わたしの転職体験 第6弾~栄養士の転職記~

<最終更新日 2025.10.14>
栄養士として働くうち、ライフステージの変化や、意識の変化、体調不良や人間関係等、ひとつの職場で最後まで働く方は多くないのが現状です。今の職場で良いのか…そんなお悩みや転職への不安を抱える皆さんへ、他の栄養士の転職記をお届けします。参考になれば幸いです。

👉 目次

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栄養士の転職の実情

ここ10年程度で、食育という単語は一般的なものになりましたね。平成13年「食と農の再生プラン」において、「『食』の安全、『食』の選び方や組み合わせ方を子ども達に教える『食育』の促進」という文言が農林水産省から出た頃から着目され、食育が着目されるとほぼ同時に栄養士、管理栄養士への注目や期待が上がっています。
そんな栄養士ですが、食事に携わる事が多く、身近で健康への貢献を感じられ、やりがいの多い仕事ではある反面、土日や祝日のお休みが少ない、立ちっぱなし等が多く重労働な職場も多く、ライフステージの変化や、ライフワークバランスを考えて転職をする方は少なくありません。(飲食サービスの離職率は約27%程度とされていますが、栄養士だけではないため正確な栄養士の離職率には結びつきません。 参考:産業別の入職と離職(厚生労働省)

あるある!栄養士転職理由トップ3

人間関係

どの職場、どの職種でもありがちな転職理由、人間関係…ではありますが、栄養士にとってはよりあるある…!と皆さん仰るのが栄養士は一人職場も多く、栄養士の先輩が現場にいないため誰に聞けばいいか分からないことです。また、社会経験が上な調理員さんを束ねる立場になりがちなため諍い等の仲裁や、勤怠管理等も必要で、採用や教育担当等も務めることがあります。年齢が一回り以上離れた部下への注意をする場面などもあり、精神的な疲弊が多い職種なのです。

給料が低い

そんな栄養士ですが、賃金が平均と比べ低いため、他職種への転職を希望する方も多いです。
初任給は16~20万程度、実際に出ている求人も20万前後にプラスして施設により早番手当や福祉施設では処遇改善手当等がついている現状で決して高いとは言いにくいです。

体力的にキツイ

調理場は特に体力勝負、食品衛生や労働環境改善の為にクーラーが配置されている厨房が多いですが、実際火を使い、お湯を使いながら動くと暑い時も多々…。また、一人職場のため、献立から発注から調理補助から栄養管理まで一人でこなす場合もあり、身体的な負担も多いです。(Aの作業をしているのにBのことが割り込んでくることもしばしば…)

そんな栄養士ですが、人手不足の職場も多く、転職先は選ばなければたくさんあります。
ですが、土日祝お休みの企業のお仕事や、管理栄養士では人気の栄養指導求人等はすぐに埋まってしまうことも多く、なかなか理想の転職先を探すのは大変…と転職エージェントを頼るかたも多いです。

そして女性が多い栄養士のため、結婚出産で退職される方も多いですね。
今回は特定保健指導業務から内科クリニックへ転職した管理栄養士の体験記です。

管理栄養士としてのキャリアと特定保健指導のやりがい

はじめまして。今回初めてブログを担当させて頂きます、外部執筆スタッフ管理栄養士のH.Yと申します。

私はこれまで健康診断クリニックで特定保健指導を担当し、年間1000人以上の方々と面接を行ってきました。
現在は内科のクリニックで管理栄養士として従事しています。

この記事では、私のこれまでの経歴を中心に、特定保健指導のやりがい、そして転職に至った理由についてお伝えしたいと思います。

私の経歴と特定保健指導業務

私は大学卒業後、新卒で健康診断を行うクリニックに管理栄養士として入職しました。

もともとは臨床の現場に携わりたいという思いが強く、病院への就職を第一希望としていました。
しかし、私が就職活動をしていた時期はちょうどコロナの最盛期。病院の求人が減少していたこともあり、思うように応募先を見つけられない状況でした。

そんな中、合同説明会に参加した際、偶然にも健康診断を行うクリニックの人事担当者から「管理栄養士を採用したい」と声をかけていただきました。
興味を持ち面接を受けた結果、ご縁があり入職することになりました。
実は当初、特定保健指導を担当するという認識はなく、特定保健指導に携われたのは偶然の出来事でした。

そこでの主な業務は、特定保健指導の初回面接でした。
対象者一人ひとりの生活習慣をヒアリングし、食事や運動のアドバイスを行う仕事です。

1日の流れは、出勤後に当日予約されている対象者数を確認し、必要に応じて準備を行います。その後メール対応等を済ませ、特定保健指導を実施。
1日あたり5名ほどの対象者と面談を行い、それぞれの生活習慣に合わせた指導を行いました。

午後は栄養相談と特定保健指導を行い、栄養相談は1日2~3名ほど対応。
特定保健指導とは異なり、個別の数値に対しての対応が求められるため、相談内容や食生活状況に応じたアプローチを意識していました。
指導業務の合間には、面接記録の作成やカルテの記入を行い、相談者の状況を記録。さらに業務の質を向上させるため、特定保健指導の進め方や面談スキルに関する研修も受講していました。

特定保健指導で年間1000人以上の方と面接を行う中、短時間で信頼関係を築き、相手に響くアドバイスをする難しさを実感する一方、自分の言葉が相手の行動変容につながる瞬間を目の当たりにすることもあり、保健指導の意義を感じていました。

しかし、初回面接のみを担当していた為、その後の継続的な支援を行えないもどかしさを感じるようになり、より深く対象者の支援が行える環境を求めて転職を決意しました。

特定保健指導を行う上で意識した事


特定保健指導は、40〜74歳の特定健診(メタボ健診)で生活習慣の改善が必要と判断された方を対象に、医師や管理栄養士、保健師といった有資格者がサポートを行う制度です。

具体的には、
•初回面接:対象者の生活習慣を把握し、改善のためのアドバイスを実施。
•継続支援(積極的支援の場合):3〜6か月間、定期的にフォローアップし、行動変容をサポート。
私が従事していたのは、主に「初回面接」の部分でした。20分程度の面接で、いかに相手の心を動かし、行動変容につなげられるかが重要なポイントになります。

効果的な指導を行うためには、まず相手の話を丁寧に聞くことを意識していました。
ただ単に「食生活はどうですか?」と尋ねるのではなく、「お仕事が忙しい中で、食事はどのようにとっていますか?」と具体的な質問を行い、生活習慣を引き出すことができました。
また、「普段の食事で気をつけていることはありますか?」と自己評価を促し、すでに意識していることや、無理なくできそうな改善点を探りました。

アドバイスの際は、いきなり「これを変えましょう」ではなく、「〇〇さんの生活リズムなら、〇〇をプラスするのはどうでしょう?」と、実現しやすい選択肢を提示することで取り組みに繋げました。
短時間だからこそ相手の価値観を尊重し、実行可能な行動を一緒に考えることで対象者が「自分にもできるかもしれない」と思える関わり方を心がけサポートを行っていました。

保健指導のやりがい

特定保健指導を行う中で特にやりがいを感じたのは、対象者が「自分のアドバイスを実践してくれた」と実感できる瞬間でした。
特に、翌年の健康診断で再び指導対象になった方が、「去年の指導を受けてから体重が減りました!」と言ってくれたことです。
たとえ保健指導の対象から外れなかったとしても、体重の減少や血液検査の数値改善が見られると、お役に立てたのだと感じられました。
また、対象者から「先生に言われて意識が変わりました」「今も続けていますよ」と言われると、短い面接の中でも相手の心に残るアドバイスができたのだと実感し、大きな励みになりました。

転職を決意した理由


特定保健指導の仕事はとてもやりがいがありましたが、次第に「もっと継続的に関われる支援がしたい」と考えるようになりました。
転職を決意した理由は、大きく分けて2つあります。

①継続支援を行いたい

初回面接だけでは、その後の対象者の行動を追う事ができません。
面接時に「頑張ります!」と前向きだった方が、実際に続けられているのかどうかが分からないまま終わることも多く、支援が一度きりになってしまうことに歯がゆさを感じ、「もっと長期的に対象者の健康改善に携わりたい」と思うようになりました。

②疾病に関する知識の不足を感じた

特定保健指導はメタボリックシンドロームの予防・改善を目的としている為、基本的に「健康だけれど生活習慣の改善が必要な人」が対象です。
しかし、実際には高血糖状態や高血圧などに該当するような数値の対象者もいます。
そのたびに自分の知識不足を痛感しました。

特定保健指導の場では、病気に関する具体的なアドバイスはできませんが、対象者から「この病気にはどういう食事を摂ればよいの?」と質問されることもありました。
一般的に生活習慣病と言われる病気以外の食事や栄養について相談される事もあり、その時に回答できない自分に対し、とても悔しい思いをしました。
その為、「もっと疾患についての知識を深め、専門性の高いアドバイスができるようになりたい」と思い、スキルアップのために新たな環境に挑戦することを決め、現在は内科クリニックでの栄養指導を行っています。より病態別の知識が必要になる環境で日々学びながら仕事をしています。

これからの目標

現在も管理栄養士として、知識を深めるために学び続けています。今後はブログ等で、栄養情報や食事についての情報を発信していきたいと考えています。
これからも管理栄養士としての経験を活かしながら、より良い支援ができるよう成長していきたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
📌参考記事 栄養士の+知識に🍁秋の薬膳を上手に取り入れよう(これから冬、春、夏と連載予定!お楽しみに♪)

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