こんにちは。DietitianJob運営メンバー、管理栄養士の廣江です。
栄養士として働くうち、ライフステージの変化や、意識の変化、体調不良や人間関係等、ひとつの職場で最後まで働く方は多くないのが現状です。今の職場で良いのか…そんなお悩みや転職への不安を抱える皆さんへ、他の栄養士の転職記をお届けします。
今回は精神科クリニックの食事相談で栄養指導、栄養相談の魅力に気が付き、内科や皮膚科クリニックの栄養相談、パーソナルジムの栄養相談で現在活躍中の管理栄養士さんのお話です。
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管理栄養士になったきっかけ
こんにちは、転職体験記第10弾を担当します、外部執筆スタッフの森です。
管理栄養士になったきっかけ
高校生の頃、わたしは「料理」という世界に魅了されました。
きっかけは、母子家庭だったこと。
ある日突然、「お母さん、今日からわたしが料理するね」と宣言しました。
もともと料理が得意だったわけではありません。ただ、“なんとなく楽しそう”という直感。それが始まりでした。

ひとつのことに集中し、好きなことをとことん追求する性格は今も変わりません。
当時はインターネットで簡単にレシピ検索ができる時代ではなかったので、図書館で食について調べ、料理番組を観て、料理本を読み、スーパーのレシピカードは必ず持ち帰りました。お気に入りのレシピはノートに書き写し、自分だけの一冊を作っていました。
制服姿の高校生が毎日のようにスーパーで食材を買うのですから、やはり目立ちます。レジの方と仲良くなり、「今日は何を作るの?」と声をかけてもらう時間が、当時の小さな楽しみでした。
次第に料理は「楽しい」を超えて、「もっと深く知りたい」ものになりました。
・食のスペシャリストになりたい
・料理を科学的に掘り下げたい
・レシピを書ける人になりたい
そう思うようになり、大学進学を決意。お茶の水女子大学を卒業後、管理栄養士免許を取得しました。
『相談』という仕事との出会い
卒業後は大学病院や一般企業に勤務しましたが、実は管理栄養士としての業務ではありませんでした。
同僚から「せっかく資格を持っているのにもったいない」と言われ、「たしかにそうかもしれない」と思い、精神科クリニックへ転職しました。
そこで出会ったのが、「相談」という仕事です。
わたしの勤めた精神科クリニックでの「相談」とは栄養指導ではなく、「生活相談」「診察前相談」というものです。
カウンセリングのようなニュアンスになります。
診察前に患者さまの体調や服薬状況を丁寧に伺い、生活リズム表を用いながら、日々の食事リズムを整えることの重要性をお伝えしました。
向精神薬を長期間服用されていることで体重増加を心配されている方には、間食の選び方や主食の摂り方について具体的なアドバイスを行いました。
この経験を通して、うつ病と糖尿病の関連性についてさらに関心を持つようになりました。
当初のわたしは、どちらかといえば静かなタイプ。人とのコミュニケーションが特別得意だったわけではありません。それでも毎日多くの患者さまと向き合ううちに、対話の奥深さと面白さに魅了されていきました。
上手に話すことよりも、まず相手に興味を持つこと。
何に困り、どんな未来を望んでいるのかを知ろうとすること。
ゴールイメージを共有しながら会話を重ねていくうちに、わたし自身が相談業務を心から楽しめるようになりました。そしてそれが、患者さまの笑顔につながっていったように感じています。

心理学を体系的に学んだわけではありません。
でも、尊敬するドクターから言われた言葉を今も大切にしています。
「人の気持ちはわからない。だからこそ面白い。
勉強するほど、わかった気になってしまう。
スキルではなく、その人を想う気持ちと、その場で感じた自分の感覚を大切にしなさい。」
この言葉が、わたしの相談の軸になっています。
栄養指導業務の立ち上げ
転居をきっかけに精神科クリニックを退職。
「相談」に関わる仕事を続けたいと考え、栄養指導に絞って転職活動を行い、現在の内科クリニックにたどり着きました。
クリニックではこれから栄養指導を始めるので管理栄養士の求人を出していました。
栄養指導のはじまり
しかし、内科での栄養指導経験はゼロ。先輩もいない。
正直、不安はありました。
ちょうどその頃、新型コロナウイルスが流行し、栄養指導開始は半年延期に。その待機期間に改めて内科領域を学び直し、ツールを準備することができました。
用意したのはたった二つ。
「1週間分の食事記録表」と「食事バランスシート」。
精神科での経験から、整った生活リズムとバランスのよい食事が理解してもらいやすく、結果に繋がりやすいと実感していたからです。
糖尿病の栄養指導というと食品交換表を用いることが多いですが、初めて見たときに感じたのは「難しい」という印象でした。患者さまにとっては、なおさら難しいのではないか。
そしてわたしは、「指導=一方的に教える」という形に違和感を持っていました。
だからこそ、
栄養指導ではなく、“対話を重ねて、一緒に考える栄養相談”
を目指しました。
性格や生活背景を丁寧にヒアリングし、その人の生活に落とし込める提案をする。
時には食事アプリやレシピサイト、YouTube、Instagram、ChatGPTなども活用しながら、「一緒に見てみましょうか」と楽しく進めています。

苦労も楽しく乗り越える
順風満帆だったわけではありません。
当初は、
「栄養相談=食事制限」というイメージが強く、
「制限するくらいなら薬のほうが楽」
「どうせ続かない」
といった声も少なくありませんでした。
正直、心が折れそうになることもありました。
でも、反論も説得もせず、ただ受け止め続けました。
そして2年ほど経った頃、担当患者さまが診察室でこんな話をしていました。
「先生、食事のことなんて調べればわかるのよ。
でもね、あの子と話していると元気になれるの。
それだけで健康になれる気がするのよ。」
偶然耳にしたその言葉に、涙が出そうになりました。
そのとき気づいたのです。
わたしが伝えたいのは知識の正しさではなく、
「健康になることは楽しい」という感覚なのだと。

そこから、「また話したいと思っていただける管理栄養士になる」ことを心がけました。
すると少しずつ患者さまが増え、継続率も高まり、新規予約は2か月待ちに。
今では「薬もいいけれど、まず栄養指導を受けてみよう」という空気が院内に広がっています。
患者さまからいただく言葉が、今もわたしの支えです。
栄養指導をがんばる管理栄養士の皆さまへ
栄養指導に自信が持てない。
思うように結果が出ない。
それでも、前に進もうとしている方がたくさんいらっしゃると思います。
知識を増やし、ツールを工夫し、伝え方を研究することも大切です。
でも何より大切なのは、
「目の前の人が何を望み、どう変わりたいと思っているのか」
そこに耳を傾けること。
知識は、相手が受け取りやすい形で。
押し付けるのではなく、共に選ぶ。
栄養指導が「楽しい体験」になる人が一人でも増えることを願っています。
わたしの現在と想い
内科での栄養相談は6年目。現在は25名を担当しています。
今年からは皮膚科で乾癬やアレルギーに対する栄養相談も開始しました。さらに、パーソナルジムでの栄養管理サービスにも関わっています。
👉管理栄養サービス「〜ととのう〜」
食べることは、本来楽しいもの。
それなのに、正解を求めすぎて、不安や恐怖に変わってしまうことがある。
「これでいいんだ」と、自分の感覚を信じられること。
それこそが、食の本来のあり方だと思っています。

気持ちをほどき、経験を重ね、「だいじょうぶ」と自信につなげていく。
それが、わたしの仕事です。
そして管理栄養士という仕事を、心から誇りに思っています。
栄養指導の求人は実際ある?
素敵な転職体験記でしたね、ありがとうございました!
今回は栄養指導、栄養相談でご活躍されている管理栄養士さんの転職記でした。病院ではなくクリニックだからこそ個人に寄り添った相談ができるのかもしれません。
クリニックでの管理栄養士配置はまだまだ少なく、糖尿病・腎臓病内科、透析クリニックや生活習慣病専門のクリニックではない限りはほぼほぼ採用・配置はない状況です。ここ近年は産婦人科、歯科、整形外科クリニックでも少しずつ求人を見かけるようになりましたが、非常勤での採用が主です。
また、クリニックは少数精鋭の職場が多いため、即戦力が求められます。経験や資格があるかないかで大きく差が出るでしょう。
狭き門ではありますが、体験記の通りとてもやりがいのある仕事であることは間違いありません。結果が数値として出た、相談してよかった、対象者様と直接対話して得られるものはかけがえのない経験になります。興味のある方はぜひ求人情報をチェックし、エージェントへ相談してみてくださいね。
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