<最終更新日2025.12.18>
こんにちは!外部執筆スタッフの管理栄養士 中村達也です。
1日に消費するエネルギーについては、栄養士である皆さんなら勉強したことがあるかとは思いますが、
- 知っているようで忘れてしまっている意味
- きちんと知っておくべき違い
を、再確認の意味を込め、お話ししたいと思います。
1日に消費するエネルギーとは
栄養指導や献立を立てる際にも参考にするのは対象者の1日に消費するエネルギーです。
6割が基礎代謝、3割が生活活動量、1割が食事誘発性熱産生でカロリーが消費されています。
とりあえず、基本は 基礎代謝×身体活動量 これはもう栄養士の皆さんならすぐに答えられますね。
では、基礎代謝の数字はどう出ているか…他にも安静時代謝とは…?となってくるとウッ…と詰まってしまう方も多いと思います。
表に当てはめてみているだけで数値の由来までは…なんて方も、是非続きを読んで再確認してみてくださいね。

基礎代謝(BMR)
さて、そんな基礎代謝とは「身体的・精神的に安静にしている状態でのエネルギー代謝量」であり、生命維持のためだけに必要なエネルギーです。
早朝空腹時に快適な室内等、が安静な状態だそうです。生命維持に最低限必要なエネルギーのことですが、基礎代謝を実測するのは難しいですね。
そのため、いくつかの基礎代謝に関する推定式が出されており、よく耳にする、Harris-Benedict式や、アスリートでは国立スポーツセンターから基礎代謝を測定する式が開発されています。
(基礎代謝=除脂肪体重(kg)×28.5)
です。
しかし、この基礎代謝は影響を及ぼす因子があり、多少のぶれがあります。
例えば、体表面積が広いこと、筋肉量が多いこと、季節によっても変化してしまいます。
そして体温も関係しており、体温が高ければ基礎代謝量が大きいです。
身長・体重が同じであっても平熱の差によって基礎代謝量も変わる可能性があります。
呼吸をしているだけなのに差があるのは面白いですね。

安静時代謝(RMR)
安静時代謝とは、基礎代謝量測定時のように姿勢や食事、室温、などの測定条件を規定しないで、仰臥位あるいは座位で安静に過ごしている状態消費されるエネルギーのことです。
通常、安静時代謝は、基礎代謝の10〜20%増しとしています。
おうちでゆっくりとしている状態、です。食事誘発性熱産生も含むため、より実生活の何もしない日、に近いと思います。家から全然出ずにごろごろしていた日の消費カロリー、とも言えますね。
そんな安静時代謝は、体重にも影響されます。
体重の減少に伴い、安静時代謝は減少します。
体重が重い時の方が、安静にしててもエネルギー量を多く使います。
これは歩行カロリー等でも言えることですが、体重が重い方の方が支えるのに体力を使うため、です。そしてもちろん、その体重の理由が筋肉か体脂肪かでは前者の方が消費カロリーは大きいですね。
体脂肪は重量当たりのエネルギー消費量はとても低く、全体のエネルギー代謝量は多くないためです。(筋肉の消費カロリーは脂肪の5倍ほど!)
睡眠時代謝
睡眠代謝とはその名の通り、睡眠をとっている状態のエネルギー代謝です。
睡眠状態の時は、副交感神経が優位の状態にあり、心拍数が低く、骨格筋が弛緩しており、身体の動きが少ない状態です。
以前は、基礎代謝レベルよりも低いとされていましたが、現在は、基礎代謝と同じとされています。

食事誘発性熱産生(DIT)
先ほどから何回か出ている食事誘発性産生熱とは、食べ物を食べた時にエネルギー代謝が亢進することを言います。
食べた後に体がポカポカする…が食事誘発性産生熱です。
食事誘発性産生熱は食物中の糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー比や、食事の温度、内容によって異なります。
ちなみにたんぱく質のみを摂取した食事の場合は、エネルギー摂取量の約30%に達し、糖質のみでは約6%、脂質のみでは約4%と言われています。たんぱく質を取った時が一番体温が上がる、ということです。
そして、この食事誘発性熱産生によって得られた熱は、寒い時には体温の維持、気温が適温の時には、熱は単に放出されるとされています。
実際の現場で使うには
と、ここまで代謝に関する用語の説明をしてきましたが、高齢者施設のエネルギー必要量に関しての研究があったので、少しご紹介したいと思います。
使用している基礎代謝の算出方法で、最も多かったのが、ハリスベネディクトの式で66.1%でした。
そして同時に、算出した推定エネルギー必要量が適正であるわからないといった回答が50%近くを示した結果も出ていました。
対象者のエネルギー設定は当たり前に算出しなければいけませんが、算出した根拠、その後をどのようにしていくかが大切だと思います。
献立に反映するにしても、どうしてこの数字なのかを説明できるようにしておかないと、例えば、病院から入所する時に家族から「病院の時より設定カロリーが低いのはなんでですか?」と聞かれたら困ってしまうでしょう。
僕が総合病院で勤務していた時に、今振り返ると、アセスメントやモニタリングがしっかりできていませんでした。
なぜかというと、それぞれの代謝の意味や、患者の身体状況からどうしてこう判断したか、をきちんと説明できる状態ではありませんでした。
その当時は、必要エネルギー量は、年齢や疾病によるガイドラインなどで計算したら、このくらいになったので、これでいきます!
くらいしかできていなかったからです。
いわゆる数値合わせの栄養管理。そしてガイドラインばかりを信じる、ガイドライン信者でもあったと思います。
これでは臨機応変な対応もあまりできませんよね。
少なくとも寝たきりの方はほぼ安静時代謝でも良いですが、退院即入居の方に骨折による炎症があったので病院ではカロリーが多かったですが、施設内では車椅子での生活となり、以前より運動量が減っているためこのカロリー設定になっています、という程度は自分でも理解して説明できるようにしたいですね。
まとめ
エネルギー設定の時に、基礎代謝の式で、よく使われるHarris-Benedictの式は、もともと欧米人で、年齢は21〜70歳、身長が151〜200cmの対象データを元に算定されたものです。
そのほかにもその方だけのパーソナルの代謝量を出すには筋肉量の測定などをあらゆる角度から考慮しなければいけないこともあります。
これらのことなどを踏まえながら、必要エネルギー量は算出しなければならないと思います。
ただ単に計算式に当てはめることならば、誰でもできます。
しかし、設定した根拠、今後の再プランニングも、きっちりモニタリングした上でないとできません。
また、基本となる算出式は、使うだけでなく、どのようなことを基に作られたものなのか、基礎代謝の変動として、どのような時に身体としてはどういう代謝状態を示すのか、なども理解しておくと、普段の何気ない変化と思っている部分からも対象者に対し、最善の策を立てることができるでしょう。
こういった知識は日進月歩です。
対象者の方に寄り添った栄養管理をするためにも、たまには基本中の基本を振り返ることも大切ですね。
【参考文献・ホームページ】
・理論と実践 スポーツ栄養学(神奈川県立保健福祉大学教授 鈴木 志保子著)
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