たんぱく質摂取量と筋肉の関係について

こんにちは!執筆スタッフの管理栄養士 中村達也です。

コロナウイルス感染、拡大により、様々なところで影響が出ていますね。

皆さん、体調管理等はいかがでしょうか?

手洗い、うがい等も含め、ご自身の身をしっかり守っていきましょう!

さて、今回は『たんぱく質』について、お伝えします。

たんぱく質なんて知ってるから、と思われるかもしれませんが、重要なので改めてお伝えしたいと思います。

たんぱく質は20種類のアミノ酸がペプチド結合したものであり、必ず窒素も含んでいることが特徴です。

摂取したたんぱく質は、アミノ酸やペプチドに消化されて吸収され、体たんぱく質が合成されます。

たんぱく質は、口腔内で消化は行われません。

胃内や小腸で消化され、アミノ酸にまで消化されると同時に吸収され、門脈を経て肝臓に送られます。

要するに、たんぱく質はいったんアミノ酸にまで消化してから、再度体内でたんぱく質を作り上げる仕組みなのです。

筋肉で考えると、筋肉重量のおよそ20%がたんぱく質、水分が75%と水分に次いで多い割合になっています。

このような筋肉の組成のため、様々なところで、たんぱく質が注目されているのだと思います。

たんぱく質摂取のポイント

エネルギー摂取量が不足していないこと

糖質や脂質の摂取が不十分だと、摂取したたんぱく質は、エネルギー源として利用されます。

理由として、摂取したたんぱく質をアミノ酸にするためには、化学反応が必要です。

そのため、アミノ酸を体たんぱく質に変更すること、発生したアンモニアを無毒な尿素に変えるためにも、エネルギーが必要になります。

そして、エネルギー量が足りないのに、身体もわざわざ体たんぱく質を増やしてエネルギーの消費をアップしようなんて思いませんよね。

すなわち、エネルギー摂取量が足りていないと、筋力U Pには繋がりにくいです。

必要な量を摂取すること

【1日あたりの摂取量】

単純に、1日あたりでたんぱく質摂取量を多くすれば、体たんぱく質の合成が高まるわけではありません。

世の中にプロテイン飲料や、プロテインバー など数多く普及しはじめているからこそ、この部分は正しい知識を発信していくべきかと思います。

たんぱく質の必要量は、ある研究においても、非運動群では(0.89g/kg体重/日)、筋力トレーニングをした運動群(1.76g/kg体重/日)としているものあります。

そして、運動している場合の1日の摂取量は、2g/kg体重/日程度を上限とすることが多いです。

これは、それ以上摂取したとしても、筋肉合成に良い影響を与える明確なエビデンスがないからです。

そして、この数値をみて思うかもしれませんが、バランスがよく必要エネルギー量の確保ができる食事であれば、簡単に確保できるたんぱく質量です。

【1回あたりの摂取量】

筋肉たんぱく質合成速度は、たんぱく質20g(体重65kgの方)を摂取すると、最大になります。

0.3g/kg体重程度の良質なたんぱく質を摂取することによって、体たんぱく質合成は最大になると考えられます。

そのため、仮に1食で40g摂取したとしても、最大域を超えた状態にすでにあるため、筋肉たんぱく質合成速度は上昇しないのです。

代謝回転の観点から

体内のたんぱく質は常に代謝回転を繰り返しています。

▼各臓器のたんぱく質の代謝回転にかかる日数

人間全体:22日〜130日

脳:16日〜150日

肝臓:12日〜140日

腎臓:11日〜180日

筋肉:16日〜100日

このように時間をかけて代謝回転を繰り返しているので、短期間でたくさん食べたから筋肉がつくわけではない、というのもここでわかると思います。

たんぱく質に関してはおそらく、多くの管理栄養士が何かしらの質問を受けたことがあると思います。

繰り返しになりますが、食品やプロテイン飲料などで、たんぱく質をたくさん摂取すれば筋肉がつくわけではありません。

「きちんと否定できる根拠」をもとに、実際の指導をしていかなければなりません。

摂取エネルギー量が足りていない状況で、たんぱく質ばかり摂取しようと思われている方もチラホラいます!

僕が、プロのアスリートを指導するときは、食事だけでなく、練習時間、食事できる環境にあるのかなどを考えます。

スポーツ選手は、試合が重なる時期やオフシーズンでも、タイムスケジュールが変わります。

3食の食事の中で栄養素の確保が難しいときは、栄養補助食品の導入も検討しなければなりません。

もちろん、普段の食事の中での調理方法や、選び方等の工夫もした上での検討です。

指導者としては、栄養素の知識だけでなく、食品の選択の幅も広くないと、ケースバイケースでの提案もできなくなります。

その中で、きちんとした『オーダーメイドの食事アドバイス』をしていくことこそ、本当の栄養指導ではないかなと思います。

プロテインもダメではなく、ケースバイケースで、きちんとした栄養指導ができるように、基本の部分は抑えておきましょう。

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参考文献

・理論と実践 スポーツ栄養学 鈴木志保子 著

・食卓の生化学 第2版 三浦義彰 小野直美 橋本洋子