栄養ケア・マネジメント講座

こんにちは!
Dietitian Job運営会社、東洋システムサイエンスの管理栄養士 増田です。

今回は、5月11日(日)に実施した「栄養ケア・マネジメント講座」の様子をご紹介いたします。

特別養護老人ホームにて業務を行う傍ら、介護老人保健施設における看取りケアの研究にも力をいれている管理栄養士の武井圭佑先生を講師としてお招きし、今年度より講座内容をリニューアルして開催いたしました。
栄養ケア・マネジメントの入門・初級講座となっております。

当日のラインナップはこちら

●栄養ケア・マネジメントについて
●介護施設における多職種連携について
●介護報酬改定の歴史と運営指導への対策について
●現場でよくある食の困難事例とその対策(看取りケア、摂食嚥下障害、認知症等)
●事例検討のグループワーク

栄養ケア・マネジメントについて

そもそも、栄養ケア・マネジメントを行う意義とは何かというところから解説していただきました。
介護の現場では様々な原因によって【食べられない】という現実が待ち受けているため、まずはその様々な原因を見つけて原因に対応することが大切だと示していただきました。

栄養スクリーニングの項目では、例を用いて体重減少率を実際に計算し、書式(書類)に落とし込むワークもあり、実践することによって理解度を深めることができます。

栄養アセスメントの項目では、対象者の例に沿って、【特に重視する評価項目】、【アセスメントの手法】について詳しく教えていただけました。
特に悩まれる方が多いとされる「エネルギー必要量の算出方法」については、武井先生ご自身も入職間もないころに悩まれたところ一つだったそうです。先生ご自身の経験を踏まえた上での、高齢者における低リスクと高リスクの場合のそれぞれの算出方法を示していただき、とても参考になります。

ミールラウンドの項目では、「ただ摂食動作や嚥下状態を見るだけでなく、普段との様子の違いの有無を確認して多職種に繋げられることもある」とし、実際に病気の早期発見に至った先生ご自身の経験談もあり、印象に残りました。利用者様の些細な違いや気になることを見落とさないためにも、日ごろの確認が大切だということですね。

栄養ケア計画書の作成方法に関する講義では、留意事項を確認しながら実際の記入例も示していただけたので、すぐに実践に役立つ内容となっています。

介護施設における多職種連携と一体的取組について

栄養ケア・マネジメントを実施する上で大切な多職種連携と先生の施設における一体的取組についても解説していただきました。

介護施設では、介護職・看護師・作業療法士・言語聴覚士・理学療法士など様々な専門職種の方が一緒になって働いており、それぞれの職種や専門性によって視点や見えている場所が異なります。
食事や栄養面の部分だけをとってみても多職種間で確認し合わなければならない事柄が多く、それがいかに大変なことかを感じました。そして、そのためにはまず各職種の方々とコミュニケーションを取り、良好な関係性を築いていかなければならない大切さも学ぶことができました。

利用者様の栄養状態を改善するために、栄養士だけでは解決できないことも多いという先生のお言葉には実体験による重みを感じました。

 

介護報酬改定の歴史と運営指導への対策について

これまでの介護報酬の歴史を年表にまとめて分かりやすく示していただけたので、とても参考になりました。

栄養ケア・マネジメントは基本報酬に一元化されているので、やらないと減算になってしまうという点や、令和3年の栄養マネジメント強化加算によって管理栄養士の重要度が上がったという点もポイントとなります。
さらに、令和6年度の改定における「退所時栄養情報連携加算」の新設や「居宅療養管理指導」の算定要件緩和を受け、今後一体的取組による質の向上をはかる加算が増えていくのではないかといったお話しもありました。

「監査」と「運営指導」の違いに関しては、「第三者評価」を含めた形で一覧表にして解説いただき、それぞれの注意点などを分かりやすく理解することができました。

 

現場でよくある食の困難事例とその対策~看取りケア・摂食嚥下障害・認知症等~

まず、摂食嚥下障害があるかどうかを疑う際の利用者様の症状について教えていただきました。

たとえば、一見するとただの「咳」に見えることも、それは咳ではなく「むせ」だったということもあるそうなので、注意深く見る必要があります。食事の時間や食べ方の変化、声質がゴロゴロしていないかどうか、疑う症状も様々です。服薬している場合、薬剤の副作用による影響もあるので、現病歴や既往歴を確認しておくこともとても大切です。

認知症を発症した方の摂食嚥下について、病態とその対応例についても分かりやすく解説していただきました。

「エルドーパ」を服薬している方が、服薬前後でジョアを飲んだ際に、一時的に体が動かなくなったという事例も実際にあるため、禁忌食材に対する注意も重要です。

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看取りケアに関するお話しでは、ここ数年で特別養護老人ホームを中心とした介護施設での看取り件数が増えている点に触れ、先生のご施設で実施されている看取りケアについても解説していただきました。看取り介護契約が取り交わされることなど、私自身も知らなかったことも多く、とても勉強になりました。

 

事例検討・アセスメントのグループワーク

講義の最後は、事例を用いたアセスメントのグループワークを行いました。

参加者の皆さんを4名~5名のグループに分け、先生から提示された対象者の情報をもとにスクリーニングとアセスメントを実施し、各グループの代表者の方から結果を発表していただきました。

先生から提示された情報も、一見すると十分な情報のようにも見えましたが、参加者の皆さんからは「情報量が少ない」との声がありました。実際にアセスメントを行うと、書類だけの情報では足りないことが実感でき、先生が講義の中でお話しされてきたミールラウンドで確認するべき情報や、多職種間で得られる情報がいかに大切かということを再確認できるワークとなりました。

 

参加者の声 (一部抜粋。記述は回答のまま)

・ミールラウンドで多くの情報を得て、なぜ「食べられない」のか様々な原因を見つける。そしてその原因に多職種連携で対応する。日々の地道な業務の先に特養の利用者の方の生活が 成り立っているのだと感じました。

・実務に沿った内容を細かく基礎から教えて頂き、今までそのような研修に中々出会えなかったため改めて大変勉強になりました

・とても分かりやすく、今後に活かせそうです。

・どのような方法で利用者様にアプローチしていけばよいのか悩んでいました。今回、利用者様の身体機能の変化に合わせた食事の判断をしていくのも管理栄養士の役目だと知り、特養の管理栄養士としてできることの多さに気づきました。自信をもって仕事に取り組もうと思います。

Dietitian Jobでは今後も栄養士・管理栄養士の皆様の日々の業務に少しでもお役に立てるセミナーを開催していきます。

 

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