※本記事は2026年診療報酬改定に関する4月時点の情報をもとにまとめています。今後変更となる可能性がありますので必ず最新の情報を確認してください。
2026年は診療報酬改定の年です。
医療制度の見直しは2年ごとに行われ、病院や医療職の働き方にも大きく影響します。
今回の改定では、医療費の適正化だけでなく、チーム医療の強化や退院で終わりではなく、地域医療へとつないでいくことが重要なテーマとなっています。
そして、管理栄養士に関わる分野では、エビデンスに基づき栄養管理の重要性が改めて注目されており、今後の役割の拡大も期待されています。
本記事では、2026年診療報酬改定のポイントと、管理栄養士の業務や配置にどのような影響があるのかを分かりやすく現場向けにまとめました。
(執筆 管理栄養士 廣江(Dietitianjob運営会社))
👉 目次
診療報酬改定とは
診療報酬改定とは、医療機関が提供する医療サービスの価格を見直す制度です。
日本では原則として2年に1回改定が行われ、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)の考え方に基づいて見直されています。
現状に対応しているか、現在の評価は適切か、実際の運用がどうなっているかといった観点で再評価が行われ、その結果が報酬改定に反映されます。
改定の内容によって医療機関の収入構造や業務内容が変わるため、医療現場にとって非常に重要な制度です。
2026年度の診療報酬改定は、物価高騰や賃金上昇、人手不足といった医療現場を取り巻く厳しい環境を反映したものとなりました。
医療分野は公定価格で運営されているため、経済の変化に柔軟に対応しにくく、医療機関の経営悪化や人材確保の難しさが課題となっています。
今回の改定では、医療従事者の処遇改善や業務効率化を進めつつ、地域における医療機関の役割分担や連携を強化し、持続可能な医療提供体制の構築が重視されています。
また、医療DXの推進やアウトカム評価の導入により、医療の質と効率の両立も求められています。
将来の人口減少を見据え、限られた資源の中で医療をどう維持していくかが大きなテーマとなっています。

診療報酬改定・栄養関連のまとめ
まずは今回の2026年診療報酬改定の栄養関連において
・具体的に何が増えたのか(新設)
・変更があったのか(見直し)
・算定の為に必要な事が分かりやすくなった(補足・明確化)
の3パターンに分けて項目を紹介します。
新設
・特別食加算に嚥下調整食が新設
・地域包括ケア病棟でのリハビリテーション・栄養管理・口腔連携体制加算が新設
・看護・多職種協働加算が新設
・慢性心不全の再入院予防継続管理料の新設
・退院後訪問栄養食事指導料の新設
見直し
・入院時の食費(1食当たり40円↑)
・リハビリテーション・栄養管理・口腔連携体制加算(点数の見直し、加算2の新設)
(地域包括医療病棟・急性期一般入院、特定機能病院入院、専門病院入院基本料)
・入院栄養管理体制加算(専従要件の柔軟化)
・外来栄養食事指導料の情報通信機器を用いた指導料の見直し
・栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化について明細記載の見直し
・緩和ケア診療加算が見直され末期呼吸器疾患・末期腎不全が追加
補足・明確化
・特別料金の支払いを受けることができる食事について(1食17円の廃止、説明追加し明確化)
・経腸栄養管理加算(明確化)
今回栄養管理に関する内容は以上の13項目でした。
詳しくひとつずつ見ていきましょう。
新設
嚥下調整食
特別食加算に嚥下調整食が新設されます。
今回一番反響が多かったのではないでしょうか。
*入院時の食事療養の質の向上を図る観点から(略)おいしく安全な食形態で適切な栄養量を有する嚥下調整職を新たに評価する。
と新設されました。
算定要件及び施設基準が気になるところだと思いますので、一部抜粋します。
(算定要件)
*安全性と食欲を促す食感とを両立した食形態
*献立として常食と同様の盛り付け、味や香り、適切な温度、栄養量の配慮したものであること
*単にピューレやペースト状にしたもの、刻んだだけのものや刻みにとろみをかけただけのもの、主食のみを嚥下調整食とした場合は該当しない。
算定要件にはこのようにあり、従来の刻み食やペースト食では評価にならないことが示されています。
いわゆる現場での「ソフト食」に該当するのではないでしょうか。
粒のない均一なものでゲル化剤等で固めた嚥下調整のされた食事であり、見た目や温度に配慮された内容を一から始めるにはゲル化剤の選定や調理員の教育等手間がかかるものです。
ですが要件には
*ただし、安全な食形態で、常食と同様の要件を満たしていれば、市販品を使用することは差し支えない
ともありますので、市販品や完調品を検討するのも手だと思います。
(算定要件)
*定期的に多職種でミールラウンドを行い、常食が適している場合は速やかに食事変更を行うこと
加算が取れるからと嚥下調整食の提供を続けるのを避けるためですね。
(施設基準)
*検食が毎日行われるとともに定期的に多職種による試食会やカンファレンスが開催されていること
検食は医師、管理栄養士または栄養士で毎日1食とされ、所見を検食簿に記載することと示されています。
ですので検食はお昼だけ、でも構わないという認識です。
(施設基準)
*責任者は、一定の要件を満たした実習を伴う研修を修了した、当該保険医療機関の管理栄養士であること
ここでの責任者はあくまでも「嚥下調整食の責任者」であり、「栄養課の責任者とは同一ではなくても良い」とされています。
そしてこの責任者は「当該保険医療機関の管理栄養士」ではないといけないので「給食受託会社の管理栄養士はNG」です。
もちろん、嚥下調整食に関わる調理師等についても同様の研修を修了していることが望ましいという文言もあり、給食受託会社の栄養士・調理員も同様の研修を受けることは推奨されています。
また、実習を伴う研修は必要ですが、その責任者が調理をしなければいけないという文言はないので安心してください。

参考:令和8年度診療報酬改定の概要(厚労省)
地域包括ケア病棟でのリハビリテーション・栄養管理・口腔連携体制加算が新設
リハビリテーション・栄養管理・口腔連携体制加算の項目を参照して下さい。
看護・多職種協働加算が新設
今回、地域の急性期病院での多職種協働加算として管理栄養士の病棟配置が施設基準に指定されています。
患者のADLの維持向上のため、看護職員や他のコメディカルが共同することへの評価が上がっています。
(算定要件)
*ウ 管理栄養士は、入院生活で患者が実際に食事や活動する場面を活用して、食事状況の観察、食欲やし好の確認、必要栄養量や摂取栄養量の評価、食事変更の提案、食形態の調整、食事に関する相談対応等の関与を行うこと。なお、別に入院栄養食事指導が行われている患者の場合は、指導の状況を踏まえてこれらの関与を行うこと。
ただし、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の専従の理学療法士等及び専任の管理栄養士が病棟で従事する時間を、看護・多職種協働加算の勤務実績の時間に算入することは不可とのことで注意が必要です。
慢性心不全の再入院予防継続管理料の新設
急性心不全の早期治療による再入院予防を推進する観点から、急性心不全を主病として入院した患者に対して、早期から治療等を実施した場合について評価を行うものである。とされ、早期から他職種介入の実施、そして退院後も地域で連携して実施した場合に算定が可能となりました。
(算定要件)
*心不全を主病として入院した患者に対して、専任の医師、当該医師の指示を受けた専任の看護師又は保健師及び管理栄養士(以下「心不全再入院予防チーム」という。)が、関係学会より示されているガイドラインに基づいて患者の心機能の評価、原疾患の精査及びリスク評価を行い、薬物治療に加え、療養指導、食事指導及び運動指導等を必要に応じて個別に実施した場合に算定する。
*入院中に入院食事指導料(または薬剤管理指導料)の算定
*入院中に算定した患者…医師の指示のもと、必要な食事指導を個別に合計30分以上実施した場合に算定
*入院中に算定していない患者…医師の指示のもと、必要な食事指導を個別に合計30分以上実施した場合に算定
参考:令和8年度診療報酬改定13. 重点的な対応が求められる分野(厚労省)
退院後訪問栄養食事指導料の新設
入院保険医療機関の管理栄養士が在宅療養支援として、患者または家族に対して退院後に患者の自宅や施設に訪問し、入院中の状況をふまえて献立や栄養管理に関する指導を行った場合の加算が新設されました。(1か月以内、4回まで)
入院中だけではなく地域へと繋げていくことへの重要性が高まってきている現状が反映されている内容になり、かなり点数が大きいのも特徴です。
ただし、退院先の施設に管理栄養士が配置されている場合は算定が不可能です。
参考:令和8年度診療報酬改定8. 質の高い在宅医療の推進(厚労省)
見直し
入院時の食費
食材料費が変わらず高騰し続けているため、今回も1食あたり40円引き上げられます。
令和6年、7年そして今回の8年と引き続き上がってはいますが、給食材料の質や品数を上げられたと答えた施設は3%にとどまり、以前厳しい運営状況が見られているようです。
参考:令和8年度診療報酬改定について(厚労省)

リハビリテーション・栄養管理・口腔連携体制加算
今回、令和6年に新設された加算が更にリハ・栄養・口腔連携を更に推進する観点から、施設基準を緩和した加算2が新設と同時に、従来の加算1は増点となります。
疾患別リハビリテーションの土日祝における単位数等が緩和されています。
加算1の内容は従来と変更はないので加算2の一部を抜粋します。
(施設基準)※従来の加算1と異なる点のみ抜粋
*土曜日・日曜日・祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーションの提供単位数が平日の7割以上
*退院時にADLが低下した患者の割合が5%未満
また、今まで算定のなかった「地域包括ケア病棟」においてもリハビリテーション・栄養管理・口腔連携体制加算が新設されました。
(算定要件)
*(略)リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度として30点を所定点数に加算する。
(施設基準)
*専任の常勤の管理栄養士が1名以上配置。
*適切な口腔ケアの提供、(課題を認めた場合に)歯科への受診を促す体制
*プロセス・アウトカム評価
ア 入棟した患者のうち入棟後3日目までに疾患別リハビリテーションを実施した患者の割合が6割以上
イ 土曜日・日曜日・祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーションの提供単位数が平日の7割以上
ウ 院内で発生した褥瘡のある患者の割合が2.5%未満
*当該加算を算定する患者について、入院栄養食事指導料及び栄養情報連携料の算定を可能とする。
リハ・栄養・口腔連携加算自体は少ないものの、今まで算定できなかった入院栄養食事指導料及び栄養情報連携料の算定が可能になるため、底上げになるでしょう。
病棟専任の管理栄養士の必要性、口腔管理の重要性がより評価されていることを反映した内容となっていますね。

今回加算2が新設された背景には急性期でも早急な栄養管理の重要性があるというエビデンスに基づいている事、リハ・栄養・口腔ケアを推進したいがなかなか加算取得率が低いのは要件が厳しかったためとされ要件の緩和した加算2が新設、今まで要件を満たしていた医療施設は点数の増加を行ったものになります。
参考:令和8年度診療報酬改定について(厚労省)
入院栄養管理体制加算
現行は特定機能病院入院基本料に規定する入院栄養管理体制では「専従の管理栄養士が1名以上配置」とされていました。
今回専従要件が緩和されました。
(施設基準)
*当該病棟での栄養管理業務に影響のない範囲において、当該病棟から退院した患者の外来栄養食事指導等の継続的な支援を行うことは差し支えない。
今までは退院した後に継続した栄養管理支援はできませんでしたが、今回の緩和で当該病棟での栄養管理業務に影響のない範囲においては可能となりました。
また、入院前の栄養評価も可能と厚労省は回答しているため、より入退院前後も含めた栄養管理が可能となりました。
参考:令和8年度診療報酬改定について 入院(共通事項)(厚労省)
外来栄養食事指導料
2回目以降に追加的な指導の加算が新設されました。
(算定要件)
*対面又は情報通信機器を用いて指導を実施した上で、2回目以降、情報通信機器又は電話を活用した追加的な指導を行った場合に算定できる。(指導時間にかかわらず算定可能)
また、2回目の面談における情報通信機器からは電話は外されています。
情報通信機器を用いた外来栄養食事指導は、令和2年から加算対象となっていますが現状算定回数が少ない状況です。
この追加指導に関しては栄養食事指導の間が空いてしまう患者(例・1か月おきに外来にくる患者に、外来のない月に電話で指導)に活用が期待されます。
参考:令和8年度診療報酬改定について 外来医療の機能分化・強化等(厚労省)

緩和ケア診療加算
緩和ケアに係る評価の対象に、末期呼吸器疾患患者及び終末期の腎不全患者が加えられました。
悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、末期心不全に加え末期呼吸器疾患及び終末期腎不全の患者に対し、緩和ケアに係る必要な栄養食事管理を行った場合個別栄養管理加算が算定できるようになり、対象の拡大となりました。
参考:令和8年度診療報酬改定について がん・難病・感染症(厚労省)
補足・明確化
特別料金の支払いを受けることができる食事
今まで特別メニュー(いわゆる行事食)は一律で17円標準が撤廃され、要件を満たした場合に妥当な額を設定できることとなりました。
また、今回は
(主な要件)
*患者のニーズに応じて、行事食やハラール等の宗教に対応した食事を提供した場合も含まれる。
と明確に記載が盛り込まれました。
今まで追加料金なしで選択メニューや宗教に配慮したメニュー提供を行っていた医療施設が2~3割あったという現状に対応したものだと思われます。
(主な要件)
*患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、(略)
とあるため、必ず自由に選択できるかつ同意を得ることが必須とされています。
参考:令和8年度診療報酬改定について 医学管理・リハビリテーション(厚労省)

経腸栄養管理加算
(算定要件)
*ア 入院前から又は入院後2週間以上、中心静脈栄養による栄養管理を実施しており、経腸栄養への移行を目的とする場合
*イ 経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなり、入棟後に経腸栄養を開始した場合
令和6年の算定要件がより詳しく明確化されました。中心静脈栄養に関しては長期間という文言だったのが入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者について加算の算定を可能とする内容になっています。
参考:令和8年度診療報酬改定について 入院(共通事項(厚労省)
栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化
エンシュアやラコール等の医薬品を投薬する際は「理由」を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とされました。
参考:令和8年度診療報酬改定について 医薬品適正使用(厚労省)
まとめ
今回の診療報酬改定では、栄養管理が「生活を支える医療」として改めて重視され、多職種連携や在宅医療とのつながりを意識した評価が強化されました。
嚥下調整食の新設や退院後訪問栄養食事指導料の導入など、入院中だけで完結しない、継続的な栄養支援の重要性が明確に示されています。
また、リハビリテーションや口腔管理との連携もより一層求められるようになり、チーム医療の中での管理栄養士の役割はこれまで以上に広がっています。単なる栄養管理にとどまらず、患者の生活背景や退院後を見据えた関わりが求められる場面も増えていくでしょう。
今後は、専門知識だけでなく、多職種との連携や現場に応じた柔軟な対応力がますます重要になります。
変化の大きい改定ではありますが、管理栄養士としての価値を発揮できる場面が広がっているとも言えます。自身のスキルを磨き続けながら、管理栄養士としての価値を高め、次のステップへとつなげていきましょう。
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