目黒寄生虫館へ行ってきました

こんにちは!dietitianjob運営会社 東洋システムサイエンスの管理栄養士 徳田です。
寒暖の差が激しい日が続いていますね。三寒四温とは言いますが、それにしたってもう少し気温差が緩やかであってほしいものです。

先日、目黒区にある「目黒寄生虫館」に行ってきました。
栄養士にとって馴染み深い「寄生虫」といえばアニサキスが一番でしょうか。女性だと妊娠期のトキソプラズマも要注意と言われますよね。

現場経験がない身としては、大学卒業以来久しく聞いていない単語がたくさん並んでいるのを懐かしい~!習った~!という感覚をもって楽しく見て回ることができました。

特に、国試勉強のとき好きだったクドア(形がかわいいので)を標本で見ることができて感激したのですが、皆さんはどの寄生虫がお好みでしょうか?
※本文中に展示の写真がありますので苦手な方はお気を付けください。

「目黒寄生虫館」について


栄養士の仕事とは切っても切れない関係の寄生虫についてしっかり学べる「目黒寄生虫館」は、医学博士の亀谷了氏が私財を投じて1953年に創設した寄生虫学専門の私立博物館です。
一般開放されているのはビルの1.2階の展示室で、国内外から集められた約300点の標本及び関連資料が展示されています。

1階は「寄生虫の多様性」をテーマに様々な動物群に属する多様な寄生虫の標本や動画等が、2階は「人体に関わる寄生虫」というテーマで、寄生虫のライフサイクルや人間に感染した場合の症状の展示や、日本の寄生虫学研究の歴史などについて解説コーナーがあります。

館内の展示

1階にある様々な宿主に寄生した寄生虫の標本は、その数に圧倒されます。
明らかに魚の目の周辺やえらのあたりに寄生されていることが分かるもの、どこが宿主でどこが寄生虫かわからないものなど様々です。
生物系の研究のお仕事をしている友人と同行しており、さすが専門職はきちんと区別がついているようで解説してくれたのですが、説明してもらえば判別できる・習ったことを思い出すものもありました。

学名(種小名)のつけ方について、「-i,-ii」、「-ae, -iae」で終わるものは概ね発見者やその発見の功労者の名前が使われていると教えてもらいました。
よく知られているものだと横川定氏が発見しのちに新種として名付けられた「横川吸虫(Metagonimus yokogawai)」でしょうか。
末尾にiやaeをつけるのは学名にラテン語が用いられるためです。

大人になってから得る新しい知識は面白いですね。展示を見ている間中同じようなパターンの学名をつい探してしまいました。

2階ではより生活に身近な、よく名前を知っている寄生虫や、寄生虫学の歴史について展示されていました。
北海道では口酸っぱくキツネに触るなよと言い聞かされていたエキノコックスや、国家試験でも取り上げられることの多いマラリアなどの詳細を学ぶことができます。

どのような症状が出るのか、何が原因だったのか、各寄生虫が自然界でたどる経路といった内容が寄生虫ごとに示されています。
食肉由来の体調不良には寄生虫が原因となるものも多いです。魚介類由来だとアニサキスが有名ですね。

ウイルス性のものやヒトからヒトへ感染するものは予防や対処まで学ぶ機会が多いですが、ヒトを最終宿主にしない寄生虫まで含めてこんなにも知る機会はなかなかないと思いました。

館内の展示物について

有名な施設ですので足を運んだことのある方や調べたことがある方も多いと思うのですが、一番目玉となる展示は「8.8mのサナダムシ」ではないでしょうか。

サナダムシとは条虫類の寄生虫のことを指します。見た目が真田紐に似ていることから名づけられていて、英語ではTapeworm、ドイツ語ではBandwurmと、いずれもテープや紐のような虫として呼ばれています。

ここでは日本海裂頭条虫の別名としてお話しますが、中間宿主はサケやマス類で、幼虫が寄生したサケ・マス類を生食することでヒトにうつります。
ヒトの体内では腸管に寄生して栄養を摂り成長するといわれています。無症状もしくは下痢や腹部膨満感といった軽度の消化器症状で済むため、排泄の際に白い紐状のものを見つけてはじめて発覚にいたることも多々あるそうです。

8.8mのサナダムシが寄贈された際の経緯としては、「3か月前にマスの刺身を食べた男性が、排便の中に白いひもの切れ端のようなものを発見し(初代館長で医師の)亀谷氏に連絡し駆虫薬を用いて採取」だそうです。
幼虫は1~3㎝ほどだそうなので1日約10cm成長していることになりますね。

食事提供の際のポイントとしては、サケ・マス類の生食をしないことや、この虫体を除くか56℃以上に加熱する、もしくは−20℃以下24時間以上で冷凍後に解凍して食べれば問題ありません。

まとめ

大規模な施設ではないですが展示物の情報が多いためかなり楽しむことができます。
ミュージアムショップでは8.8mのサナダムシモチーフのTシャツ他勉強に役立ちそうなカルタなども販売されていました。
勉強するもよし、デートスポットとしてもよしですが、「何を食べるにしても一度冷凍するか加熱した方がいいかも・・・」という気持ちになりました(笑)。

ちなみに私の好きなクドアも展示されていました♪

是非皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。