水分補給にスポーツドリンクを飲む方への指導~栄養指導に役立つ知識~

こんにちは、外部執筆スタッフの赤松留美です。

夏になると水分補給のためにスポーツドリンクを飲む方が増えますね。熱中症や脱水の予防に役立つ一方で、糖分の多さからメタボリックシンドロームや糖尿病のリスクがある方には注意が必要です。

今回は、栄養士の視点から「スポーツドリンクが適している理由」「飲むべきタイミング」「スポーツドリンクに頼りすぎない水分補給の工夫」を解説します。

▼目次

なぜ、スポーツドリンクは水分補給にいいと言われるのか?

スポーツドリンクとは、運動などで汗をかいた時に失われた水分、糖分、電解質を効率よく補給するための飲み物です。
電解質とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのこと。

体液に含まれていて、体の機能を調整する働きをしています。汗で水分と一緒に失われるので、汗をかいた後は補う必要があるのです。

水分だけをたくさん飲み過ぎて電解質を補わないと、倦怠感や吐き気、筋肉のこむら返りといった症状が起こる「低ナトリウム血症」になりやすくなります。

その点、スポーツドリンクは電解質を含んでいることに加え、体液に近い濃度や浸透圧で作られています。そのため、水分、糖分、塩分がスムーズに吸収されるので、汗をかく季節の水分補給にいいとされているのです。

スポーツドリンクはどんな時の水分補給に適切なのか

では、スポーツドリンクはどんな時の水分補給にも最適なのでしょうか?

実はそうとは限りません。名前に「スポーツ」とついているように、運動したり、体を動かして汗をかき、エネルギーを消耗した時に飲むことを想定して作られています。
また、発熱をして脱水状態で食事がとれない時などの、エネルギー、水分、電解質補給にもいいとされています。

エネルギーが摂れる………つまり、スポーツドリンクは水分と電解質だけではなく、エネルギー補給のために、糖分が多く含まれています。
一般的なスポーツドリンク500mlに含まれる糖分は、スティックシュガー約8~10本分。

これは70㎏の人が約30分のウォーキングをした時のエネルギー量に相当します。
汗をかいただけでエネルギーを消費しない場合には、エネルギーが過剰になることもありますね。

また、血糖コントロールが悪い人が飲むと、血糖値の急上昇・急降下を招き、動脈硬化を進行させやすくなります。
さらに糖分を含む飲み物をとりすぎると、吐き気、腹痛、意識が朦朧とするといった症状が出る「ペットボトル症候群」という急性の糖尿病になったり、急性ではない糖尿病になるリスクも高まるのです。

スポーツドリンクだけに頼らない水分補給のポイント

では、スポーツをしない人が水分補給をするには、どのようにすればいいのでしょうか。ここでは3つのポイントをご紹介します。

1. 普段の水分補給は水やノンカフェインのお茶にする

日常生活での水分補給は、糖分を含まない水かお茶で十分です。

ただし、コーヒー、紅茶、緑茶などカフェインを多く含む飲み物は利尿作用があるため、水分補給にはなりにくいです。
夏場の水分補給は、水やノンカフェインの麦茶、ルイボスティーなどがおすすめです。
実際に、保育園等で働く栄養士さんは覚えがあると思いますが、日常的な水分補給にお茶や水を推奨するケースが多いですよね。

また、水分摂取量の目安は体格や汗をかく量によって異なるのではっきりした指針はありません。

ただ一般的に成人の場合は1日1リットル~1.5リットル以上飲むといいとされています。
一度にたくさんの水を飲んでも吸収されにくいので1回あたりコップ1杯(200ml)程度にしておきましょう。

2. 3食、食事をとる

水分補給=飲み物というイメージがあるかもしれませんが、私たちは摂取する水分量の半分を食べ物からとっています。
食欲がないからといって食事を抜いてしまうと水分量も減ってしまうので、3食食べるようにしましょう。

さらに食事からは水分だけではなく、エネルギー、塩分やミネラル、ビタミンを補給することができます。
暑さで消耗しやすい季節こそ、しっかり食べることが大切です。

献立は食べやすいものでいいのですが、水分をしっかり摂れるという点では、パン食よりご飯食がおすすめです。

食パン1枚と比べると、ご飯1杯には約3倍の水分が含まれています。
さらに具だくさんのお味噌汁を飲むと、水分に加え、塩分やミネラル、ビタミンも摂れるので、熱中症予防になりますね。

3.活動量が多い日はスポーツドリンクや塩飴と水かお茶を併用する

外出や運動などで活動量が増える日は、スポーツドリンクを活用されてもいいと思います。

ただし、何本でも飲んでいいというわけではなく、エネルギー消費量にあわせて1本はスポーツドリンク、1本は水かお茶にするというように量を調整するのがおすすめです。

またスポーツドリンク丸々1本も必要ないと感じる時は、塩飴と水で代用されるのも簡単です。

夏は適切な水分補給をしていただきたいですが、メタボリックシンドロームが悪化させないことも大切です。熱中症や脱水を予防しつつ、検査数値の改善に繋がる支援をしていきたいですね。

赤松留美
管理栄養士/健康食育シニアマスター/ライター
36歳まで不健康OLだった経験をもとに、3食しっかり食べて、体型と健康を維持する食事法を提案。年間500名以上にメタボリックシンドロームの方向けの個別栄養サポートを実施。お米を中心にした食事によるダイエット法を伝えるセミナー等も開催

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まとめ

水分補給は夏場の健康管理に欠かせません。ですが「スポーツドリンク=健康的」と思い込んでしまうと、糖分や塩分の摂りすぎにつながることもあります。

栄養士・管理栄養士として働くうえで、こうした正しい知識を持ち、対象者にわかりやすく伝えることは大切な役割のひとつです。これは、病院・保育園・高齢者施設など、さまざまな職場で求められるスキルでもあります。

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