運動する人の適切な栄養素摂取量について

こんにちは、執筆スタッフの管理栄養士 中村達也です。

インフルエンザが猛威を振るっておりますが、皆様元気にお過ごしでしょうか。

さて、先週に引き続き今週もスポーツと栄養について、お話しさせていただきます。

最近フィットネスジムでの運動やダイエット、筋肉をつけて美しいボディメイクを目指す方など、巷では運動のブームが続いています。

簡単に筋肉がつく、体脂肪が減るなど思う通りにボディーメイクができれば問題ないのですが…。

間違った運動や栄養素の摂取をしてしまうと、効果が減少してしまう場合もありますね。

そこで、フィットネスジムでの指導の経験から誤った事例と対策をお話しさせていただきます。

 筋肉トレーニングをしたら、必ずプロテイン補給

確かにトレーニング後のプロテイン補給は、筋肉増強効果に期待ができるかもしれません。

しかし、闇雲にタンパク質のみ補給しても無意味にもなり、身体にとっては負担がかかることにも繋がります。

インターネットや口コミなどで、体重あたり3g以上のタンパク質が必要などという情報も出ていますが、そこまで必要ありません。

目安としては、

  • 活発に活動していない人では、体重1kgあたり0.8〜1g
  • 持久的なトレーニングをしている人で、体重1kgあたり1.2〜1.4g
  • 断続的な高強度トレーニングを行なっている人や筋肥大をさせている人で、体重1kgあたり1.2〜1.7g

が1日で必要な量とされています。

また、糖質の摂取も大事です。

運動中に、糖質の摂取をすることや、運動後にタンパク質と糖質を補給することで、ダメージを受けた骨格筋とグリコーゲンの再補充に効果的であるとされています。

逆に、極端に糖質の摂取が少ない場合、糖質を体内で作り出さないといけないため体内で蓄えられているタンパク質を使い糖新生が行われます。そのため、体タンパク質の量が減少してしまう結果につながります。

身体のメカニズムをきちんと理解しておかなければ、食事が原因でトレーニングの効果が半減する可能性もあります。

対象者の生活リズムや食事状況などを把握した上で必要栄養素量、現在の食事量が適正か評価し、栄養素の過剰、不足が身体にとってどのような影響をもたらすのか、きちんと理解をさせていく必要があると言うことです。

ダイエットのために極端な食事制限、ハードな運動をする。

このような生活ができたら、いやでも痩せてしまいますね。

人間の体重は体脂肪だけではありません。

体脂肪以外にも体水分や筋肉量などで、体重が変動しますが、このような生活だと体脂肪メインではなく、筋肉が大幅に減っていくことも懸念されます。

減量される方で、食べて痩せることより、食べないで痩せることを多く考えられる方は多く、そのため生活の継続が難しくリバウンドしてしまう結果になることが多いようです。

減量をする方にとって必要なことは、除脂肪体重を失わず、体脂肪を減少させることでしょう。

カロリーで考えれば1日240kcal減らすと、1ヶ月で−1kgの脂肪が減少するとされますが、減量は必ずしも、カロリーだけを考えればいいわけではないということです。

代謝の経路から考えても、体脂肪を燃やすためには糖質の力が必要になります。

日常の例としては、減量開始前から摂取エネルギー不足や既に体脂肪が少ない状態で、これ以上、体脂肪を減らす必要がない場合などは摂取kcalだけを考えても減量につなげることは難しい場合もあるでしょう。

そのため、単にkcalを減らしましょうだけでなく、対象者の食事状況、運動状況を加味し、何が余分なのか、何が不足しているのか、生活背景を踏まえ何が妨げになっているのかなど考慮し、減量期間中は体重をモニタリングし、計画を修正しながら進めることは必須であると言うことです。

利用者の方は、メディアから情報を得ている方が多いので、ボディメイクに必要なことを知っている方も多いです。

しかし、取捨選択はできていない部分も多いと実感する部分もあります。

対象者のことをきちんと把握し、管理栄養士の立場から、実践、継続しやすい指導をしていくことが必要ではないかなと実感します。

以上、2点の事例と対策を挙げさせていただきました。

管理栄養士として、フィットネスジムで勤務している経験からこれらのことを書かせていただきました。少しでも皆様の参考になれば幸いです。

参考文献
・理論と実践 スポーツ栄養学 神奈川県立保健福祉大学教授 鈴木志保子 著