老人ホーム 管理栄養士奮闘記  ~行事・行事食~

こんにちは。外部執筆スタッフの管理栄養士 長谷川晴美です。

管理栄養士奮闘記と題しまして、有料老人ホームでの経験をお伝えしていきます。

今回は 行事・行事食についてです。皆様のお役に立てれば、嬉しいです。

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老人ホームにおける行事・行事食の役割

終の棲家である有料老人ホームにとって、重要性を大きく占めるのは食事ではないでしょうか。

食事は栄養バランスや食べやすさだけでなく、楽しみの一つとして感じていただける工夫が必要です。

行事や行事食を通して季節を感じながら昔を懐かしんだり、新たな発見や驚きがあったりと、生活の質を上げることもできます。

就任当初、お刺身を出した時の入居者の喜ぶお顔がうれしくて、予算がゆるす限り刺身を出していた無謀な時期もありましたが、「今日は何のお祝い?」なんて聞かれるときもあり、むやみやたらに出すものではないなと反省し、メリハリも大切だということに気づかされました。

毎日がご馳走では、胃も気持ちも疲れてしまいます。

普段の食事はアットホームを心がけ、行事等の時にはサプライズをすることによって、入居者の体も心も元気にしてくれるちょっとしたスパイスとなります。

それを入居者の表情等で私達も感じられるので、行事食は提供する側にも喜びややりがいを与えてくれます。

予算も手間もかかり、なかなか大変ですが、ぜひ積極的に取り入れていただきたいです。

行事・行事食の実際

私が勤務していた有料老人ホームでは、正月から大晦日まで、一般的な行事に行事食をプラスするパターンが基本でした。

行事となると、厨房だけでなく、介護職員の発案や協力等、他部署連携が必須になります。

若者の発案で、ハロウィンパーティーなどの新しい行事に挑戦して、最終的には定着せず消滅するものもありましたが、ご参考までに以下に当時の行事概要を記します。

何かが皆様のヒントになれば幸いです。

行事

毎月の誕生会
夕食時の食堂にて誕生月の方の誕生席を設け、花束贈呈(1束500円程度)、全員で乾杯(赤玉ポートワインかグレープジュース)、和懐石系の食事を提供

お正月(元旦から1/3
元旦は朝食と昼食を合体し、新年初顔合わせの会に合わせた10時提供と、夕食を1時間前倒しで17時提供の1日2食。
三が日の朝食は同料金のままあしらい等で正月らしく、昼食・夕食は特別料金

お花見バイキング
桜が見える屋上で数回試み、雨や風の影響もあったので、食堂に桜を飾って食堂での実施で定着

春の運動会・夏祭り
入居者と職員だけでなく入居者や職員のご家族や地域の人も参加
運動会は、赤白に分かれて、選手宣誓・応援合戦・表彰式・お茶タイムあり競技は全員で玉入れやボール送り、入居者と職員がペアになって行える借り物競争など職員の綱引きやダンスは結構人気がありました。
夏祭りは、盆踊り、外部アトラクション(近所の高校の太鼓部等)、職員の出し物(よさこいソーラン等)、出店(アルコールあり)

お月見
ラウンジから月を眺め、月見団子を食べながらフリートーク

敬老の日までの敬老週間
入居者が作ったものの展示会(書道・絵画・手芸等)、外部アトラクション(舞台・音楽系)、映画鑑賞会(プロジェクターとレンタルDVD使用)、夜のカラオケ大会(カラオケセットリース、アルコールあり)等日替わり

敬老の日
ご家族や来賓をお迎えして、午前中は祝賀式典。昼食は会食でアルコールあり

ハロウィンパーティー
お茶会形式の仮装パーティー ※浸透せず数回で中止

秋のバイキング(芋煮会風)
行事がない11月の企画として秋のバイキングとして定着

クリスマス
イブの夕食時、ピアノとサックス演奏等を聞きながらの会食
シャンペンで乾杯、コース料理、サンタクロースからのプレゼントと職員の手作りカード

他にも、新年会では外部アトラクション(和楽器演奏等)をお呼びしたり、母の日・父の日や七夕には入居者参加型企画を実施していました。

行事食メニュー例

おせち 
一人用おせち折詰(数の子、えび、昆布、伊達巻等縁起物色々)、祝い肴(前菜3種)、雑煮、
金箔入り日本酒 ※餅提供時は看護師見守り

1/2~1/3昼食夕食
うなぎ蒲焼き、握り寿司、刺身、ステーキ、天ぷら等、普段出せない食材を使用

節分 
恵方巻(太巻きをカットして提供)、福茶(大豆3個・塩昆布・梅干し・湯で作る縁起物)
今年の恵方の方角を矢印でご案内

ひな祭り 
ちらし寿司、はまぐり吸い物、小鉢、白酒、桜餅

春分の日 
桜ご飯(桜塩漬けのまぜご飯、塩出し必須)、鰆のふき味噌焼き、小鉢、汁、ぼたもち

お花見バイキング 
巻き寿司、稲荷寿司、卵焼き、煮物、蒸し物、揚げ物、漬物、果物、デザート、すまし汁、アルコール、ジュース等

こどもの日 
ちらし寿司、小鉢、汁、柏餅 ※浴場は菖蒲湯

夏祭り 
焼きそば、焼き鳥、かき氷、枝豆、ビール、ジュース等
※参加しない人もいるので、夕食は1時間前倒しで提供(軽めメニュー)

お盆 
入居者よりお盆らしいメニューをとご意見があり、入居者希望のそうめん、煮物、和菓子等

お月見 
夕食後お月見会にて月見団子提供

敬老の日 
前菜、肉料理(一人鉄板固形燃料使用)、魚料理、煮物、小鉢、デザート
乾杯用ワイン、アルコール、ジュース、コーヒーまたは紅茶(和菓子と抹茶の時もあり)

秋のバイキング(芋煮会風)
春のバイキングのすまし汁の代わりに、醤油とみそ味2種類の芋煮汁

クリスマス 
サラダ、スープ、魚料理、肉料理、パンまたはライス、ケーキ、コーヒーまたは紅茶

ほかに、1/7朝食で七草がゆ、鏡開きでは夕食で鏡餅をお汁粉にして提供したり、七夕、土用の丑の日、秋分の日、冬至、大晦日なども、イベントに合わせたメニューを組み込んでのお食事提供をしていました。

また、バレンタインデーには+チョコレートケーキ、母の日や父の日は+ケーキ(カーネーションをお膳にのせた年もあり)や1品をビールセット(250㎖缶ビール又はジュース+おつまみ)にしていました。

上記以外の祝日(6月から9月以外)では刺身をお出ししたり、冬場は、一人用鍋で固形燃料を使って鍋料理の提供(月2回程度)があったほか、3~4種類のメニューから(事前)選択するお好み献立が年2回、厨房発案でイベント食として月1回郷土料理めぐり、懐かしの洋食メニュー、ご当地ラーメン等を提供していました。

栄養士ができること

生活全般と行事は介護職員、食事は栄養士、健康管理は看護師がメインになりますが、どの部署に所属していてもすべてに関わることになります。

栄養士は勤勉だけど、アウトプットや自己アピールが苦手というステレオタイプを耳にすることがあります。

私の経験上、行事に関わることから打破できると考えています。

毎年同じことをやっているようでも、改善を重ねてよりよくしながら、時代やニーズに合わせていきます。

行事によって、入居者や職員同士の絆が深まり、自分自身も成長していると感じます。

行事ではないですが、入居を検討している方々の見学会(昼食付)の時には、営業戦略のため、他部署発案の季節に合わせた手作りお品書きを作っていました。

デザインを得意とする他部署の若者に原案を頼み、見学者の人数が多く作成が間に合わない時は夜勤の方にお手伝いの依頼もしました。意外と快くOKしてくれます。

まずは、遠慮せず心配事やわからないことはそのままにせず聞いてみる、
他部署にも興味を持ち他部署の意見にも耳を傾ける、いい案が思いつかなければ相談する、
協力をお願いする、お手伝いできることはないか聞いてみることが、
よりよい行事、よりよりケア、自身のスキルアップ、仲間のスキルアップにもつながります。

私にも苦手なこともありますが、面倒がらずに自分自身が楽しむ術を見つけ、積極的にかかわって協力しあいながら、達成感を味わうことがモチベーションアップにつながります。

常に挑戦する気持ちを持ちながら、若者に任せてみることや他部署にお願いする勇気等も大切だと感じます。

コロナ禍で、できなくなったこともたくさんあります。

世の中の旅行同様、行事等の「お楽しみ」から削減されてしまう昨今、新しいルールの中で、どのように入居者と関わっていくかが今後の課題になります。

どのような時代であっても、入居者の尊厳を大切し、今できることを全力でやっていきたいですね。

コロナ禍でも前向きに頑張っている皆様を心から応援しています。

次回は、異物混入についてお伝えする予定です。