こんにちは。
DietitianJob運営会社 東洋システムサイエンス栄養士の山田です。
今回は、2026年3月15日(日)に実施した「栄養指導に必要な薬のはなし講座②~腎疾患と薬~」の様子をご紹介致します。
👉目次
新規講座!腎臓病に特化した栄養指導に役立つお薬の話
本講座は、病院・調剤薬局、介護施設、専門校の講師と幅広くご活躍されている、薬剤師の佐伯有美先生を講師としてお招きし、zoomを使ったオンライン講座で実施いたしました。
解りやすさに定評のある佐伯先生に「腎疾患」とは?と問いかけ、腎の働きから腎不全の状態にはじまり、原因になる高血圧・糖尿病・高尿酸血症にからめ、治療方法と治療薬を学びます。腎疾患自体の理解が深まることで、より良い栄養指導が行える内容となっております。
当日のラインナップ
当日のラインナップはこちら!
1. 腎臓が原因となる原発性腎機能障害の分類
2.生活習慣病が原因となる続発性の腎機能障害の分類
◎高血圧症による腎機能障害
◎糖尿病による腎機能障害
◎高尿酸血症による腎機能障害
3.腎機能障害の治療方法と治療薬
4.人工透析について
5.人工透析時に起きる症状とその治療薬
6.腎機能低下時に注意が必要な治療薬
腎臓の働き
腎臓は老廃物の排泄を担っています。
尿酸の排泄、不要となったクレアチニンの排泄、尿素は増加すると脳神経への影響があるなど重要な排泄を行う臓器です。
また電解質関連の調整も行っており、リン・カルシウム・カリウム・ナトリウムの調節、特にカルシウム・カリウム・ナトリウムは筋肉の収縮を調整し、特に心筋に関わる大切な役割です。
ビタミン・ホルモンの調整・分泌も行っています。骨密度を調節する大切なホルモンに、赤血球を作るのに必要なホルモン(エリスロポエチン)はほとんどが腎臓で作られ、血圧に重要な昇圧ホルモン(アンジオテンシンⅡ)を作るのに必要な酵素(レニン)も作っています。
それぞれの役割における身体の中での働き・大切さをポイントを復習すると同時に、腎臓の成り立ちやしくみである腎動脈・腎静脈・糸球体の動きもわかりやすく説明下さり、腎臓の大切さを再確認できました。
腎不全の分類、症状、原因等
ここからは腎不全について。
腎不全には
治ることの多い急性腎障害(AKI)
ほぼ治らない慢性腎臓病(CKD)
末期腎不全(ESKD)
の3段階があります。
そして、それぞれの状態の説明として、急性の腎前性・腎性・腎後性では異常部位と原因の解説。尿毒症の原因物質を放置すると数日で死にいたるので透析が必要なことや、慢性腎臓病の腎機能低下により起こる状態と症状として腎髄質障害からの浮腫や高血圧他、エリスロポエチン産生低下により貧血、活性型ビタミンD3産生低下による骨粗鬆症や筋力低下、止血・凝固異常による出血傾向と、様々な角度から解説していただきました。
原発性腎機能障害の分類
原発性腎機能障害とは、腎臓自体に何かが起きて発生する機能障害のこと。
日本では透析導入になる割合が高いIgA腎症はアレルギーや遺伝でおこるそうです。
また、大量のタンパク質が漏れ出る膜性腎症は原因不明とのこと、他には多発性嚢胞腎も遺伝、ネフローゼ症候群を引き起こす巣状糸球体硬化症は原因不明と他にも多数あるそうです。
また、『ネフローゼ症候群』とは病名ではなく症状を指します。
糸球体の濾過機能に障害がおき、タンパク質が大量に排出されてしまうことで低アルブミン血症・乏尿・浮腫などが起きるといった解説も頂きました。
続発性腎機能障害の分類
続発性腎機能障害とは生活習慣の蓄積で起こる腎機能障害の事です。
分類としては3つ。
〇高血圧症による腎機能障害
高血圧での腎機能障害は、透析導入率第3位となります。
長期間の高血圧症により徐々に腎臓の血管が狭く硬くなることが原因です。
そして高血圧を進行させる要因は、①加齢 ②家族性(遺伝) ③喫煙習慣 ④塩分摂取習慣 ⑤アルコール ⑥脂質異常症が主な要因です。
〇糖尿病による腎機能障害
糖尿病での透析導入率は圧倒的な第1位、透析者の40%をしめています。
腎臓の血管は細い為、高血糖により腎臓の血管が障害を受けやすい為です。また、初期は自覚症状なく腎障害の進行後に浮腫・貧血・全身倦怠感の症状に。糖尿病発症の10年後位から約3割に発症するそうです。
〇高尿酸血症による腎機能障害(痛風腎)
尿酸の結晶が腎臓内部にたまり慢性的な炎症をおこし腎機能が低下していきます。
痛風というと足先が痛む…というイメージが多いですが、体内でも血管へのダメージは深刻なのですね。
痛風は発作性の疾患なのでいかにコントロールするかが?重要とのことでした。
生活習慣病からなる腎機能障害紹介後は、治療方法と治療薬です。
腎機能障害の治療方法と治療薬(一部紹介)
腎機能障害の治療薬は、原因となる疾患の治療薬と腎不全による症状の緩和(対処療法)の組み合わせとなります。
① 不要物の蓄積:尿毒症治療薬ご紹介
球形吸着炭(クレメジン):1日3回服用 食後2時間程度開ける
尿毒症物質を吸着して排出させます。他の薬も吸着することがあるので注意が必要とのこと。又この薬が効かないと透析に。
薬の実物を拝見!びっくり真っ黒で大きめの錠剤は水にすぐ溶けしばらくすると沈殿し水は透明になりました。
② 貧血:腎性貧血治療薬ご紹介
HIF-PH阻害薬:ロキサデュスタット(エベレンソ)他:エリスロポエチン産生を促進するHIFを分解するPHの働きを抑える。
脳梗塞などの血栓・塞栓症で死亡例があり、妊婦には禁忌。
※『HIF-PH阻害薬』は全く新しい機序のため使用については注意が必要とのことでした。
鉄剤:乾燥硫酸鉄(フェロ・グラデュメット):徐放剤なのでゆっくりとけます。抗菌剤などと併用に注意が必要で、黒色便になることもあるとか。
③ 電解質・ビタミン・ホルモン異常
●高カリウム血症治療薬
高カリウム血症治療薬は、消化管内でカリウムを吸着して排出するものです。低カリウム血症に注意が必要となります。
ポリスチレンスホン酸Ca(カリメート)他:顆粒・ゼリーなど複数の財形がある。Na型ではないので塩分制限があっても使用可能。
味付き水溶剤と経口ゼリーの実物を拝見。想像より濃度がある水溶剤に経口ゼリーの見た目はお世辞にも食欲が湧くとは言えないもので…味付きなのが理解が出来ます。※ゼリーには後からフレーバーをかけることもできるそうです。

●高リン血症治療薬
高リン血症治療薬は、消化管内でリンを吸着し排出するためのお薬です。消化器症状に注意が必要となります。
透析していない方・沈降炭酸カルシウム(カルタン):甲状腺機能低下症には禁忌。
透析中の方・・・・セベラマー塩酸塩(レナジェル・フォスブロック):腸閉塞既往に禁忌。
上記以外の薬や新薬のご紹介もありました。
●高カルシウム血症への薬
カルシウム受容体作動薬は、骨から血液中へのカルシウムの移動を抑えるお薬です。低カルシウム血症に注意が必要です。
シナカルセト(レグバラ):内服薬
注射剤のエテルカルセチド(パーサビブ)は透析ルートから投与可能とのこと。
●代謝性アシドーシスへの薬
代謝性アシドーシス治療薬は、アルカリ性物質炭酸水素ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)です。
内服でナトリウムの貯留により症状の悪化する恐れがあるので注意。痛風発作の予防にも使用可能。
●ビタミンD不足への薬
活性型ビタミンD3製剤は骨吸収に関わるお薬です、高カルシウム血症に注意。
アルファカルシドール(ワンアルファ・アルファロール):内服薬 など。
④ 高血圧・浮腫の治療薬ご紹介
利尿剤は様々です。その方に合わせて選ばれます。
チアジド系利尿薬他:高血圧・浮腫の改善が期待できるが、低カリウム血症に注意が必要です。
アンジオテンシン系の降圧剤:ACE阻害薬他:腎保護作用が期待できるが末期症状だと悪化することがある。
糖尿病合併症時の新しい治療薬
SGLT2阻害薬:エンパグリフロジン(ジャディアンス):糖とナトリウムと水の排泄を増加させる。
MR拮抗薬:フィネレノン(ケレンディア):ミネラルコルチコイドによる炎症を抑制。
などもあるそうです。
腎機能低下時に注意が必要な治療薬
まずは、注意点から!
ほとんどの薬剤は腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると排泄がされないため体内で濃度が上がってしまい危険な場合があります。そのため、「容量を減らす・間隔をあける」必要があるのです。腎臓へダメージを与える薬剤は薬の変更を考えることが大切。
「未変化体」とは、肝臓で代謝を受けず薬の効果を残したまま腎臓から排泄する薬剤のことです。
腎機能が低下する・効果が強く出過ぎることがあることを薬物動態で分かりやすい説明くださいました。
未変化体で排出される代表的な薬剤(身体に残りやすい危険な薬)
一部をご紹介してくださいました。例えば…
抗菌作用のパンコマイシン(塩酸パンコマイシン)です。腎臓病のお薬ではなく、これは抗生物質になります。
パンコマイシンは安全域が狭いお薬です。
安全域が狭い…つまり、腎臓ですぐ中毒量に到達してしまいます。
腎機能が低下している患者に使用すると排泄ができずに危険なのです。
他にも、注意したい薬剤、腎毒性があると思われる薬剤、身近にある市販薬は内服に限らず貼り薬などの外用薬にも注意が必要とのことでした。
また、人工透析についての項目では、透析の種類や人工透析導入時の薬の注意点のご説明もあり、どれも興味深かったです。
まとめ・参加者の声
〇佐伯先生のセミナーには以前も参加させて頂いています。専門的で難しい表現をわかり易い言葉に言い換えて下さるので、理解が深まります。 単に薬の腎臓への働きかけだけでなく、電解質の働き、腎疾患への機序も絡めて解説していただいた事で点と点が繋がり、腑に落ちました。 今日、学んだ事を日常の業務に活かしたいと思います。早速、テキストを見返して復習します。 ありがとうございました。
〇このような腎疾患と薬に関してスポットライトを当てたセミナーは珍しく、勉強になった。
〇各薬剤の体内での作用機序が分かりやすく勉強になりました。見慣れない薬剤もたくさんあったため、スライドをもう一度見返そうと思います。本日はありがとうございました。
〇腎臓はいろんなパターンを考えて薬を使っていかなくてはいけないことが分かりました。薬の種類も多く難しかったですが、大変勉強になりました。ありがとうございました。
〇薬については幅広く難しいと改めて感じました。透析患者さんの服用している薬なども詳しく知ることが出来ました。
〇薬の特徴が知れてよかったです。患者様とのお話に広がりが出ると感じました。
佐伯先生、とても解りやすい講義をありがとうございました。
しっかりと理解するには、その場での理解だけではなく知識と記憶の定着のために復習が大切!
毎回最新情報で開催しております本講座の内容は、日進月歩ですすむ新薬を学ぶためにも再受講はお薦めです!(来年度は12月を予定しております!是非最新情報をチェックするためにもスタッフ登録がおすすめですよ♪)
Dietitian Jobでは今後も栄養士・管理栄養士の皆様の日々の業務に少しでもお役に立てるセミナーを開催していきます。
セミナー情報ページはこちらから!
👉DietitianJobセミナー情報
栄養士・管理栄養士の転職・求人サイトDietitianJob!

DietitianJob(ダイエッティシャン ジョブ)では、栄養士・管理栄養士の様々な求人を掲載しています。
あなたにあった働き方を一緒に探しませんか?
転職エージェントは全員実務経験のある栄養士・管理栄養士なので詳しいお仕事の話や、専門性のある質問にもお答えできるので相談はもちろん転職後のサポートも安心!弊社では、あなたの経験や強みを最大限に活かせるようにフォローし、理想の職場への転職をお手伝いします。
詳しくはスタッフ登録をご覧ください。
