管理栄養士国家試験、気になる合格率の推移から見る対策について解説!

管理栄養士国家試験まであと100日を切り、目前になりましたね。(令和8年3月1日の国家試験の詳細はこちら!👉第40回管理栄養士国家試験の施行について ※願書提出期間は終了しました)皆さんもラストスパートをかけ始める頃でしょうか。年末年始の休暇に合わせてしっかりと勉強し、万全の状態で挑むことでしょう。
ですが今年の問題傾向や難易度はどうなのかと気になる方が参考にするのは合格率ではないでしょうか?合格率は年々変動し、難しい年だったか簡単な年だったかの傾向を知ることができるので、ある程度今年の予想ができますね。今回は過去の合格率や国家試験対策も併せてご紹介します。

👉 目次

管理栄養士国家試験の概要

まずは管理栄養士国家試験とは、具体的にどのような試験なのか見ていきましょう。

管理栄養士国家試験は、1985年の栄養士法の規定に基づき、合格すると厚生労働省から管理栄養士の資格が与えられる試験になります。1987年より国家試験は実施されており、2024年は8,056人が管理栄養士の資格を取得しました。

日程について

第40回は2026年3月1日(日)の予定となっています。

過去10年間をさかのぼると、第32回(平成30年(2018年)3月4日実施)以降2月最終週~3月初週の日曜日開催となっています。
それまでは3月の中旬が多く3月20日前後が多かったです。その場合合格発表が5月であったため、取得見込みで勤務をしている管理栄養士がいました。
また、2011年3月20日に実施された第25回国家試験は、東日本大震災の影響で受験できなかった方へ東京と宮城のみ2011年7月31日(日)に追加で試験が開催されました。(2011年に東京で受験しましたが、電車のダイヤが乱れていたため到着できるか不安だったことと余震が活発だったため、試験中も揺れていたり、緊急速報が鳴ったりと試験に集中するのが難しかったのは鮮明に記憶にあります。)

試験場所ついて

試験場所は日本各地9つの都道府県です。
北海道、宮城県、埼玉県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県、沖縄県
2022年より埼玉県が増えて9都道府県となりました。具体的な試験会場は、受験票に記載されてくるため、自分で選択することはできないようになっています。

受験資格について

受験資格は
①栄養士養成施設を卒業後、栄養士免許を受けた後に指定の実務業務に規定年数栄養士として従事した者
②管理栄養士養成施設を卒業した者(卒業見込みも含む)
のどちらかが必要になります。①の場合は実務証明書も必要なので願書の提出時には抜け漏れのないようにしましょう。

試験科目・時間について

試験はすべてマーク式になっており、計200問あります。
試験科目は、「社会・環境と健康」「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」「食べ物と健康」「基礎栄養学」「応用栄養学」「栄養教育論」「臨床栄養学」「公衆栄養学」「給食経営管理論」と多岐にわたる9科目で成り立っています。

そして午前と午後に休憩をはさみ合計5時間5分の試験時間(10時~12時25分の2時間25分、13時40分~16時20分の2時間40分)で行われます。とても長丁場の試験ですので、集中力を切らさないように、体調を整えた状態で臨みたいですね。

管理栄養士国家試験の近年の合格率動向

管理栄養士国家試験の合格基準点は皆さんご存知の通り、200点満点中120点となっています。
ただし、不適切な出題だったと試験後に有効な問題数が減る場合があり200点が満点ではない年もあります。その場合は60%の正答率であれば合格となります。
そんな管理栄養士国家試験ですが合格率はここ2年は、低下気味となっています。2018年から2020年までは例年通りの合格率が60%付近を推移していました。その後2021年は64.2%、2022年は65.1%と上昇。
しかし、2023年は56.6%、2024年は49.3%と急激な合格率の落ち込みがありました。

これらは、試験の難易度や出題方針に何らかの変化があったことが考えられます。
2023年は難しかったため、2024年は少し易しくなるのでは?と予想されていましたが、更に低迷しているようです。

また、管理栄養士国家試験は長い間、新卒者と既卒者で合格率に大きな差が生じています。
今までも新卒者では大体90%、既卒者では管理栄養士養成施設、栄養士養成施設関係なく大体20%前後になっています。働きながら網羅するには非常に幅が広く、現場の種類も多い為、実際に使う知識とは全く異なる分野も勉強する必要がある為、難易度が高くなっているようです。(例・高齢者福祉施設に努めているけれど乳幼児の栄養についてまでの知識が必要など…)

📌合格率参考:管理栄養士国家試験実施状況

合格率の変遷とその要因

管理栄養士国家試験の合格率は、このように数年おきに変動があります。
実際に、過去10年間では、合格率が60%を超える年もあれば、50%を下回る年もありました。

これは試験内容が時代のニーズに合わせて見直され、特定の科目で難易度が上がることが要因となることもあります。ここ2年では、単に暗記するだけでは解答するのが難しい複数科目の内容を関連させ正解を導きだす問題や、英語での問題、計算問題など傾向が変化した上、読解力が必要になる問題が増えたため難易度が上がっているといわれています。(実際に年々問題のページ数が増えているため。問題文が長くなっている・図や表が増えて文と絡めて理解する必要があることが分かりますね。)今後もこのような傾向が続くのであれば暗記ではなく過去問や模試を中心に複数科目に跨る実践的な問題に触れていくことが得点アップの秘訣となるでしょう。

このように合格率の変遷から、学習方法や対策を見直す際に非常に重要となってくるのがわかります。また、法令や制度・ガイドラインの改正・改定後の試験では、それらの変更内容関係の問題は出ると言っても過言ではありません。直近ですと令和6年度の介護報酬・医療報酬の改定や、2025年版食事摂取基準、特定健診第4期、食品表示基準などなど…こういった新しい内容は必ずチェックが必要です。

ちなみに…、2000年初期の頃には合格率が30%だった回もあったようです。

合格率向上のための学習法


試験の合格率を向上させるためには、効果的な学習方法を実践することがポイントとなります。
基礎知識を確実に身につけるために、教科書や参考書をしっかりと読み込み理解することが大切です。基礎知識を身につけた後に、過去の試験問題を解くことがおすすめです。過去問題を解くことは、出題傾向を把握し、知識の定着、自分の弱点知るきっかけとなります。また、模擬試験を定期的に受けることも、試験対策として重要です。試験環境に慣れること、学習の進捗度合いを確認することができます。

さらに、勉強仲間を作ることも非常に効果的です。共に学び情報交換を行い、励まし合うことで、合格を目指し高いモチベーションをもって学習に望むことができるでしょう。

そして、何よりもまず計画を立てるのが国家試験対策の第一歩です。

効果的な学習計画の立て方

3月の国家試験で6割を取る!という大きな目標を前に、どのように積み上げていくかを残りの日数、自分の確保できる時間と相談しながら計画を立ててきましょう。
また、効果的な学習計画を立てるには、まずスモールステップとして小さな目標を設定すると立てやすくなります。

例えば、「次の模擬試験で5科目は6割以上の正解率」を目標にします。そして、現状で目標の6割に届いていない、届かなそうな科目を中心に時間を割り振り、学習計画を立てていきます。(例えば今週は土日に公衆衛生学、来週は得意科目の給食経営と食べ物と健康はさらっと平日通勤中に行う…等)
また、実際に学習を進めていく中で、間違えやすい問題や項目が見つかることがあります。そういった際は、当初の学習計画にとらわれず柔軟に苦手克服へ向け対応していきましょう。合格への近道は、得意を伸ばすことも大切ですが、苦手を減らすことが重要なポイントになるかもしれません。

様々な学習リソースを効果的に使う

管理栄養士国家試験に合格するためには、様々な学習リソースを活用することが重要です。
まず、基礎知識を身につけるための教科書や参考書があります。定期的にガイドラインの改定などもあるので、最新の情報が載っている教材を選ぶことがポイントです。また、教科書や参考書だけでは理解が難しい場合にはオンライン講座やYouTubeなどの解説動画も利用することで、視覚・聴覚的にも理解を深めることができます。

次に、問題集の活用や移動中の隙間時間などでできるスマートフォンのアプリを使った問題演習もおすすめです。アプリはゲーム感覚ででき、正誤の結果がデータとして残るものもあるので学習データを振り返りながら苦手克服ができます。

さらに、受験仲間と情報交換することで、互いに学び合う機会が生まれ、知識の定着や学習の効率を高められます。これは、SNSや掲示板を活用しても可能です。仲間とともに合格を目指して切磋琢磨できる環境をぜひ作ってみてください。
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過去問や予想問題集の重要性と活用法

ここまでも度々触れてきましたが、過去問は管理栄養士国家試験の対策において非常に重要です。出題傾向の理解や学習状況・知識の定着度合いの確認、苦手分野の認識、試験時間の感覚を身につけるなど学習する中で大切な点が多くあります。応用問題等はテキストを暗記するだけでは解けないものも多く、より現場で使う実践的な考え方に触れて理解するには過去問や予想問題集を解いて考え方に慣らす必要があります。

活用法としては、解答後に正誤を確認だけでなく、解答の根拠をしっかりと理解することが大切です。また、間違えた問題・分野を重点的に復習し、自分の弱点を克服していくことが合格への近道です。そうして身につけた知識は応用問題になっても使えることが多いです。

そして合格率を上げるためには、時間内にすべての問題を解答する練習をすることが重要です。試験当日、焦らず問題に取り組むためにも、ぜひ過去問を活用し自分に合った適切な時間配分を見つけてください。また、マークシートや実際の試験の雰囲気に慣れるためには模試を受けるのがおすすめです。マークシートのずれがないかのチェックや、時間配分、途中で悩んでしまった時の対処法等をシュミレートしていても実際にはよくある話です。一度は模擬試験へ参加し、実際の試験に近い状況での自分のパフォーマンスを見直してみましょう。

みんなはどのくらい勉強している?

大体6月くらいから、累計で300時間~500時間程度、と言われているようです。
夏ごろから始めたとしても1日3時間程度取ると4か月で360時間とかなり充実した勉強ができそうです。
かなり範囲の広い管理栄養士国家試験、いきなりがっつりではなく勉強に体を慣らしていくためにも最初は少しから始めるのがおすすめです。

📌参考コラム 社会人向け!管理栄養士の国家試験の勉強はいつから始めるのが良い?
📌参考コラム <管理栄養士国家試験> 社会人でも効率良く勉強すれば合格できる!その勉強法とは

試験当日の注意点

試験当日は、長い時間かけ勉強してきた成果をしっかりと発揮できるか緊張することと思います。そんな日だからこそ、朝食は食べ慣れたもの、消化の良い栄養バランスの取れたものを食べ、脳を活性化させましょう。試験会場へは時間に余裕をもって到着するようにし、これまでの頑張りを信じて試験に臨んでください。

試験前日の準備

試験当日に、焦ることのないようにしっかりと準備しておくことが大切です。まずは、受験票や身分証明書、筆記用具といった持ち物は前日のうちにカバンに入れ準備をしておきましょう。

次に、試験会場へのアクセス方法、時間を確認しましょう。電車の遅延や道に迷う可能性もあるので到着時間には余裕を持った設定がおすすめです。初めて行く場所に不安がある人は、事前に会場へ行ってみると安心ですね。

また試験前日は、緊張や不安から遅くまで勉強したい気持ちもあるかと思います。しかし、これまでの自分の努力を信じて夜はリラックスする時間をつくり、早めに就寝し、試験当日を迎えたいですね。普段夜型の人は、試験1週間前くらいから試験当日のスケジュールに合わせた生活リズムに整えておくと、より良いでしょう。

社会人の合格体験談

既卒者の合格率は多くて2割程度…そんな厳しい中合格した方の話を何名か聞いてきました。
勉強期間については、1年前からコツコツ行う人もいれば、3か月前から慌てて本腰を入れ勉強を開始する人など環境によりそれぞれのようです。
そして皆さんこれまでの経験から、自分に合った学習スタイルで試験へ向け目標をたてながら勉強した人が多いようです。

夜にがっつりと時間を取るタイプ(大好きなビールを我慢したとか!)や通勤時間や休憩時間に耳で聞ける教材を購入した方もいらっしゃいました。
その中でも多くの合格者に共通していることは、過去問題の反復演習を行っていたことです。
過去問からの応用問題が増えている近年の傾向にもあるように、まずは過去問題を完ぺきにこなし、そこから予想問題へと移行。応用の知識や過去問では不足していた知識を取り入れること、誤っていたものに関しては正しい知識岳を覚えるようにすること、など過去問を主軸にされてる方が多かったです。

また、ずっと一人で勉強するのではなく仲間と情報交換をするや家族に応援してもらうことで、モチベーションを維持することができたと言います。
合格者たちはお互いを励まし合いながら、夢を叶えるために努力を重ねたようです。

合格者の勉強法とアドバイス

学習期間は人それぞれですが、多くの人が模擬試験を一区切りに目標を立て学習していたようです。
📌参考コラム <管理栄養士国家試験> 社会人でも効率良く勉強すれば合格できる!その勉強法とは
勉強法としては多くの人が取り入れている過去問の反復演習ですが、受験生の中には、問題集の解説を主に学習し、教科書は補足的に使った人もいたようです。また、覚えたい項目を付箋に書き冷蔵庫やトイレなどよく目にする場所に貼り、隙間時間で復習するようにしたら知らない間に覚えていた、とういうこともあります。

まずは毎日の学習習慣を身につけ、苦手な分野は繰り返し重点的に勉強することはもちろん、最後まであきらめずに学習していくことが何よりも合格には大切なことかもしれません。

まとめ

国家試験は、管理栄養士を目指す受験生にとって難関ですが、適切な対策を行えば合格率を上げることが可能です。

まず、教科書などの教材を利用し基礎知識の理解を深め、過去問や模擬試験の受験を通して、出題傾向の把握や知識の定着を目指しましょう。

また、試験日までの学習期間は楽しいことばかりではないかもしれません。そんなときは、勉強仲間と助け合うことでモチベーションを維持し、試験当日はそれまでの成果を発揮できるようになることと思います。

合格を目指し、一歩ずつ前進していきましょう。そして、試験合格後にどんな分野でスキルを磨きたいかどんな管理栄養士として働きたいかを意識してみるとよいでしょう。DietitianJobでは、国家資格を活かして働ける求人や、さらなるスキルアップにつながる職場情報を掲載しています。学びを未来のキャリアにつなげられますよう応援しています!

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