その傾聴、本当に人の話を聴けていますか?

こんにちは、DietitianJob(ダイエティシャンジョブ)運営会社(株式会社東洋システムサイエンス)福岡人材事業部の小幡です。

先日、私が一緒に勉強したキャリアコンサルタントの仲間たちと久々に再会しました!

そして、企業・人事部,ハローワークで働いている2人から、現在、実際に現場で

「どのように、キャリアコンサルタントの学びを活かしているか?」

といったお話も聞け、とても興味深かったです。

キャリアコンサルタント資格に関わらず、管理栄養士も同じですが、資格取得のために学んだこと全てを

「今、現場(職場)で活用出来ているか?」

と問われたら、答えは

No」

だと思います。

やはり、場所(職場)によって「どの学びをより活用するか?」が取捨選択されて行きますよね。

今回の2人の話も、冒頭はそのような話から始まりましたが、2人が共通して

「このスキル,土台は、キャリアコンサルタント資格を学んだからこそ!現場で活きている!!」

と話していたモノがありました。

私も大いに納得しましたが、何だと思いますか??

管理栄養士の仕事でも、重要と言われているスキルです。

それは、傾聴力です。

栄養指導,特定保健指導のお仕事に携わる方々は、常々「傾聴」は大事にされていると思います。

私も病院・管理栄養士として働いていた時は、「傾聴」は常に意識しながら、糖尿病の療養指導に携わっていました。

しかし!!

今回、私はキャリアコンサルタント(カウンセリング)分野を学んでみて、

「傾聴」「人の話を真から聴くとは、どういうことか?」

に衝撃を受けました。

同時に、私が今まで「傾聴」だと思っていた聴き方は、真の傾聴ではなかったな、と思い知りました・・・。

ただ・・・

言い訳をすると、栄養指導は、カウンセリング要素より、目標設定ありきの関わりになるので、コーチングスキルの方を意識的に使っていたことも、そもそもの違いとしてあります。

おそらく、現在、栄養指導,特定保健指導に携わっておられる方々の「傾聴」も、コーチング寄りだと思います。

そこで、今回、どの関わり方が良いか悪いかではなく、「傾聴」の視野を広げるため、

カウンセリング分野の「傾聴」

「本当に人の話を聴くということは?」

を皆さんにお話しさせて頂きます。

そもそも、何故お話ししようと思ったか?と言うと・・・、

残酷な事実ですが、傾聴,傾聴・・・と意識しつつも、実際、ほとんどの方が、人の話って聴けてません!!!

(私もそれを痛感したので、書いています。)

「いやいや!なんてことを!!親身になって、聞いてるよ!!」

と言いたくなる人も多いと思いますが、残念ながら、傾聴とは、親身に話を聞くことではありません。

(そう習った方も多いかと思いますが。)

また、似たように、「相手の気持ちに寄り添って、その話を聞くことが傾聴だ!」と認識されている方が多いですが、「本当に人の話を聴く」のとはまた違います。

そこで、カウンセリング分野での「傾聴」「本当に人の話を聴く」ということは、どんな状態なのか?を体験して頂くワークをご紹介します。

ただ、本当の(対面での)ワークでは、もちろん、下記のような逐語録(文字起こし)は無いので、実際の体感は変わります。

対面でのワークから得られる驚きを、本当は伝えたいのですが・・・、媒体の都合上、残念!

3人居れば出来るワークなので、是非対面でも実践されますことをオススメします♪

(本来、3人が「話し手」,「聞き手(後の回答者)」,「オブザーバー(聞き手からの回答が正しいかジャッジする)」へ分かれ、ワークを行います。)


【ワーク】
今からAさんが話す内容をただ、そのまま聴いて下さい。

そして、Aさんが話終わった後、質問をするので、それに答えて下さい。


Aさん
中学2年生の冬休みに”クリスマス大会”をやったことはよく覚えています。

女子卓球部で、私が皆に「何か楽しいことをしよう!」と声を掛け、料理をすることになりました。

その時の写真を見る度にいろんなことを思い出しますが、この料理イベントは皆で一緒になって進めたので、一番楽しかったです。

思えば私の中の部活は試合で勝つことよりも、みんなと楽しく活動したことの方が大切だったのかもしれません。

ダブルスだった私は、ダブルス相手のHさんと練習する時もくだらないことをしたり、笑うことが多かったのです。

もちろん試合で強い相手から多く点を取れたり、中体連で貴重な一勝した時は”少しは成長した”などとお互いに言い合い喜びました。

それでも今思えば、私の中で部活は”みんなで楽しくやるもの”です。

勝ち負けも気になりますが、それまでの練習を振り返ると、試合よりも毎日の練習を続けていったことが部活の思い出です。


<質問>
本来は、自由に回答して貰いますが、今回は、回答の選択肢(例)を3つ挙げます。

ご自身の回答に近いものを選んで下さい。

(また、文章量が多くなるので、今回、質問は1つだけです。本来は、もっと質問を投げかけ、口頭で答えて頂きます。)

【質問1】
Aさんは、クリスマス大会で料理をしたことが1番楽しかった、と話していますが、何故でしょうか?

  1. Aさんは、みんなとワイワイすることが好きだから。
  2. Aさんが皆に「何か楽しいことをしよう!」と声を掛け、皆で一緒になって進めたから。
  3. Aさんは、練習中と同じように、料理中も、くだらないことをして、笑うことが多く楽しかったから。

皆さんの答えは決まりましたか?

どれも、正しい内容に聞こえますが、カウンセリング分野での「傾聴」の視点では、NG回答があります。

それでは、回答と解説です。

<回答>

  1. Aさんは、みんなとワイワイすることが好きだから。 → 誤
  2. Aさんが皆に「何か楽しいことをしよう!」と声を掛け、皆で一緒になって進めたから。 → 正
  3. Aさんは、練習中と同じように、料理中も、くだらないことをして、笑うことが多かったから。 → 誤

<解説>

  1. 確かに、Aさんの話から、Aさんは「楽しいこと好き」であることは理解出来ますが、「ワイワイすることが好き」との言葉は一言も発していません。
  2. Aさんが理由として、そのまま発した言葉だから、正解です。
  3. 1.同様、Aさんの話を総括、解釈すると、この内容も正に聞こえてきますが、Aさんは、練習と料理を結び付けた発言は一切していないので、この回答も誤りです。

解説より、私が何をお伝えしたいのか?お気づきかと思いますが、

カウンセリング分野での「傾聴」,

「相手の話をただ、そのまま聴く」とは、

その相手が発する言葉をそのまま聴く(捉える)、ということです。
(記憶力が良い悪いの問題は別として。)

決して、自分の勝手な解釈,先入観で、違う言葉,文脈に置き換えることはNGです。

また、それに伴う、要約もNGです。

今回、媒体の都合上、逐語録(文字起こし)を掲載しているので、回答の際、Aさんの話を目で言葉を振り返ることが出来ましたが、本来は、Aさんの話を一度ただ聴いただけで、質問に答えて頂きます。

そして、ご自身が思った回答を自由に話して頂きます。

すると・・・、本当にビックリ!!

皆さん、ご自身の勝手な解釈,言葉,文章での回答を次々と始めます!!!笑

中には、「え?Aさん、そんなこと言って無かったよね?」と、明らかな作り話まで始める方が居ます!苦笑

つまり、皆さん(私含む)が人の話を聴いた時、とてつもなく、自分の勝手な解釈,先入観で話を聴き(記憶し)、理解した気になっている、ということです。

そもそも、同じ言葉でも、その人が抱く意味と、他者が受け取る意味は違うのに、です。

例えば、Aさんは「中体連で貴重な一勝した時は”少しは成長した” などとお互いに言い合い喜びました。」と話していますが、Aさんが使った言葉「貴重な」とは、どんな意味でしょうか?

また、Aさんが言った「少しは成長した」とは、どんな意味でしょうか?

繰り返しになりますが、

カウンセリング分野での「傾聴」,

「相手の話をただ、そのまま聴く」とは、

その相手が発する言葉をそのまま聴く(捉える)、ということです。

皆さん(私含む)、その言葉そのものを無視して(飛ばして)、その先にある意味を自分の中で勝手に考え(決め)、話を理解しようとしています。

その言葉が持つ本当の意味は、話し手に聞かないと分からないのに・・・。

まずは、「その人の言葉をただ、そのまま聴く」ことが、その人を理解する第一歩です。

そして、その人が発する言葉(例:貴重な,少しは成長した)の意味は、自分の中で勝手に解釈するのではなく、相手に確認することが重要です。

その繰り返しを行うことが、その人の話を真に聴く、その人を理解するということです。

にしても、コレ、本当に訓練しないと、なかなか出来ないですよ~!!

最後に、意地悪質問ですが、上記を踏まえた上で、下記質問への回答をご自身で考えてみて下さい♪

【問2】

Aさんが語る「部活」とはどのようなものでしょうか?