
こんにちは。外部執筆スタッフ 管理栄養士のHOです。
栄養士として現場で働いていると、切っても切れない関係の食物アレルギー。
アレルギーによるトラブルは知っていれば防げることがたくさんあります。
普段から保育園や学校を始めとした子供向けの大量調理に関わっている方はご存じのことが多いかもしれませんが、それ以外の方も是非栄養士として知っておきたい食物アレルギーの情報をお伝えします。
▼目次
- おうち焼き肉で食物アレルギーが起こった実例
- 食品表示制度の理解とアレルギー対応
- 栄養士として現場で活かしたい対応策
- まとめ
外食では平気だったのに、自宅で発症した理由
成型肉に潜むアレルゲンのリスクとは?
特定原材料7品目の表示義務について
表示推奨の21品目にも注意が必要な理由

おうち焼き肉で食物アレルギーが起こった実例
このコロナ禍では外食も控えて『おうち焼き肉』をする方も多いと思います。
その『おうち焼き肉』で実際にあった食物アレルギーの中でも重症の症状、アナフィラキシーショックが起きた事例を紹介します。
外食で牛の焼き肉やステーキを食べて、アレルギー症状がでたことがないAさんが、いつものように家で牛肉を食べて、全身が真っ赤になり、呼吸が苦しくなるアナフィラキシーショックを起こしました。
さてここで、皆さん、原因は何だったと予測しますか?
1.トングや皿、箸、コップ、まな板、包丁、焼き肉用鉄板にアレルギーの原因になるものが付いていた
2.牛肉以外の料理や焼き肉のたれにアレルギーの原因になるものが混入していた
3.牛肉に入っていた
外食では平気だったのに、自宅で発症した理由
答えは………!
1.一番気をつける点ですね。
2.もちろんこれも重要なチェックポイントです。
しかし、3.はどうでしょう?
牛タンや牛カルビを購入するとき、ホンモノの牛肉だということを確認していますか?
最近は、牛カルビや、牛タン、サイコロステーキなど一般に市販されているものの中に、『成型肉』と呼ばれ、細切れの肉を結着剤や添加物を使って固めた肉が販売されています。
成型肉に潜むアレルゲンのリスクとは?
結着剤というのは、細かくした肉を水分まで中に閉じ込めて固めて作るときに使うものです。
ハムやソーセージには結着剤はよく使われますが、最近は安い肉を美味しくして売る手法のひとつとして、使われています。
混ぜるときに、卵、カゼイン(乳たんぱく)、大豆たんぱくがよく利用されるので、それらにアレルギーがある場合、見逃されやすいので注意が必要です。
食品表示制度の理解とアレルギー対応
特定原材料7品目の表示義務について
食品表示法では、食物アレルギーの症状の発症数が多く、重篤な症状になるものを【特定原材料】として『卵、乳、小麦、そば、えび、かに、落花生(ピーナッツ)』の7つの食品表示を義務付けています。
この7つは、含まれていることを表示していない場合、食品表示基準義務違反となり、罰則があります。
ただし、表示されるのは、加工された食品の中に残存するアレルギー反応をおこす原因になる物質(アレルゲン)が1gあたり数μg以上あるものなので、それ以下であれば表示されません。
ですから、同じものをたくさん食べた場合は濃度が濃くなるので、注意が必要な人もまれにいます。
表示推奨の21品目にも注意が必要な理由
その他にこの7つの食品ほどではないけれど食物アレルギー症状の報告が多い食品を【特定原材料に準ずるもの】とし表示が推奨されているものが 『大豆、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン』の21品目あります。
この21品目の表示は推奨なので『大豆』の表示がされていなくても罰則はないため、成型肉に大豆たんぱくが入っていたら、大豆アレルギーの人は症状がでてしまう恐れがあります。
ただし、これらの表示は店頭で量り売りされる惣菜や弁当などはしなくても販売できることになっているため、食物アレルギーがある場合の店頭での購入は厳しいという現実問題があります。
栄養士として現場で活かしたい対応策
肉が固めてあるとなると、ステーキや牛タンのような厚みのある肉を想像されると思いますが、しゃぶしゃぶ用の薄切り肉にも使われているので、特に安くて柔らかい肉(食べ放題、バイキングなど)は慎重になる必要があります。
この成型加工品は安い味付き肉としても売られていることも多く、必ず「中心部分まで完全に加熱してお召し上がりください」と書かれています。
これは、混ぜる際に菌が混入しやすいため、食中毒の予防のための注意書きです。
これまでにもO-157などの食中毒を起こした店を調査したときに原因は、成型肉の加熱が不十分であったということが多く報告されています。
外食での焼き肉やステーキが好みの焼き加減で食べても食中毒の問題がないのは、加工品でなくホンモノの牛肉そのものだからです。
食物アレルギーは、時には命にかかわることもあります。
見た目だけで発生を予防することはできませんが、ホンモノそっくりなのか、ホンモノなのかを確認することで防げることもあります。
素材だと思っていても、技術向上がゆえに成型加工品でもわかりにくくなっています。
「高級」「焼いても柔らかい」「◎◎産」「●●牛」のシールや値段に惑わされず、まずは容器の裏表や表示をしっかり確認して、少しでもアレルギーによるトラブルを防ぎましょう。
まとめ
家庭の焼き肉でも、アレルギー対策は怠れません。
おうち焼き肉で起こりがちな食物アレルギーは、成型肉に含まれる卵・乳たんぱく・大豆たんぱくなどの見えにくいアレルゲンが原因であることも少なくありません。食品表示制度の「特定原材料7品目」だけでなく、表示推奨の21品目にも注意を払うことが重要です。
栄養士・管理栄養士としては、こうした「見えないリスク」を把握し、食材選びや調理法の指導に活かすことが求められます。「安全な食環境を支える知識」は、保育園、病院、高齢者施設などの現場で即戦力になるスキルです。
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