今日からすぐ栄養指導に使える!カウンセリング基本技法

<最終更新日2025.12.18>
こんにちは、執筆スタッフの髙橋美枝です。

先日、ボランティア関係で知り合いになった方とランチをしました。
その際に感じた気持ちから栄養指導や特定保健指導で役に立つカウンセリングの基本技法をお伝えします。

👉 目次

どうしてすぐ帰りたいと思うのか

今回お会いした方は半年前にボランティア関係で知り合いになった、とはいえ………実際は、その方と個人的な話をあまりしたことがなかったので、初めてじっくりお会いしたという感じです。出かける前は少しの緊張とどんなお話ができるだろうかと自分の輪の広がりを感じわくわくとしていました。

しかしながら、話をしながらなぜか楽しいという気持ちがおこらず、すぐに帰宅したいという感情が生まれてきました。いったいなぜ…!

彼女の話を聞きながら、よーく分析すると…
すべて私の話を否定から入り、ご自身の経験をもとにアドバイスをされているなという事が分かりました。
自分の話をしたい方へ強引に持って行かれるとなかなか気持ちもついていきません。

その時に、栄養指導もここが重要なんだな!

とあらためて実感しました。

今日は、カウンセリングのスキルについての一般的な内容を、復習も兼ねてご紹介したいと思います。

信頼関係(ラポール)の構築に必要なもの

信頼関係(ラポール)の構築

今回はほとんど初めましての状態の方とお話して、もう帰りたいと思ってしまった主な原因は
信頼関係がない中、一方通行のコミュニケーションをされたこと
ですね。

こちらが言ったことを「聞いてくれない」(否定された)
そして、その状態で「一方的にアドバイスをされた」。

これではいくら素晴らしいことを言ってくださっても、素直に聞く気にはなれませんね。

以前、栄養指導で全く心を開いてくれない方がいらっしゃいました。
なんとか1つでも伺えたら良い状態でしたが、2回、3回と回数を重ねるうちに、少しずつですが信頼関係を構築することができてきました。
栄養指導を行ってらっしゃる皆様も経験があると思いますが、まずはこのラポール(信頼関係)を構築するところが大切だと感じます。

ラポールを形成することにより、対象者は自由に感情を表現することができるので、対象者がどのように思って、どういうことを望んでらっしゃることが理解することができます。

カウンセリングの基本

アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースはカウンセリングの基本的態度として、

 

  1.  純粋性 聴き手自身が心理的に安定していて、ありのままの自分を受け入れていること。
  2.  受容的態度 批判や非難の目を向けることなく受容的な態度で話し手に接すること。
  3.  共感的理解 話し手がどのように感じているか、考えているかをできる限り正確に知ろうとすること。

が必要だとしています。
表面的な同調ではなく、「ものの見方、考え方」にそって理解することである、としています。
ありのままにまず、受け止めること。そして思い込みではなく、正しく理解しようとすることが大切です。

例えば「今は仕事の残業が多く、帰宅するのは23時です。」と相手が言ったとします。あなたはどう感じますか?

→「きっと疲れてすぐ寝てしまうに違いない!」これは思い込みです。
帰宅するのが22時でも、そこから家事をするかもしれないし、夕飯や夜食を食べるかもしれない、運動をするかもしれないし、人は様々なライフスタイルで生きています。今までの対象者がこうだったからという先入観は捨てて目の前の対象者が「どのように感じているか、考えているかをできる限り正確に知ろうとすること」が大切です。

 

そして、そんな気持ちでいても、話し手にこの受容する姿勢が伝わらなければ心を開いてもらえません。
聴き手の積極的な傾聴の姿勢を話し手に示す手法として、

 

  1.  相手の視線に合わせる。
  2.  身振り手振りなどに配慮する。
  3.  声のトーン、大きさ、スピードに配慮する。
  4.  相手が話そうとする話題を容易に変えずついていくなどがあります。

栄養指導では、時間内に伝えることも多く難しい場合もありますが、上記の内容に留意し行うことにより信頼関係を作り上げることができると思います。
いつでも偏見なくまっすぐ受け止めますよ!というキャッチャーの姿勢を見せるために、信頼してもらい心を開いて話してもらうために、少し大げさなくらい頷いてみる(ゆっくりめが良いですね)、聞いていますよというのを言葉だけではなく、全身から伝えましょう

上手にカウンセリングの基本技法を使おう

閉じられた質問と開かれた質問

カウンセリングのスキルとして、閉じられた質問と開かれた質問というものがあります。

閉じられた質問

イエスかノーかで答えられる質問の事です。
例えば、今朝は朝食をとられましたか?という質問の問いに、「はい」、「いいえ」の答えが期待でき、話がしやすいという利点があります。
ですが、その後の話の発展がしにくいという欠点があります。

開かれた質問

イエスかノーかではなく、その人の考えを聞ける質問です。
今朝の朝食はどうされましたか?という質問に対しては、具体的な内容を伺うことができますね。パンだった、ご飯だった、ヨーグルトだった…はたまた食べていない?など、答えは人それぞれです。
ですが連発すると相手に負担をかけてしまうという欠点があります。

 

この2つの閉じられた質問と、開かれた質問を上手に交えて栄養指導を進めていくことが大切です。

 

他にもすぐ使える技法

他にもすぐに実践できる技法があります。

  • 励まし(うなづいたり、相づちをうち、話し手の発言を促す)
  • 言い換え(話し手の用いた言葉を別の言葉に言い換える)
  • 要約(話のエッセンスを確認する)

などがあり、これらの技法により会話を活性化したり、問題点を明確にすることができます。

例)検査で医者にこのままいくと透析だと言われました。それ以降、血糖値の数値を思い出してはまずいと思って週に2回のウォーキングを始めました。
*励まし
→なるほど、ウォーキングを始められたのですね。素晴らしいです、お忙しい中こうして自分から改善しようとして行動できる方はあんまりいないんですよ。
*言い換え
→そうなんですね、この前の検査以降、お体の為に運動を始められたんですね。
*要約
→そうでしたか。透析にならないために、ウォーキングで改善しようとしたんですね?

このように、まずは対象者の言葉を受け止めてから、それぞれの技法を使いましょう。

まとめ

栄養指導では、本格的なカウンセリングの技法を使う必要性はそれほどないかもしれません。

しかし、今回紹介したカウンセリングの基本は必要なスキルです。覚えておくことにより対象者に、的確なアドバイスや質問をすることができると考えます。

カウンセリングの技法は幅が広く、すべてお伝えすることはできませんでしたが、栄養士が今すぐに使える基本的内容をご紹介させて頂きました。

ちなみに…
そんな少し気まずいランチをした後ですが…
健康食品や肌に良い化粧品など頼んでないのに説明会へ行くことをおすすめされ、なんとか丁重にお断りして帰宅いたしました。。。

皆様も、強引な販売にはご注意下さい!

 

参考文献  木村周『キャリア・コンサルティング 理論と実際』

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