栄養士が知っておきたい食物アレルギー第2回目 ~包装容器~

こんにちは。外部執筆スタッフ 管理栄養士のHOです。

食物アレルギーについて知っていれば防げるハプニングはたくさんあります。

普段から給食に関わっている方はご存じのことが多いかもしれませんが、仕事で給食に関わっていない方に、是非知ってほしいと思う食物アレルギーの情報をお伝えします。

今回のシリーズ第2回目は、【包装容器】

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第1回 【焼肉】

食物アレルギーの症状を起こす原因は、食事の中だけにあるのではなく、日常の中にも潜んでいます。

今回は、アレルギー物質を食べなくても包装容器の再利用で起こった実例をご紹介します。

最近、環境にやさしい活動が盛んにおこなわれるようになり、マイバックを持参したり、同じレジ袋を繰り返し使ったりすることも普通のことになってきましたね。

皆さんは、マイバックを使う度に洗ったり、アルコールできれいに拭き取ったりしていますか?

きれいな紙袋は、そのまま再利用したり、捨てるには惜しい容器をこどものおもちゃにしたり、使い捨て便利グッズとして活用したり、多くの方が経験されているのではないでしょうか。

そんな日常のなかで実際に食物アレルギーのある子どもに起きた事例を2つご紹介します。

レジ袋の再利用で起きた卵アレルギー

公園ピクニックでの出来事です。

お昼になってお弁当食べ始めてしばらくすると、子どもがアレルギーである卵を全く使用していないお弁当なのに、食べている途中で目が腫れてきました。

まさかと思ってレジ袋を裏返してよく確認したところ、袋に半透明の白っぽい粉がついていたそうです。

おそらく、袋を開けたときに粉々になったものを触ってしまってその手で目をこすったか、食事に混入してしまったものを知らずに食べてしまったことが原因ということがわかりました。

普段からやぶれや目立った汚れのないレジ袋を再利用のために保管し、保冷剤や果物を入れるのに使ってしまったようです。

粉の正体は、卵を購入したとき、ひびが入って飛びだした卵の白身で、時間が経って、パリパリに乾燥して袋の内側についていたとのことでした。

食品は『食べる』だけでなく『さわる』『吸い込む』だけで食物アレルギーの症状がおきることがあります。

粉は、舞い上がると吸い込み、喘息をおこすきっかけになったりすることがあるので、パンやクッキーを入れた袋は『小麦』『卵』『乳』『ピーナッツ』の危険性が高くなるので注意したいものです。

また、大きく丈夫な紙袋や、少し厚みのあるポリエチレンの袋に入れてもらうと「何かに使えるかも」と保管しがちです。

子どもは、大きな袋はかぶって遊んだり、工作して何かをつくったりすることがあります。

袋の持ち手側の折り返し部分、底になる紙の折り返し部分は、粉がたまりやすいので再利用する場合は要注意です。

容器の再利用で起きた乳アレルギー

それは、近所の家のビニールプールでの水遊びで起こりました。

プールには四角い大きな氷と、カラフルペンで模様をつけたプリンカップが浮いていました。

しばらく遊んでいた子どもが「足がかゆい」というので見てみると、足だけでなく、顔や手のあちこちにも赤く盛り上がったじんましんがでていました。

幸い近くの病因に受診できたため大事には至りませんでした。

ご近所さんも牛乳アレルギーであることはご存じでしたが、まさか食べなくても症状がおきるとは思わず、牛乳パックで大きな氷を作っており、プリンカップは匂いがとれていたから大丈夫だと判断したとのことでした。

牛乳パックはその丈夫な紙質と形からいろいろな用途に使えるのですが、脂肪分が含まれているため、しっかり洗ったつもりでも、水洗いだけでは乳成分は取り除けません。

また、水に入れると浸透していた乳成分が染み出してしまいますし、プリン容器も牛乳を使っていることも多いためそのプラスチック容器の隅に残ってしまいます。

牛乳パックについては、丈夫な紙質なので、生臭い魚や肉を切る時のまな板がわりとして使用でき、それは災害時にも活用できることを多くの方がご存じかと思います。

しかし、災害時に牛乳パックのまな板で料理を作ると、乳アレルギーの子どもは、災害だけでなく、食物アレルギーでも苦しむことになります。救急車がすぐには対応できないことが多く、医療が充分受けられない環境下で強いアレルギー症状をおこすと命にかかわることにもなりかねません。

最近では各地で予想外の災害が起こることが多くなりました。

避難所などで、多くの人に食事を提供する場合、あるいは複数が参加するキャンプなどでは、食物アレルギーの対応が必要な人がいないか確認することは必須と心得ておきましょう。

栄養士の私達は、環境に優しい行動が、食物アレルギーの子どもに厳しい状況にならないように、再利用することのメリットを最大限に生かしつつ、気配り、目配りして慎重に対応することを忘れないようにしたいものです。

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