<最終更新日 2025.10.9>
こんにちは。外部執筆スタッフの管理栄養士の広田千尋です。
市町村に設置されている保健センターは、赤ちゃんから大人まで、幅広い年代の地域住民を対象に、さまざまな保健サービスが提供されています。
管理栄養士が配置されていることが多く、管理栄養士の働き先のひとつです。
筆者である私は嘱託職員(臨時職員)として3年間、保健センターで働いていました。
この経験をもとに、保健センターで働く管理栄養士の仕事内容について解説します。
👉 目次
保健所とは何か?その概要と役割
保健所とは、地域の公衆衛生を守るための専門機関であり、保健行政を主導する役割を果たしています。日本全国に設置され、地域の健康問題を把握し、必要な対策を講じることが目的とされています。
主に、疾病予防、健康増進、環境衛生など多岐にわたる業務がありますね。
また、保健所の役割には、感染症の監視や健康診断の実施が含まれます。感染症が発生した際には、迅速に対応し、地域への影響を最小限に抑えるための施策を講じます。また、健康診断を通じて、住民の健康状態をチェックし、早期発見や予防を促進する重要な役割も担っています。
さらに、普段の生活における健康教育も欠かせない業務です。地域住民に対して栄養や運動の重要性についての啓発を行い、自らの健康管理を促すための知識を提供します。こうした活動によって、健康な生活を送るための支援が行われています。
保健センターで働く管理栄養士の仕事内容
保健所で働く管理栄養士は、地域の健康を守る重要な役割を果たしています。主には地域の健康維持と促進や生活習慣病予防という一次予防に関わることが非常に多いです。具体的な仕事内容はどのようなものがあるのでしょうか。実際にしていた仕事も含めてご紹介します。

特定保健指導
特定保健指導は、40~74歳が対象の特定健診の受診者のうち、生活習慣病発症リスクが高い方に行われています。
📌参考:特定健診・特定保健指導について
食事や運動など、生活習慣改善のためのサポートをするのが保健センターの管理栄養士の役割です。
私の場合、対象者へアポイントを取り、保健センターに来所してもらう、または自宅などへ訪問して面談をしていました。
その後は電話や手紙などで継続的にサポートを行います。
仕事をしている人、していない人(主婦や退職者)など、人によってアプローチの仕方もさまざまです。
適切なサポートができるよう、当時は研修会や講座を受講し、知識を磨いていました。
妊婦や乳幼児の栄養相談
保健センターでは、妊婦や乳幼児に向けた栄養相談が実施されています。
妊婦向けでは、個人の栄養相談、また教室を開催し食事に関する講話を担当していました。
また乳幼児向けでは、乳幼児健診(4ヶ月健診や1歳半健診など)の際の食事に関する相談を管理栄養士が担当していました。
子どもの食の悩みは多く、悩んでいる保護者へ寄り添ったサポートが望まれます。
ほかに、離乳食教室や親子料理教室などを開催し、実際に調理してもらう体験もしていました。
地域住民向け健康教室

地域住民の健康づくりを目的などとして、健康教室を行っている保健センターもあります。生活習慣病(糖尿病や高血圧など)予防のほかにも、骨粗しょう症予防や寝たきり予防のテーマなど、さまざまなテーマで教室を開催していました。
管理栄養士は食事や栄養に関する部分を担当し、講話や資料作りなどを行います。
地域住民向けですので、和気あいあいとした雰囲気で行われることが多く、緊張せずに進められていました。
人前に立って話すのが苦手な方でも、無理なく取り組みやすいかと思います。
他にも様々
このように栄養相談が一番業務としては多く目立ちます。
自治体や保健所によっては、給食センターでの献立作成や、施設ごとの発注を行う業務や、給食費の管理を任される場合もあります。また、栄養士は給食施設のスタッフへの教育を兼ねて巡回指導も行います。施設から提出された栄養報告書をチェックし、不足している施設へは直接指導を行います。
また、地域住民への栄養情報の提供も欠かせません。昨今はSNSでの業務もあります。
📌参考:神奈川県厚木保健福祉事務所の朝ごはんレシピ
地域によっては料理教室、高齢者が多いのであれば高齢者向けの栄養相談・食事相談、子供が多ければ親や小学校等への食育をとその地域ごとに仕事内容が変わってくるのもとても特徴的です。また、地域の書類のチェックも多く、また地域の色々な方と接する機会が多いのも行政栄養士ならではですね。
また、栄養調査の実施も重要な業務の一環です。この調査は、地域住民の食生活や栄養状態を把握するために行われますが、多くの場合、年齢や性別、生活習慣に基づいて調査対象者が決定されます。
調査手法は主に、食事日誌の記入やアンケート形式で進められます。食事日誌では、対象者に一定期間の食事内容を記録してもらい、実際の栄養摂取状況を把握します。この方法により、普段の食事の傾向や不足している栄養素を明示化することが可能となるのです。
働いてみて良かった点・悪かった点
働いてみて良かった点は、さまざまなライフステージの方の健康づくりに関われたところです。
赤ちゃんから高齢者まで関わることができ、実践的な知識を身に付けることができました。
そして保健センターは、土日祝日は閉館していることが多いため、休日が固定されるのも働きやすいと感じた点でした。
悪かった点は、良かった点の裏返しになりますが、幅広い年代の知識が必要なところです。
妊婦、離乳食、幼児食の知識から、生活習慣病などさまざまな知識を必要とされるため、自主的な勉強は欠かせません。働きはじめは参考書を買ったり研修会に参加したりと、足りない知識を補うことに必死でした。
私のように経験が少なく就職する方は、働き始めは少し苦労するかもしれません。
保健センターで働くには?

保健センターでは、正職員(公務員)での募集と、臨時職員(または嘱託職員)での募集と大きく2通りあります。
正職員になるためには公務員試験の受験が必要です。
毎年採用があるわけではないため、こまめに募集がないかチェックしておきましょう。
臨時職員は一般的な就職活動と同じように、面接や採用試験などを受けて就職します。
年末~2月頃にかけてハローワークに募集が出ているのを多く見かけます。こちらも欠かさずチェックしておくと良いでしょう。
保健センターはやりがいのある仕事のひとつ
保健センターは仕事の幅が広く、やりがいのある働き先のひとつです。休日も固定されていることが多いため、働きやすさも魅力でしょう。人数も少なく門戸が狭い職業ではありますが、ぜひ一次予防に関わりたい方にはおすすめしたい職業です。
こちらの記事が働く先を探す際の参考になりましたらうれしいです。
栄養士・管理栄養士の転職はDietitianJob!

DietitianJob(ダイエッティシャン ジョブ)では、栄養士・管理栄養士の様々な求人を掲載しています。
あなたにあった働き方を一緒に探しませんか?弊社のエージェントは全員実務経験ありの栄養士・管理栄養士!
詳しいお仕事の話や、専門性のある質問にもお答えできるので転職後も安心!
弊社では、あなたの経験や強みを最大限に活かせるようにフォローし、理想の職場への転職をお手伝いします。
詳しくはこちらをご覧ください。
