外部執筆スタッフの赤松るみです。
特定保健指導で頑張りすぎてしまう対象者様へのアプローチにお悩みではないですか?
▼目次
頑張りすぎは逆効果?
みなさんは特定保健指導をしている時に、以下のような対象者様に出会ったことはありませんか?
減量を頑張るあまり…
・断食する
・ご飯を抜く
・野菜ばかり食べる
・間食は禁止
・お酒も禁止…
減量に前向きなのはすばらしいことですし、このような取り組みをされる人の中には、短期間で大幅な減量に成功される人もおられます。ただ極端な食事制限は続けられないことが多く、取り組みをやめた途端にリバウンドするケースは後を絶ちません。
リバウンドすると、体重は減量前と同じになったとしても、おなか周りが以前よりも増えてしまうことがあります。というのも、減量する時は脂肪と一緒に筋肉も落ちますが、リバウンド時の場合、脂肪は戻ってくるのに筋肉はほとんど戻ってこないからです。同じ重さの脂肪と筋肉を比較すると、脂肪は筋肉より体積が大きく、膨張しています。つまり、筋肉が減って、脂肪が増えてしまうと、体重が同じでも、おなか周りが大きくなるのです。せっかく減量したのに、前より太って見えてしまうなんて残念過ぎますよね。
また、たとえ取り組みを続けられたとしても、栄養不足で筋肉が減って代謝が下がったり、ストレスがたまってメンタルに不調をきたすなど、かえって体や心に悪影響が及ぶことも…。特定保健指導は3ヶ月~6ヶ月程度の期間限定ではありますが、せっかくならその期間だけではなく、その後もずっと続けられる無理のない食事法をご提案したいですよね。
ずっと続けられる食事のポイント

①ご飯は抜かない・極端に減らさない
特定保健指導の対象者の多くが「ご飯=太る」と思い込んでいます。けれど、ご飯を抜くことでエネルギーの利用効率が低下して、かえって脂肪が燃えにくい体になってしまうこともあると、栄養士の皆さんならご存知ですよね。改めて以下のグラフをご覧ください。厚生労働省が策定している食事摂取基準をもとに作成した、理想的なエネルギー摂取の割合を示しています。炭水化物の割合が半分以上を占めているのがわかります。

このグラフをもとに、必要なご飯量を計算してみると意外な量になります。成人30歳~49歳の男性の推定エネルギー必要量は2750kcal/日、女性は2050kcal/日なので、仮に総エネルギーの50%を主食のご飯からとるとすると、男性なら約290g、女性なら約220gのご飯を1日3回食べてもいい計算になるのです。けっこう多いと思いませんか?
もちろん、減量時は1日の摂取エネルギー量自体を控えるのでこの量にはならないと思いますが、減らす場合はご飯だけを減らすのではなく、この円全体を小さくするよう調整するのがおすすめです。ご飯だけを減らすと、相対的に脂質やたんぱく質の割合が増えてPFCバランスが乱れ、エネルギーが燃えにくくなるからです。減量のためにご飯量を減らしている人は、このバランスの乱れにより、それほど食べていないのにやせにくい状態になっている人が多いです。
そのような人はご飯をお茶碗1杯は食べ、おかずの量を控えめにする方が、PFCバランスが整い、やせやすくなります。さらに、ご飯を適量食べることで脳は満腹を感じやすくなるため、おかずの食べすぎや食後の間食を予防することにも繋がるのです。なお、主食はパンや、ラーメン・パスタよりもご飯を選ぶ方が、主食からとる脂質量を抑えられます。主食がパンや麺に偏っている人には、ご飯食を選ぶ回数を増やして頂くといいでしょう。
目標例としては「おかずの量を今の2/3量にする」「週3回の総菜パンをおにぎりに変える」などです。ご飯を食べていい、と伝えることで、対象者様のストレスが減り、無理なく続けやすい提案に繋がります。
②満腹を感じやすい食べ方を意識する
同じものを食べたとしても、早食いをすると、咀嚼が減り、満腹感を感じにくくなり、胃腸の働きが鈍くなって栄養の消化・吸収力も落ちてしまいます。逆に、よく嚙んで味わいながら食べると、唾液の分泌量が増え、脳が満腹を感じやすくなり、胃腸の働きもよくなって栄養の消化・吸収力が上がります。するとたくさん食べなくても満足できるようになるのです。さらに唾液が多いと味覚が敏感になります。すると薄味でもおいしく感じられるようになり、減塩に繋がります。
よく噛むためには、咀嚼を増やしやすい食べ物を選ぶことが大切です。麺やパンより、粒々したご飯の方が咀嚼を増やせますし、雑穀を加えたり、お米の精製度を下げるとよりしっかり噛めるようになります。野菜はふわふわした冷たいサラダより、ゴロゴロ具材が入った温かい味噌汁の方が、よく噛めますし、ふぅふぅしながら時間をかけて食べられます。ポテトサラダやマカロニサラダよりきんぴらごぼうや切干大根の煮物、ハンバーグよりステーキなど、噛めるかどうか視点で食べるものを選ぶよう提案してみましょう。また、おかずから食べる「おかずファースト」(特にベジファースト!)は血糖値の急上昇を抑えやすく、減量に繋がります。そのためにも、単品メニューより定食スタイルで食べる頻度を増やして頂くといいですね。
目標例としては「パスタランチを魚の定食に変える(週〇回)」「マヨネーズを使ったサラダを和の総菜にする(週〇回)」などです。よく噛めるメニューは和食に多いので、洋食より和食を選ぶ回数が増えて自然とカロリー摂取を抑えることにも繋がります。
減量してどうなりたいかをイメージしてもらうことも大切

頑張りすぎてしまう人は、体重を落とすことがゴールになっていて、その先に元気で健康になるというイメージを描けていないケースがよくあります。たとえ体は軽くなっても、筋肉や骨量、体力が落ちるようなやせ方では意味がありません。「元気になって趣味の山登りを楽しみたい」「体力をつけて週末の外出を増やしたい」など、中長期的な理想の姿をイメージして頂くといいですよ。すると、無理な減量で体を傷つけることが得策ではないと気づかれるはずです。ずっと続けられる持続可能な食事提案で、お取り組み後も無理なく体型を維持して頂ける人を増やしていきましょう。
赤松るみ
管理栄養士/健康食育シニアマスター/食事セミナー講師/食育ライター
36歳まで不健康な会社員として過ごした結果、心と身体に不調を感じて退職。人と自分自身を健康にしようと、36歳で栄養専門学校に入学して栄養学を学び、管理栄養士免許を取得後、42歳から栄養指導の仕事をスタート。これまで3000名以上のメタボリックシンドロームの方に食事指導を実施している。3食しっかり食べて、体型と健康を維持する食事法を、InstagramやYouTubeで発信中。食育セミナー講師やライターとしても活動している。著書「管理栄養士の3食『米』でもやせるコツ」(エムディーエヌコーポレーション)
◆YouTubeチャンネル「人生を変える食事の学校」登録者数1万6000人
◆Instagram
◆公式サイト
まとめ
管理栄養士として特定保健指導に関わる中で、「減量=厳しい制限」と思い込んでいる対象者様に出会うことは少なくありません。今回のコラムでは、赤松るみ先生に、そうした方々への無理のない減量支援の考え方や、実践的な提案方法について、わかりやすく解説していただきました。
極端な制限は一時的な成果を生んでも、リバウンドや体調不良につながりやすく、長期的な健康維持には逆効果です。栄養士として対象者に寄り添い、根拠のある食事指導ができることは、キャリアの中でも大きな武器になります。栄養士として「信頼される支援」を目指す方にとって、スキルアップのヒントとなったことと思います。
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