発注、在庫管理、食材の検品
  • 原価管理、仕入れ伝票・請求書管理、売り上げ管理、小口現金管理
  • 調理、配膳、食器洗浄の担当およびチェック、指導
  • 食事摂取状況調査、嗜好調査、残食量調査の実施
  • 厨房内の食品衛生管理、従業員への衛生教育
  • 衛生、栄養関係の帳票作成・管理、保健所等の監査対応
  • 厨房人員のシフト作成、勤怠管理
  • クライアントとの調整や給食会議等への参加
  • マネジメント業務

経験を積み、適正能力があれば、下記業務担当へのキャリアアップもあります。

  • 複数事業所を統括するマネージャー業務(各事業所のクライアントとの調整、人事、売り上げ管理等)
  • 全事業所の栄養士への定期的な教育担当者(テーマ:食中毒、献立作成等)
  • 新規事業所の立ち上げ業務

キャリアアドバイザーから一言

給食会社は、クライアント(病院、福祉施設など)の給食業務を一手に引き受けるため、1日3食、365日稼働の職場が多くなります。
また、勤務時間もシフト制になることも多く、朝早くからの勤務もあります。

栄養士、管理栄養士にとって、大変ハードな職場ですが、栄養士のキャリアの基礎・土台となる「給食管理業務(献立作成、その献立がどのように調理され、提供まで繋がるかといったことや、食材の旬・単価、衛生管理など)」をしっかり学べる職場です。

さらに、事業所の異動に伴い、病院や福祉施設、社員食堂などの様々な施設での経験が積めるという良い点もあります。
「栄養指導をしたい!」という管理栄養士も、まずは栄養士として「食事作り」の現場を知ることは、長い栄養士人生のキャリアステップには必ず役立つ経験になります。

関連する資格: 食品衛生責任者、調理師 など
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「産業給食施設」とは

 企業の社員食堂、学校の学生食堂、食事付きの社員寮・学生寮などを「産業給食施設」と呼びます。
提供する食事は、朝・昼・夕全て、もしくは朝・夕のみ、昼のみ、と様々です。
また、企業、学校が厨房を運営している所もありますが、現在は給食会社へその運営を委託している所がほとんどで、献立作成、調理、衛生管理などの給食管理業務が中心です。
献立作成では、喫食者が働き盛りの社員や成長期の学生であり、活動量も多いため、ボリュームを落とさず、毎日食べても飽きがこないような内容を考案しなければなりません。

近年、「健康志向」や「一次予防」の観点から、ヘルシーな食事への需要も高いため、栄養価を考慮したメニュー作成も必要とされています。
エネルギーや塩分の表示、健康と栄養に関する豆知識の掲示、社員の方々への栄養指導、学生への食育指導などにより、喫食者の生活習慣病予防に一役買うことも重要な役目です。

さらに、企業や学校側の食事への要望・考え方、経営状態に合わせたコスト管理も非常に重要な仕事となります。

具体的な仕事内容

  • 給食管理業務
  • 食材の検品、食材切り込み、調理、盛り付け、配膳、下膳、洗浄
  • 食数管理
  • メニュー表示、掲示物の管理
  • 厨房内の食品衛生管理、従業員への衛生教育
  • 献立作成・栄養価計算、発注、在庫管理
  • 原価、売上管理
  • 労務管理(従業員のシフト作成、勤怠チェックなど)
  • 嗜好調査
  • 納入業者との交渉、打ち合わせ
  • 衛生、栄養関係の帳票作成・管理、保健所等の監査対応
  • 食育、栄養指導、他
  • 社員の方々への栄養指導、学生への食育指導
  • イベント食企画
  • メニューの栄養価表示
  • 健康と栄養に関する豆知識の掲示

キャリアアドバイザーから一言

最近はカフェテリア形式の食堂も増えており、多彩なメニューを提供しています。
喫食者が毎日同じなので、飽きさせないメニューを提案・提供できるかということも重要です。

料理が好きで、美味しい物を提供したいと思う栄養士にとっては非常にやりがいのある職場です。

また、1回に数千食を提供する食堂では、調理・盛り付けなど体力勝負の面もありますが、栄養士の勤務は日勤帯(8:00もしくは9:00頃始業)、日・祝日は固定休の場合も多いため、家庭との両立を希望する栄養士にも人気の職場です。

関連する資格:食品衛生責任者、調理師 など
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学校(栄養教諭・学校栄養職員)

 それぞれの自治体の方針によりますが、一般的に義務教育の学校にて提供される給食は、幼稚園(こども園)から中学校まで行われています。

学校給食に関わる栄養士の職として「学校栄養職員」と「栄養教諭」があります。
「学校栄養職員」は栄養士または管理栄養士の資格があり、各都道府県の職員採用試験に合格することが必要です。
一方「栄養教諭」は栄養士または管理栄養士の資格に加え、大学等で教育職員免許法に定める単位を修得し、栄養教諭免許状(専修、一種、二種)を取得後、各都道府県の職員採用試験に合格することが必要です。

また、現在、学校栄養職員から栄養教諭への移行措置が取られており、現職の学校栄養職員は、一定の在職経験と都道府県教育委員会が実施する講習等において所定の単位を修得することにより、栄養教諭免許状を取得できるよう法律上特別の措置が講じられています。

(参考)「文部科学省ホームページ 栄養教諭制度について」

具体的な仕事内容

  • 学校栄養職員
 学校給食の献立作成や調理業務を担当します。
献立作成に関して、栄養バランスはもちろんのこと、予算・季節の食材の使用・地産地消食材、残食率の低下も目標し、子どもたちが喜ぶ行事食メニューの考案も腕の見せ所です。給食だより、調理作業工程表の作成も行います。
調理業務は、調理師に混ざり一緒に給食を作ります。

管理者の位置付けのため時に、調理師・調理員に指導する立場になります。
又衛生面でも管理者でもあるため、指導も徹底して行い、必要な帳票類の作成も行います。

教諭ではないため、食育では栄養教諭や学級担任のサポーターとしての役目が多くなります。
ただ、学校に栄養教諭がおらず、学校栄養職員のみが在籍している場合、現状は栄養教諭と同じ職責のもと業務を行っている所もあります。

  • 栄養教諭
 「学校栄養職員」業務に加え、生徒に対して栄養や食事に関する授業を行うことができます。
又、児童や生徒、保護者や他の職員に、直接の指導・教育も行うことができます。 食育業務となる「食に関する指導の全体計画策定への参画」や「他の教職員との連携協力による食に関する領域や内容に関する指導」、「他の教職員や家庭・地域との連携・調整」を主な役割とし、教諭や養護教諭と並んで教育職員として位置付けられています。

  • 学校給食における基本計画の策定、学校給食委員会への参画
  • 献立作成・栄養価計算、発注、在庫管理
  • 原価管理、仕入れ伝票・請求書管理
  • 食事状況調査、嗜好調査、残食量調査の実施
  • 衛生、栄養関係の帳票作成・管理、保健所等の監査対応
  • 食材の検品、調理・配膳への指導
  • 学校行事の同行
  • 児童・生徒、保護者への個別的な相談指導、主治医・学校医・病院栄養士等との連携調整
    (対象:偏食、肥満、アレルギー、スポーツなど)
  • 児童・生徒への教科・特別活動等における教育指導
    (給食時間における学級担任や教科担任との連携指導、給食放送指導、配膳指導、後片付け指導など)
  • 食に関する指導の連携・調整(校内、家庭、地域)

キャリアアドバイザーから一言

学校栄養士は、成長期の児童・生徒達へ健康に生きていくための土台となる食生活を教える、やりがいのある仕事の一つです。

子ども好き、教育に携わりたいと考えている人には最適な職場と言えます。
何より、児童・生徒以外にもその保護者、学級担任、主治医、学校医、病院栄養士、地域と関わる人々が多岐に渡るため、コミュニケーション力に自信があることは重要な資質です。

ただ、少子化の現代では生徒数・学校数も減少しており、毎年必ず学校栄養職員や栄養教諭の正規募集・採用があるとは言えなく、ある場合でも倍率がかなり高いため、就業にはタイミングも大事になります。

そのための準備・案として、産休育休代替枠での就業スタート(その間、正規募集へチャレンジ)することもひとつとしてオススメします。

関連する資格:調理師

「児童福祉施設」と「社会福祉施設」

 児童が対象の「児童福祉施設」と、成人が対象の「社会福祉施設」に分けられます。
ここでの栄養士の業務範囲は、厨房業務を施設が直接運営しているか外部委託しているかによっても大きく変わり、小規模施設になると、厨房の受託業者(給食会社)の栄養士が施設側の栄養士業務も同時に担当する場合もあります。

「児童福祉施設」の特徴としては、保育所、乳児院、児童養護施設、知的障害児施設、肢体不自由児施設、児童自立支援施設等があります。

児童の成長を支える食事に携わるため、栄養士は栄養バランスを考えつつ、美味しい食事を提供する事が重要な仕事です。さらに、乳幼児が対象の場合、個人の月齢や体質に合わせた献立、調理スキルも必要になります。

また、児童の教育の一環として、発育・発達に合わせた食育、料理教室などを盛んに行っている所もあります。

「社会福祉施設」の特徴としては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)等があります。
これらは老人福祉法で定められている老人福祉施設です。

近年、栄養士の職場としても増えている「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者住宅」等ですが、これらは老人福祉法で定められている老人福祉施設ではありません。

様々な疾患を抱えている方も多く、食事を食べる能力自体が衰えてきていることもあり、低栄養状態を防ぐための栄養管理も重要となります。

具体的な仕事内容

  • 給食管理業務
  • 食材の検品、食材切り込み、調理、盛り付け、配膳、下膳、洗浄
  • 食数、食札管理
  • 厨房内の食品衛生管理、従業員への衛生教育
  • 献立作成・栄養価計算、発注、在庫管理
  • 原価、売上管理
  • 労務管理(従業員のシフト作成、勤怠チェックなど)
  • 嗜好調査
  • 納入業者との交渉、打ち合わせ
  • 衛生、栄養関係の帳票作成・管理、保健所等の監査対応
  • 栄養管理業務
  • 栄養ケアマネジメント
  • 栄養サポートチーム(NST)

キャリアアドバイザーから一言

現在の日本は超高齢社会であるため、社会福祉施設での栄養士の需要は高くなっています。
高齢者の皆さんが「今」を楽しく元気に過ごせるお手伝いができることにやりがいを感じられます。

施設により入所期間が長期であるため、疾患の治療と楽しみを兼ね合わせた食事であることも求められ、行事食や食に関するイベント(バイキング、屋台形式等)の機会は多くなります。

有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅での食事は、高級感やレストラン風を意識したメニューを好まれる傾向にあるため、栄養士にも豊富なレシピのバリエーションや高い調理スキル等を求められることもあります。

この分野のスペシャリストを目指す事も栄養士のキャリア形成としては非常にオススメです。
そして、現在は高齢者向けの食事サービス、商品開発等の市場も拡大しているため、社会福祉施設での栄養士キャリアを活かせる職場は拡大しています。

関連する資格:介護支援専門員(ケアマネージャー)、在宅訪問管理栄養士、健康咀嚼指導士 等

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「保育園」と「幼稚園」

 保育園も幼稚園も、小学校に通う前の子どもが通うところですが、受け入れ対象となる子どもの年齢によって大別されます。

「保育園」は保護者の事情により保育に欠ける0~1歳児から、小学校入学前までの子どもたちが入園していて、乳幼児を保護者に代わって預かる「児童福祉施設」(厚生労働省管轄)に含まれます。
「幼稚園」は3歳になった春から小学校入学前まで(3年保育の場合)の子どもたちが入園しています。(文部科学省管轄)

また、最近では保育園と幼稚園の両方の良さを兼ね備えた「認定こども園」も増えてきています。
認定こども園は、園の成り立ちによって保育と教育のどちらに重きをおくのかが異なります。

保育園と同様、保護者の事情により保育に欠ける0~1歳児から小学校入学前までの子どもたちが入園でき、保護者のニーズや地域の特性に対応できるよう、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地域裁量型の4種類のタイプがあります。(内閣府管轄)

保育園と幼稚園の栄養士は、業務内容にほとんど変わりはありません。
ただし、食事を提供するタイミングや回数は異なります。

保育園は、朝食と昼食、延長保育の子どもがいれば、夕飯も提供します。
一方、幼稚園は基本、昼食のみの提供です。

また、保育園では子どもたちの月齢に合わせた離乳食を作ることも大きな違いです。

何より、保育園も幼稚園も子どもたちの発育には個人差があるため、心身の発達や年齢に合わせた食事作りと子どもへの観察力が必要です。
保護者や保育士との連携を密に取り、アレルギー対応を取ることも重要となります。

具体的な仕事内容

  • 給食管理業務
  • 食材の検品、食材切り込み、調理、盛り付け、配膳、下膳、洗浄
  • 食数管理
  • アレルギー児への対応
  • 厨房内の食品衛生管理、従業員への衛生教育
  • 献立作成・栄養価計算、発注、在庫管理
  • 原価、売上管理
  • 労務管理(従業員のシフト作成、勤怠チェックなど)
  • 嗜好調査
  • 納入業者との交渉、打ち合わせ
  • 衛生、栄養関係の帳票作成・管理、保健所等の監査対応
  • 食育
  • 保護者向けの給食だより作成
  • 月別イベントの企画・運営(誕生会、ひなまつり、芋掘り、クリスマス等の季節行事)
  • 食育セミナー開催(6月「歯」、10月「お米収穫」、12月「カゼ予防」等)

キャリアアドバイザーから一言

健康な人・子どもを対象とした職場が良い、食育をやりたい、料理が好きな栄養士にとって、保育園・幼稚園は人気の職場です。
また、就業条件の面でも人気があります。365日3食提供している病院・施設では、給食管理に従事する栄養士の勤務は早朝勤務から遅番までのシフト制がほとんどです。

それに対し、保育園・幼稚園の栄養士は早くても7:00頃~の日勤帯の勤務で、休日も日祝は必ず休みである園も多いため、長く働きやすい環境としてオススメです。
但し、保育園・幼稚園栄養士の給与は他職場に比べ、低めです。

また、それぞれの園が持つ方針・特徴が強く反映される職場環境でもあるため、それと自分の思いや考えが合うか? は選ぶ際の最大のポイントです。
さらに、何事も園長・保育士・保護者の方々と密に連携を取り、業務を進めていくコミュニケーション力は必須です。

関連する資格:調理師 等
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病院・クリニック

 医療施設のうち、病床数(ベッド数)が20床以上のものを「病院」、19床以下のものを「クリニック・診療所・医院」と呼び、区別しています。
栄養士にとって、病院とクリニックの大きな違いの一つは、食事提供の有無です。

入院ベッドを有しないクリニックも多く、その場合、栄養士の仕事は外来患者様の栄養指導(個別・集団)が主となります。
そのため、「栄養指導をしたい!」栄養士にとっては最適な職場の一つです。
しかし、実際の栄養指導件数の多さはクリニックによって差があるため、その場合は栄養士であっても、受付・診療補助などの仕事を担う事もあります。

また「病院」には、急性期型、療養型などに分かれており、診療科や患者様の症状、容体、経過も異なります。
そのため、院内の時間の流れ・スピードや栄養士の業務内容、その煩雑さも変わります。

また、病院栄養士の業務範囲は、厨房業務を病院が直接運営しているか外部委託しているかによっても大きく変わり、直接運営している場合は、病院栄養士は栄養管理業務と給食管理業務全般も担当します。

逆に、外部委託している場合は、受託業者(給食会社)が行う給食管理業務のチェックから関わる事が多くなり、栄養管理業務に従事する割合は増えます。

さらに近年は、歯科医院での管理栄養士の求人が増えております。
少し意外性のある組み合わせにも感じますが、口腔ケアが栄養状態に密接にかかわることから「予防」の観点で働きたい方に適しています。

入院ベッドを有しないことが多いため、栄養士の専門業務としては調理というよりはカウンセリングや栄養指導が中心となります。
歯科治療にくる方を対象とするため、妊婦・小児へのアドバイスから、咀嚼に問題がある方への指導まで幅広い知識が必要となります。
また、歯科医院の一般業務として受付なども行います。

具体的な仕事内容

  • 給食管理業務
  • 食材の検品、食材切り込み、調理、盛り付け、配膳、下膳、洗浄
  • 食数、食札管理
  • 厨房内の食品衛生管理、従業員への衛生教育
  • 献立作成・栄養価計算、発注、在庫管理
  • 原価、売上管理
  • 労務管理(従業員のシフト作成、勤怠チェックなど)
  • 嗜好調査
  • 納入業者との交渉、打ち合わせ
  • 衛生、栄養関係の帳票作成・管理、保健所等の監査対応
  • 栄養管理業務
  • 栄養ケアマネジメント
  • 栄養サポートチーム(NST)

キャリアアドバイザーから一言

現在、大学では栄養指導や病態栄養学の勉強が多くなった事もあり、「栄養指導の仕事をしたい!」との希望を持つ栄養士が増えていると感じています。
ただ、病院によって特徴が違い、身に付くキャリアも変わるため、まずは自分が「どんな病院栄養士になりたいのか?」をしっかり考える事が大切です。

また、病院栄養士は治療の一環を伴う仕事です。
そのため、「スピード・正確性を必要とする業務は得意なのか?」、「比較的ゆっくりした環境での業務が向いているのか?」等、自分の適性・性格も加味し、病院栄養士を選ぶのか?選ぶならどのタイプの病院が合っているのか?までを考え、選択する事をオススメします。

そして、「栄養管理をしたい」=「給食管理はしたくない」と思っている栄養士が多い事も現状です。
しかし、献立作成・調理が出来ることは栄養士にとって必須スキルであるため、まずはそこをしっかりと身に付ける事が今後のキャリア積み上げには欠かせません。

特に、新卒者・第二新卒者の時こそ、何でも質問でき吸収できるので、早い時期に給食管理業務を経験することもオススメします。

関連する資格:病態栄養認定管理栄養士、栄養サポートチーム(NST)専門療法士・NSTコーディネーター、糖尿病療養指導士栄養経営士、在宅訪問管理栄養士等
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特定保健指導(健康保険組合)

 健康保険の保険者には、全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合の2種類があります。
健康保険は、常時700人以上の従業員がいる事業所、または同種・同業の事業所が集まって3,000人以上の従業員がいる場合は、事業主の申請により厚生労働大臣の認可を受けて、健康保険組合を設立し、事業所の実態に合った健康保険の仕事を運営することができます。

なお、健康保険組合が設立されていない事業所は、全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する健康保険に加入します。
被保険者や被扶養者の病気やけが、傷病による休業、出産、死亡などに対して、医療費の負担や各種給付金を支給しています。

また、被保険者や被扶養者の「健康づくり」をサポートするための各種事業です。
健康情報の提供、病気の予防を目的とした各種健診など、さまざまな事業を行っています。

「特定健診」とは国民医療費の約3割、日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病。
こうした生活習慣病の予備群といわれるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目して、40歳から74歳までのすべての方が対象として行うのが特定健診です。

一方「特定保健指導」とは特定健診でメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者及び予備群の方は生活習慣病の発症リスクが高いため、生活習慣を見直すサポートとして特定保健指導(積極的支援、動機付け支援)を行います。

管理栄養士の関わる業務としては特定保健指導が中心になります。
特定保健指導は、一般的に保険者からのアウトソーシングを受けて実施されます。

具体的な仕事内容

  • 積極的支援・動機付け支援
  • 対面・ICTによる初回面談(生活習慣等の聞き取り、体重目標と行動目標の設定)
  • 電話・メール等による継続支援
  • 支援期間3~6か月後の最終評価
  • 受診勧奨の架電業務

キャリアアドバイザーから一言

特定保健指導が始まってからもうすぐ15年になろうとしています。

2018年度からの第3期ではICTや分割面談などを取り入れることにより実施率の向上が目標の1つになってきています。
特定保健指導において行動計画を作成できる専門職は、医師・保健師・管理栄養士の三職種です。

生活習慣病リスクの高い方を指導する、専門性を生かすことのできるお仕事のためやりがいを感じられます。
また、派遣や業務委託の形が多いため、出産などで一度現場を離れた方が子育てしながら働きやすかったり、フリーランスで色々な土地へ行ってお仕事をしたい方にも向いています。

一方、専門性の高さから、特定保健指導の経験や病院での栄養指導経験がないと業務に付けないこともあります。
業務を開始してからも、自己研鑽が必要となるお仕事です。
興味はあるけれど経験がないという方は、特定保健指導を受託している企業や病院・クリニックで経験を積んでみるのがおススメです!
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保健所・保健センター

 保健所は、都道府県や中核都市などに設置されており、近隣住民の健康増進、保険衛生、食品安全などを担う行政機関です。
地域住民はそれらのサービスを保健センターにて受けることができます。

保健所は地域保健法に基づき、都道府県、政令指定都市、中核市などに設置されており、地域の医療機関や市町村の保健センターの活動を調整し、地域住民にサービスを提供する仕組み作りをしたり、昨今の新型コロナウィルスのような感染症等の発生時には健康危機管理の拠点となります。

また、国民健康・栄養調査の実施や特定給食施設への巡回・指導なども行います。
保健所で働く管理栄養士は公務員試験も受験しなければなりません。

一方、保健センターは赤ちゃんから高齢者まで幅広い地域住民の健康をサポートするお仕事です。
妊婦や乳幼児の栄養相談、離乳食教室、特定保健指導、高齢者の低栄養防止に関するセミナーなど住民の方々と直接関わることで支援することができます。

具体的な仕事内容

  • 保健所
  • 給食施設の巡回・指導・衛生管理
  • 地域住民の栄養相談・講習会
  • 国民健康・栄養調査の実施
  • 栄養士免許の申請受付
  • 保健センター
  • 妊産婦の栄養相談
  • 特定保健指導
  • 乳幼児の栄養相談・離乳食教室
  • 高齢者等への健康教室開催

キャリアアドバイザーから一言

地域住民の生活や健康に密接な役割を果たす、やりがいのあるお仕事です。
雇用も安定しており人気かつ、募集が少ないため倍率の高い職種です。

正職員を目指す場合には管理栄養士の免許取得に加え、公務員試験にも受かる必要があり、公務員試験の受験資格には年齢制限がございます。
会計年度任用職員としての求人は比較的よく見かけます。

どちらにせよ、募集がでるタイミングを見逃さないよう、常に情報チェックをすることが大切です。

保健センターで働く管理栄養士さんのお仕事紹介ブログはこちら

薬局

 薬局・ドラッグストアは「お薬を扱う」場所ですが、扱っている品目が違う、市販薬を購入できる、健康相談ができる、などそれぞれに特徴、違いがあります。

一般的に「薬局(調剤薬局)」とは、薬剤師が処方せんに基づいた調剤を行い、説明や相談とともにお薬を販売する場所になります。
規定の届け出を行い、健康保険対応の保険調剤を行うことができる薬局のことを「保険薬局」といいます。

私たちが普段病院にかかったあとに行く、病院や歯科医院の近くなどにある薬局のほとんどは「保険薬局」です。
お薬を調剤する調剤室が完備されており、薬剤師が常にいることが特徴です。

処方せんに基づいて販売できる「医療用医薬品」と、処方せんがなくても購入可能な「市販薬(一般用医薬品)」も販売することができます。
「保険薬局」以外の薬局として漢方薬をメインで取り扱う「漢方薬局」などもあります。

この場合の漢方薬局では、保険は適用されませんが、漢方に詳しい専門的な薬剤師が、症状のヒアリングを行い、一人一人にじっくり時間をかけ、豊富な種類の漢方薬からその方に適した漢方成分の薬を調合し、販売しています。

一方 ドラッグストアは、医薬品をはじめ医薬部外品・化粧品・日用雑貨・食料・飲料などを幅広く取り扱う小売店のことを指します。

販売対象の医薬品の中には、薬剤師以外でも販売可能な「第二類医薬品」「第三類医薬品」のほかに、調剤を必要とし薬剤師にのみ販売許可が下りている「第一類医薬品」なども含まれますが、薬剤師がいない場合は、扱っていないこともあります。

本来調剤を行わずに一般用医薬品を販売するところでしたが、近年医薬分業が進んで院外に処方箋を出す病院が増えてきたため、「調剤薬局」として薬剤師が常駐しているところも増加の傾向にあります。

具体的な仕事内容

  • 一般業務
  • 接客・販売
  • レジ、店内のPOP制作、品出し、事務作業、調剤薬局事務のサポート
  • 栄養管理業務
  • お客さまからの健康相談
  • 地域住民向けの健康イベント実施
  • サプリや生活習慣へのアドバイス

キャリアアドバイザーから一言

近年、薬局やドラッグストアでの管理栄養士求人が一般的になってきております。
調剤薬局で勤務する場合、病院の門前であればその病院の専門性をよく学んでおくべきでしょう。

調剤補助、受付、レセプトなど勤務先によっては栄養士業務以外の業務にあたることも多いです。
年数回、地域住民向けに健康・栄養教室実施を行うことも多く、これから伸びしろのある業界として提案力を求められます。

ドラッグストアで栄養士として働くと、地域住民の方との交流をすることができます。
また、病気になっている人というよりはもっと健康に過ごしたい人へのアドバイスが必要となります。
一般業務にあたるため登録販売の資格取得が推奨されます。

関連する資格:登録販売者

一般企業

 様々な企業(食・栄養・健康・生活 etc.)で社員として働くなど栄養士・管理栄養士が活躍できる場所は広がってきています。
近年、健康志向の高まりにより、付加価値があり健康に良い商品のニーズも高まっています。
また、介護食のニーズも年々上昇しています。

「食品会社」では、健康に関する知識を持った栄養士、管理栄養士の視点を活かした商品開発を進めることも増えています。

また、会社の方針、部署異動によっては、市場調査や広報といった仕事を担うこともあるため、採用では求められる知識水準も高く、一般的な会社員にも求められるビジネススキル(コミュニケーション力、プレゼン力など)、パソコンスキル、マーケティングスキル(分析力)も必要となります。

さらに、超高齢社会を迎えている日本では高齢者の低栄養・フレイルが社会問題となる中で、特に独居老人が増え、栄養バランスのとれた食事をすることの重要性が高まっています。

最近では食品会社や飲食サービス店による、栄養士・管理栄養士が献立作成・調理した、低栄養防止のためバランスの良い食事や、在宅での治療食・介護食に対応した食事の配食サービスが増えています。

具体的な仕事内容

  • 食品会社
  • 新商品の企画・開発
  • 商品を使ったレシピ考案,イベントでの販促・営業担当
  • 市場調査、広報、マーケティング
  • 品質管理
  • 配食サービス
  • 献立作成・レシピ開発
  • 試作・調理
  • 栄養価計算
  • 栄養表示やチラシ広告の作成
  • 栄養相談

キャリアアドバイザーから一言

食品会社での新商品開発は、市場調査や各部署との意見交換によって、企画を立て、予算内で試作・試食を繰り返し、完成させます。
そのため、1つの新商品の完成までには、相当な努力と時間が掛かりますが、自分が開発に関わった商品が世に出るという、とてもやりがいがある仕事と思う人も多く、人気が高い仕事です。

また、食品会社の研究・開発職は、必ずしも、栄養士、管理栄養士免許必須ではないところも多く、農学部出身者、食品・化学系の大学院出身者も採用枠に入ってきます。
そのため、新卒求人の競争率が高く、転職では求人数自体が少ないことが現状です。

食品会社への就職、転職では、自分の強みをしっかり分析し、業界分析も行い、幅広い視点で、その強みを必要としてくれる、自分に合った会社(食品系に限らず、医薬品、化粧品メーカーなど)を探すと良いでしょう。

配食サービスでは献立作成・展開、試作・試食を繰り返し、メニューを完成させます。
また、栄養価計算や販売のためのチラシ作成など幅広い業務があります。

自身が考えた献立が商品(お弁当)となり、喫食者の声・フィードバックまでを一貫して比較的近くで感じることができ、こちらもやりがいのある仕事です。
食品表示など、法に基づくラベル作成をすることもあり、就業には専門知識を求められます。調理経験、献立作成、病態と栄養など幅広い知識が必要です。

弊社(株式会社東洋システムサイエンス)も一般企業のうちの一つです。
弊社の栄養士は栄養価計算ソフトの商品企画や操作説明のほか、栄養士・管理栄養士さん向けのお仕事紹介やセミナー運営を行っています。

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スポーツ栄養関係

 アスリート、ジュニアアスリート向け、生涯スポーツ(一般の方)向け、美容・ボディメイクなど、スポーツの中でもどの分野に深く携わるかにより、指導内容は変わってきます。

アスリートやアスリートを目指す方にとって最大限の能力を発揮できるよう、また怪我を予防して質の高いトレーニングを実施しできるような食事面でのサポートが重要となります。

また生涯スポーツにおいては、子どもから高齢者までの方を対象に、健康の維持・増進のためはもちろんのこと、それぞれの地域での社交の場としての役割もあります。
スポーツを通して人々がより豊かな生活を過ごせるために、栄養や食事の面からサポートしていきます。

具体的な仕事内容

  • アスリート、ジュニアアスリート
  • 食事指導(競技特性やシーズン等状況に応じて)
  • 遠征への帯同(食祭調達や調理)
  • セミナーや教室(ジュニアでは保護者向け)
  • 生涯スポーツ、ジム
  • 食事指導、栄養相談
  • トレーニング指導
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キャリアアドバイザーから一言

ご自身がスポーツ経験者で、怪我をきっかけに食生活を見直したりパフォーマンスをより高めるためにスポーツ栄養を志す方が多いかと思います。
一般的な資格として「公認スポーツ栄養士」がありますので、これからスポーツ栄養に携わりたい方は、資格取得に向けた勉強もおすすめします。

競技特性に応じた栄養・食事の勉強はもちろんですが、その競技自体をよく知ることが必要でしょう。
実際に働く際には現場で調理に入ることもあります。

遠征先では限られた食材や条件下でも安全で適切な食事を提供することが求められます。
状況に応じたメニュー構成のアレンジが必要になることもあるため、調理経験はあった方が良いでしょう。

間口が狭く、募集も少ないのでスポーツ栄養の経験者からお話を聞いたり、人脈を作ることも重要になります。

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フリーランス

 近年は、フリーランスとして業務委託を受け働くといった栄養士・管理栄養士の活躍の場が広がってきています。
フリーランスとは個人事業主として業務を選ぶことが可能であり、様々な企業の業務を請け負い担当します。

自由度が高く、幅広い仕事に携わることができると言えるでしょう。
国家資格を取得後、すぐに独立することも可能ですが、フリーランスとして活躍している方の多くは、資格を取得後に企業や施設などに就職し、管理栄養士としての経験を積んでから独立という道を選んでいます。

築いてきたキャリアを活かしながら、得意分野でそれぞれのスキルを発揮しています。

具体的な仕事内容

  • フリーランス業務
  • 特定保健指導
  • ブログやコラムの執筆
  • セミナー、講座の講師
  • レシピ作成
  • 動画の出演
  • フリーランスとして働く際の必須業務
  • 担当する企業様ごとの内容を学び把握する
  • スケジュール管理
  • 各種書類・請求管理

キャリアアドバイザーから一言

現在、「栄養士・管理栄養士」としてフリーランスで活躍する方が増えております。
個人で仕事を受託するには全責任を自身で追うことになりますので、信頼関係が第一になります。

受託した業務をしっかりとしたスケジュール管理のもと、正確にこなし、時間や期限を守ることはもちろん、体調管理をしっかりして仕事に穴をあけないことも重要です。
まずは自分が「どのようなところで活躍したいのか?」、その仕事を確実にこなすためにはどのような経験やスキルが必要かを考えることが大切です。

「調理」や「給食管理」は必要ないと思っているも多いですが、「栄養=食」「食=調理」なので、栄養士・管理栄養士は調理ができて当たり前と考えられているため、調理経験も今後のキャリア積み上げには欠かせません。
特に、新卒者・第二新卒者の時こそ、何でも質問でき吸収できるので、早い時期に給食業務を経験することをオススメします。

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