特定保健指導は「あきらめる」も肝心*保健指導初心者の管理栄養士へ🔰

特定保健指導は2008年(平成20年)4月から制度が始まり、2024年(令和6年)4月からは第4期がスタートしました。
今回は
なかなか対象者とうまくコミュニケーションが取れない…
うまくできない…
そんな方向けのコラムです。
特定保健指導なんてどうして受けなきゃいけないんだよ!という方もよろしければ是非読んで下さいね。

👉 目次

そもそも特定保健指導ってなに!?

(2026.1.16追記・管理栄養士廣江)
特定保健指導なんてどうして受けなきゃいけないの!?
そう思って検索をかけていらっしゃった方もいると思います。
すでに何度も耳にされている内容かとは思いますが、成り立ちを少しだけお話しします。

*特定健診・特定保健指導は誰がどうして始めたの!?

特定健診・特定保健指導は厚生労働省による医療制度改革の一環です。現在、生活習慣病は日本人の死亡原因の多くを占め、医療費全体の約3分の1を占めています。年々増加する生活習慣病を予防することで、医療費の適正化を図ることを目的としています

現在の日本人の死亡原因であるTOP3、皆さんご存知ですか?

1位 悪性新生物
2位 心疾患
3位 脳血管疾患

です。
その中でも2位と3位である心疾患・脳血管疾患は「メタボリックシンドローム」を放置しているとリスクがかなり上がるので、特定健診でメタボリックシンドローム予備軍、メタボリックシンドロームの人を抽出し、病気になる前の今こそ生活習慣を変えましょう!と特定保健指導を行うのです。
はい、これは国をあげて行われている予防医療のプログラムなのです。
(そうご説明すると割と対象者の皆さんがおおっ…国がやれって言ってるのか…と軟化してくださるので私もよく強調しています…)

*メタボリックシンドロームって病気じゃないし!

はい、そうです。
メタボリックシンドロームは病名ではなく、「病気になる一歩手前」の状態、いわゆる未病です。
ですがいつどうなってもおかしくない(血管障害が起きつつある)状態に近いのです。

対象者の方で「俺はピンピンコロリが良いから好きなだけ食べるんだ!」という方、いらっしゃいませんか?

ピンピンコロリならまだよいですが…大半の方はそうならず
・糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
で医者にかかることになり、医療費がかかります。

そしてそれが更に進行する、放置していると
心臓疾患、脳梗塞などで後遺症が…
糖尿病が悪化して透析が…

将来の健康が脅かされるのです。それらは一生その後も続くものも多く、病気でない今、少しの努力でこの後も美味しいものを美味しく食べれるようにしませんか?というお誘いが特定保健指導なのです。

少しは前向きになりますでしょうか…。
今回は、「前向きになってくれない」「話がうまくいかない」そんなお悩みを抱える管理栄養士さん向けのコラムです。
是非ご一読ください。

テーマはあきらめ

こんにちは、東京人材事業部 加藤です。
ようやく各地で梅雨明の知らせを聞くようになりましたね。ただ、その後の猛暑を想像するだけで気が重いですが、皆さまはいかがお過ごしですか?そして、そろそろ特定保健指導の業務が繁忙期になってまいりますね。これをご覧の方の中にも忙しく初回面接をこなしている方もおられるのではないでしょうか。

さて、私の特定保健指導のスキルについてのブログも第3回となりました。

今回のテーマは「あきらめが肝心」です。

「あきらめ」という言葉を検索すると「明らめ」「諦め」が出てきます。それぞれの言葉の意味をグーグルで検索した結果はこの通り。

 

「明らめる」

1 事情や理由を明らかにする。はっきりさせる

2 心を明るく楽しくする。気持ちを晴れやかにする。

 

「諦める」

1 もう希望や見込みがないと思ってやめる。断念する。

 

この二つの「あきらめ」をどのように使い分ければいいのか?

それでは実際に事例を使ってご紹介しますね。

実際の事例紹介

A様

男性45歳 配送センター事務員。
腹囲 95
BMI 28
血圧 138/89
中性脂肪 580
LDL142、γ-GT150 血糖値は問題なし。

生活習慣

この方は毎日お酒を2合以上飲み、単身者のために自炊はせず、総菜やコンビニ弁当を利用しています。甘い飲み物やお菓子なども週3~4回の頻度で摂っています。
配送センターの事務員なので勤務時間もシフト制で不規則。運動する時間はありません。通勤も車です。

そしてこの方はお酒が何よりの楽しみで絶対にやめたくないと言っています。
参加した理由も会社にいわれて仕方なく、というスタンスなのであまり意欲的ではありません。

まず、保健指導で第一にすることは健診結果とその数値を引き起こしているであろう生活習慣を「明らめること」です。
いわゆるアセスメント、というやつですね。
生活習慣との因果関係性をはっきりさせてそれを対象者に説明しなくては、対象者の気付きや動機づけにつながりません。

でも原因を「明らめる」…だけじゃだめ!

では、この対象者の場合、原因として見えてくるものはなんでしょうか。

毎日の飲酒2合、間食や甘い飲み物が多いこと、コンビニ弁当などを利用していること、運動する機会が少ないこと……ざっと見てもいろいろ見えてきますね。

内臓脂肪もたまっていて、中性脂肪もLDLもγ―GTも高い、となると正しい知識をお持ちの皆さんなら、一番有効なのは毎日2合の飲酒習慣をどうにかすることだ、というところに落ち着くかと思います。
そこでまず、お酒の健康への影響について伝えようと熱心に時間をかけてしまう方もいるのではないでしょうか。

もちろん、指導者側の熱意に打たれ、そこで素直に「そうか、ならお酒をやめるよ(減らすよ)」となってくれればいいのですが、そううまくいくものではありません

では、うまく説得できなかった場合はどうしたらいいか?
そのために大切なことが「諦める」ことです。

一番大切な「諦める」

実は特定保健指導には健診結果とその因果関係を「明らめる」以外に、もうひとつ「明らめ」なければいけないものがあるのです。

それは対象者の気持ちです。つまりは行動変容ステージ、ですね。

この事例の対象者は「お酒がなによりの楽しみで絶対にやめたくない、意欲的ではなく会社にいわれて仕方なく参加した人」です。

 

今回のγ―GTの数値から推測するに、これまでだって何回かお酒のことを注意されたことがある人なのだと思います。それでもやめたくないんです。

やめる、もしくは減らすことが正しい知識なのだとしても、それでも受け入れたくないし、これをいわれた瞬間に

また同じ話かよ、お酒は減らさないって言ってるじゃないか。唯一の楽しみなんだぞ

と構えてしまい、指導者に苦手意識を持ってしまい、その後の面接の時間が険悪な雰囲気になってしまうかもしれません。

特定保健指導というのは健診結果の説明をしてそれを改善するために生活習慣を見直してもらうことが目的ですが、その指標として目標体重(腹囲)と削減エネルギーと行動計画を導き出さなくてはいけません。

この項目は必須です。

どんなに険悪な雰囲気になってもこれはやらなければならないのです。

「時間切れで何も決まっていません、すみません!」ではすみません。

お酒はやめたくない、しぶしぶ来ている」──対象者のスタンスははっきりしているのですから、それでもお酒の話をし続けるのは指導者の対象者の気持ちに対する「明らめ」(理解・寄り添い)が足りない、と言えるかと思います。
対象者の反応が薄い場合に必要なのは、是が非でもお酒への影響を理解してもらうことではなくお酒の話はしても響かないんだなと指導者側が「諦める」ことです。

この事例でのアプローチ例

ではこの対象者の場合ならどうするか?──改善できる点はお酒以外にもたくさんありますよね。

例えば、間食には何を食べているのか?
菓子パンや洋菓子を食べているのであればそれを減らすだけでも、体重も減るし、中性脂肪やLDLコレステロールを下げることにつながります。

普段利用しているコンビニ弁当や総菜は何を選んでいるのか?
甘い飲み物はどんなものを飲んでいるのか?
体を動かすことへの気持ちはどうか?

この対象者のお酒以外の気持ちを明らめ、興味を持ちそうな提案をこちらでいくつか出すのです。

わかりました、では飲酒習慣はこのままにしましょう。他の間食などについて教えてください。」
この一言が肝心です。対象者様は自分の主張が受け入れられた、というまずは一歩。
「お酒をやめなくていいなら、他のことを頑張ってみようかな」と思ってもらえるチャンスなのです。

深追いせず諦めるのも一つの手

「明らめる」
実際に、私が以前参加した研修会でロールプレイを行った際、同じように「お酒をやめたくない」といった対象者役に対して私はそれを深追いしませんでした。
ただし、体への影響は説明し、今はいいですけれど、お酒が原因なのはたしかです。体重に変化が出なかった時とか、検査結果が変わらなかった時は、改めて考えていきましょうね』とうながし、減量目標、そして他の数値を改善するための行動計画を立ててロールプレイを終えました。

 

そして、ロールプレイ終了後、その時対象者役だった方からお酒をやめたくないという自分を認めてもらえて嬉しかった、他のことをやっても体重や数値は改善すると提案されてそれくらいなら頑張れそうだと思った』と言われました。

 

指導者役だった私がお酒への説得を一旦諦め、健診結果と生活習慣から明らめた他の項目についての改善ポイントを提案をしたことで対象者役の方の気持ちが楽になり、改善してみようという気持ちになったのであれば、これはこれでOKだと私は思います。

 

だって指導者にも「あきらめる」ことが肝心なように、対象者にも「あきらめる」ための時間は必要だと思いませんか?

 

まずは対象者が自分で決めたことに取り組んでもらい、それを続けていく中で、

「ああ、やっぱりあの時いわれたようにお酒を見直したほうがいいのかもしれない」

あきらめてもらえれば、それこそがお互いにとっての最高の着地点なのですから。

 


ただし、これは私の考え方です。こうしなければいけないというわけではありません。

 

「いやいや、違うし!」

「私はこういうアプローチでうまくいってるし!」

 

と思う方がいても当然です。いろいろな経験の中で自分のやり方を見つけていただければいいのではないでしょうか。
是非参考にしてみてくださいね。

 

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